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「これはオヤジでもなくオフクロでもなく、僕の物語だ」。都内の私立高校に通う在日コリアンである主人公「僕」は、ダンスパーティーでコケティッシュな魅力をもつ「在日ジャパニーズ」の女の子に出会い恋に落ち、そして…。
在日コリアンたちを取り巻く複雑な状況が織り交ぜられているものの、「僕の物語」すなわち本作の根幹は、たわいもない恋愛物語だと判断することもできる。しかし、この物語が、根強く残る差別に対する抵抗の物語でもイデオロギーによって引き裂かれた民族の悲劇の物語でもないところに、著者と著者が代表する「在日」の新たな世代の志向を伺うことができよう。国籍を「在日朝鮮人」から「在日韓国人」に変え、やがて「在日」あるいは「国籍」という枠の外にある広い世界を志向する主人公の思いは、父親がスペイン語でつぶやくこの言葉に象徴されている。「僕は、韓国人でもない、日本人でもない、ただの根無し草だ」。
恋のてんまつはいささか安易すぎる感もあるが、主人公をはじめ、元プロボクサーである父親、主人公と同じくアイデンティティーの揺らぎに悩む朝鮮民族学校時代の同級生たちなど、どの登場人物も、人物造形が確かで生き生きと描き出されている。本作で直木賞受賞作家となった著者は、自らを「在日韓国人」ではなく「コリアン・ジャパニーズ」と称しているが、呼称はどうあれ、「日本の内の他者」として培われたその鋭い視点が彼の創作活動にとって大きな武器となっていることは間違いなさそうだ。(梅村千恵)
好き!
[No.95] posted by vega
最初に読んだ金城一紀さんの作品。
面白いです、とても。
在日コリアンとか出てくるから
え、と思ってしまう方もいるかも知れません。
もちろん在日の人が読んでも面白いけれど、
そういうことに全く関心がなくても
とても面白い。
面白くて、少し考えさせられる。
今までの在日の作家や在日のことを書く作品って
暗くてどんよりしてしまう気分のものが多かったけれど、
これは軽やかでシャープ。
とても格好いい。
登場人物のセリフもいい。
映画では窪塚洋介と柴咲コウだったけれど、
二人ともぴったりの役どころ。
軽やかで疾走感がある。
突っ走ってみたい。
オススメです。
まじいい!!!
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[No.94] posted by 太郎
先に映画を見ていたので、大体の内容は知っていましたが、やはりわかっていてもおもしろかったです。
差別とかについて考えさせられます。
再読した。あいかわらず、疾走感がある。
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[No.93] posted by yoji
「僕」は醒めていて、好きではない喧嘩ばかりしている。
でも頭の中は形而上学的なものでいっぱいで、自己確立のために思考を巡らす。
巡らした思考を吐き出すところはなくて、唯一そんな話を聞いてくれた友人も死んでしまう。
僕らの廻りには暴力が明らかに存在していて、それを生んでいるのは狭量な偏見。
幸いにも僕は、これまでそんなものに触れることが少なかった。
でも、と考えてしまう。
出会わなかったことは幸いなのか。
目の前に壁が見えたとき、それは成長するチャンスでもあるはず。
いや、そんな苦労はいらないのだろうか。
変わりなきお話
[No.92] posted by えんをる
これは考えるための物語では無いと思った。この小説では差別は障害物競走でのハードルでしかないし、何より主人公はただの高校生である。はっきり言ってなんお変哲も無い。
単純な話だ。高校生が元彼のちょっかいで一旦離れるけど、またくっつく。それだけの話。
だからこそ、僕はこんな一気に読めたのかな。
そうです、コレは青春小説。そしてこの青春は、恐らく誰にでも経験し得るもんだと思う。
サラっと読めます
100.0% (1 / 1)
[No.91] posted by 764hero
不器用だけど、純粋で、クールで、ケンカが強い。池袋ウエストゲートパークの主人公に似ていた。マンガを読んでいるみたいに状況が思い浮かび、スラスラ読める。
『在日』という設定は、同世代のメインストリームから外れて、世の中対して斜に構えているという性格を描くこと以外にはほとんど使われておらず、拍子抜けでした。
スピード
[No.90] posted by うみ
この小説の魅力はスピードだ。
速いテンポで、恋愛、友情、民族、家族といった大きなテーマが出てくる。
このスピードこそ青春の時間の速度なのではないか。
テキストの分量自体が短いこともあるが、はっと気づくと読み終わっていて、主人公はもう「大人」になっていたのだった。
「自然」に線を引くこと
57.1% (4 / 7)
[No.89] posted by にゃん
数年前に映画化されてちょっとしたブームになった作品。
評者は映画は見ておらず、小説から入りました。
暇つぶしに、喫茶店で読むつもりが、一息で最後まで読みきってしまいました。
表立って触れられることのない(意図的に触れられてない?)
在日の問題が描かれていましたが、かといって、重い思想書のようでもありません。
この小説を読んで感じたのは、国籍、国家、国境への怒り。
誰が、何のために、「自然」に線を引いたのか。言い換えるなら。
「韓国」人、「北朝鮮」人、そして「中国」人、そして「日本」人を創っているのは、
人間なのではないかという思いです。
では、誰が? 何のために?
もし、親になったならば、真っ先に子供に勧めたい本です。
エネルギー溢れる恋愛小説
83.3% (5 / 6)
[No.88] posted by Z?
金城一紀氏による直木賞受賞作。
主人公である在日朝鮮人と日本人少女の「青春恋愛小説」である。
「差別」というテーマが常に付きまとうものの、暗鬱な悲壮感は感じられない。
逆にそれを跳ね返すほどの主人公のエネルギーが溢れ出している。
その主人公も博学で、セリフの一つ一つはとても面白い。
さらに主人公の友達や母親といった登場人物達も生き生きとしていて気持ちよい。
だからテーマにも関わらず、全体的にとても明るく伸び伸びとした印象を受けるのだろう。
名脇役は主人公の父親。
元ボクサーで、博学で、スペイン人になりたかった父親は言う。
「俺は朝鮮人でも、日本人でもない、ただの根無し草だ」
セリフとしては非常に強がった、突っ張った開き直りのようなものを感じる。
しかしこれは、こういう生き方をせざるを得なかった者の、悲哀の叫びなのだろう。
だが悲観に陥ることの無いところが、いかにも主人公の父親らしい。
また、映画や小説、音楽の引用が豊富なところも良かった。
とにかく、あまりテーマを深く重く捉え過ぎずに、純粋に青春恋愛小説だと思って楽しむ方がいい。
なんだそりゃ?
35.6% (16 / 45)
[No.87] posted by 水色★サイコパス
友人に薦められて手に取った本書であるが、正直言ってがっかりだ。日本と韓国、北朝鮮などの差別問題を青春を生きる主人公の視点で書いたように見えるが、喧嘩が強くて学校ではちょっとした有名人で、親父がヤクザの友人がいて、突然かわいい謎の女の子が出てきて、其の上、自分に気があるようなこと言ってて、友人が死んじゃって、嘆き悲しんで・・・・・と、本全体から中高生男子が妄想しがちな、「理不尽な世界に生きるちょっとカッコイイ俺」の匂いがします。
だいたい、差別をテーマに扱っておきながら最後には彼女は戻ってきてくれる時点で普通の恋愛小説な気がするし、よしんば差別を取り扱った小説とするにしてもなぜ主人公が他の在日朝鮮人との運動に参加しなかったかが、疑問です。
捻くれ者の自分としては、ただ一匹狼を演出したかったのではないかと思いたくなります。
以上、駄文でした。
コンキチ&ナターシャの絵本ナビ
33.3% (2 / 6)
[No.86] posted by コンキチ&ナターシャの絵本ナビ
タイムリーな話で、反日というものや在日朝鮮人についての
話を軸に、お話が進行していきますが基本的には恋の話です。
今の日中の問題とは関係なく読みはじめた本です。
登場人物
●僕(語り手、杉原、コリアンジャパニーズの高校生)
●桜井椿(僕の恋人、一流企業重役の娘)
●正一(僕の親友、韓国と日本のハーフ)
●オヤジ(僕の父、元ボクサー、パチンコ景品交換所経営)
●加藤(僕の友人、暴力団幹部組員の息子)
恋の行方や朝鮮の人への差別がとても鮮やかに切り取られ
素敵なお話に昇華していて、気持ちがポジティブになりました。
中学生くらいがこの本を読むと人種や差別そして日本人って
と考えさせられるのではないでしょうか、お勧めですよ、映画にも
なっています。