- [著]角岡 伸彦
- カテゴリ:
- 文庫 (291頁)
- ISBN:
- 4062737914
- 発売元:
- 講談社 (2003/07)
- 価格:
- ¥ 600 (税込)
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逆差別の部落
部落について私が強く意識したのは数年前に大阪に転勤してからです。それまでは地元の学校で部落教育を受けたこともなく(受けたかもしれないが記憶がない)なんとなく昔はそんな差別があったのかなっという感じのものでしかありませんでした。しかし関西では今でも色濃く部落線引きがされています。「あの辺りは部落だ」「あの顔は部落顔」などといった会話をよく聞くことがありました。部落についてほとんど知識のなかった私にとっては、実際にそのような地域があることやその中で暮らす人がいることについてある意味すごく興味を持ちました。実際に京都駅の南側に広がる部落地区を歩いてみて、改良住宅の中から出てきた子供たちをみてなんとなく可哀そうだなと感じたことを覚えています。しかし関西で部落問題が残っているのは明らかに部落を利用した逆差別産業が多いことも理由の一つだと思います。実際に部落団体からそのような圧力が多いことも関西の特徴だと思います。本書では部落についての悲惨な歴史を語るのではなく、部落の今が以前と大きく変わりつつあること、そして逆差別的な優遇措置がいつまでもとられていることに対する危惧も記されており、現在の部落問題を的確に捕えていると思いました。
当たり前ですけど、いろんな人がいろんな風に考えています。
「青春」という文字に惹かれて買いました。著者もあとがきで述べていますが、「活字にしろ映像にしろ、そこに描かれている部落は、差別の厳しさ、被差別の実態ばかりが強調されていて、(中略)ひとことで言うと「暗い」のだ。」という部落問題を巡る報道のイメージとは異なる世界を教えてくれるかもという期待を感じたからです。
予感は的中しました。本書には差別を受けた経験のない部落民も経験のある非部落民も、同和教育に疑問を感じている部落出身の教師も、同和教育が重要だと力説する調査会社の社長も、さまざまな人たちの部落差別に対する考えが書き留められています。一方的に差別を糾弾するわけではなく、1990年代後半の部落差別の状況を可能な限り正確に記録することを目的としているように思えて感心しました。
著者自身も部落出身であり、実名を公表することで何らかのリスクがあるかもしれないと考えていましたが、迫害や差別を受けることは皆無だったそうです。少しは日本がよい社会になっているのかもしれませんが、何よりもこの本の魅力がそうさせたという気がしてなりません。
こうしたテーマの売り出し方
この文体で、この内容の本を、この出版社が出したところがミソ。
この分野に少しでも関心がある人なら誰でも知ってる内容を、
多くの読者に伝えた功績は大きいと思います。
著者の力量もさることながら、こうやって売り出した編集者サイドの勝利か。
どんなことも知らないのは無知、無知が差別を生むことは多い
部落差別だけじゃなく、人種差別、性差別、障害を持つ人への差別、などなど、色んな本を読んで来ましたが、角岡さんほど色々なバランス感覚がいい人はいないと私は感じます。きれいごともなく、被害者意識が強すぎることもなく。
人も動物も区別や差別をする生き物です。差別しない人なんていません。国籍とか、出身地の差別じゃなくても、自分の好きなルックスをしている異性、有名な高級住宅地が実家の人。などなど、人の中身を知る前に外側で決めるとこあるでしょう。
「部落差別?そんなの関係ないわ」じゃなくて、知っていくことが大事と思うんです。無知のまんま、先入観だけがふくらんで、結局は差別することになっていくんじゃないかな?だから、今の時代の部落のことを知る為に、とてもいい本だと思います。
同和利権の真相 と併せて読みたい。
筆者は宝島社の解放同盟批判本「同和利権の真相」を批判している、とのことでしたので、解放同盟寄りの利権擁護派かと思っておりましたがさにあらず、本書は、冷静・公平に部落の人々を描いた名作だと思います。
「部落にいると(経済的に)得だが、ぬるくて何か違う」という、部落の若者自身の言葉を借りて違和感を表現しているところが出色です。部落の若者のほとんどはただ普通に生き、普通に頑張っているだけなのでしょうが、時代の変化に適応しない一部会派の利権漁りの余得を受ける結果、外部の見る目は冷たい、という現代同和問題の構図をうまく表現していると感じました。
繰り返しますが、同和利権に肩入れするような趣旨の本ではなく、むしろ利権廃止と「早期正常化」を祈るもののようで、好感できます。
不思議な存在
部落って不思議な存在だと思う。ほんとに部落の人間かどうかを規定する根拠なんてあいまいだ。というか、規定する意味があるのだろうか?
しかし部落の人間ではないから(多分)そういえるのかもしれない。
ふと思い出したのは、私の通っていた小学校では同和教育というものがあったことだ。しかしその授業は同和地区に住んでいる生徒だけがうけるものだったと記憶している。
差別意識(区別するという意味においても)は知らず知らずのうちに形作られていくのだろう。幼い私でも、いいとか悪いとかの問題ではなく、漠然と「何かちがうんやな」と感じていた。
その後、特にそういった問題も意識せずに暮らしてきた。それでいいやん、と思う。
お見事!
なんか、さわっちゃいけないテーマと思っていたのですが、
今の実状がわかるとても良い本でした。
差別される理由も、きちんと書いてある。
「部落でトクをした」と言い切る若い女性もいるなんて驚き!
そもそも、外見では区別がつかないし、もう終わった話と
思っている人も多い問題が、なぜこんなに長く続いているか
よくわかった。
著者の笑いのセンスも、すごくいい!
中高生が社会の時間に読むといいと思う。
私もあなたも同じでしょ
この本を読む前は、「部落問題」って、何か気が重いし、「寝た子を起こすな」的感覚があったんです。いまさら言っても・・・とか、知らない人にわざわざ教えなくても・・・とか。
でもそれ以前に、大事なこと忘れてました。だって人間ってもともと同じでしょう。人種や民族が違っても、部落出身であってもなくっても、結局同じ人間でしょ。そんなあたりまえのこと、さっくりココロに落ちる本です。
それも「人間平等」なんてえらそうに説教するんでなく、ごく自然に。
差別について
日常生活の中での「差別とは」について地に足の着いた取材で我々に提示してくれている。この問題について、とっつきにくいけど、知りたいと考えている人には本書を読むことをオススメします。自分自身の問題として「差別」について考えなくてはならない。けれども大上段から発言するのではなく、日常生活の現場から作者は差別について我々に提示してくれている。
「差別」について、自分自身で考えるきっかけになる良書です。
こんなんもありやろ
おもろい
肩の力抜いて読める。
扱ってるテーマがめっちゃ重いはずやのに
なんやそんなん感じぃへん。
せやからといって
残らへんかというたらそれもちがう
茶化してるかいうたらそれもちがう
この本やったら子供にも読ませてもええと思うし
自分に余裕がない人が読んでも
落ち込んでしまうこともないやろ。
ああええ本や。
