- [著]首藤 瓜於
- カテゴリ:
- 文庫 (366頁)
- ISBN:
- 4062738376
- 発売元:
- 講談社 (2003/09)
- 価格:
- ¥ 620 (税込)
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サスペンス性よりも、その病気について興味が沸いた。
感情を持たないという病気、というか精神状態。
実在する病気です。
感情を持つということは、感情というバイアスによって物事を判断するということ。だから無駄なことは覚えないし、嫌なことはやらない。
この小説では、感情を持たない人物が主人公として登場します。
感情を持たないということはどういうことなのか、自分に当てはめて読んでいくと、結構感情移入できました。
プロット、設定が最高、人間描写が不満
読んで損はありませんが、
残念な点もありました。
面白い小説です。
感情のない男を巡る謎、
連続爆弾テロ、
そし鈴木一郎。
設定は抜群に面白いと思いました。
後半、病院での緑川の爆弾テロのくだりもテンポよく進みます。
黙示録が反抗の背景にあるということもなかなか面白いプロットです。
惜しむらくは、人物描写が物足りなかった点です。
茶屋刑事は感情移入できるほどタフガイでもなく、女医鷲谷はケイのように問題を解決する訳でもない。
更に損をしているのは、緑川の内面が描かれていないこと。鈴木一郎の描写も物足りなかったと思います。
人物やその背景にもっと丁寧に書き込めたら、大傑作でしょう。
脳男Uを購入しました。
面白いということです。
前半と後半のギャップ
「心を持たない男・鈴木一郎」、彼の誕生や現在に至るまでを探るくだりはぐいぐい引きこまれたが、後半のハードボイルドな展開は、鈴木一郎が「心を持たない」ということとあまりにかけ離れ、別の人間が登場しているかのような錯覚に陥るほど。
着眼点は面白く、もっと別な形で「鈴木一郎」を活躍させたらよかったのに、と思わせた。
こなれたベテラン作家を読み続けていると気づかないが、文章の運び、物語の組み立てが如何に難しいのか解らせてくれた本でもあった。
勝手ですが
このタイトルはかなり衝撃的でした。
今、「脳」トレとか、「脳」って言葉にみんな敏感な気がするし。
主人公「脳男」の鈴木一郎は私の中で衝撃的でした。
痛みを感じない、一度見たものは二度と忘れない。
人の言う事を脳の中で理解しているのだがそこには「感情」と言うものがない、「人間」を演じている様にも見えるし、誰にも
手の届かない所に感情と言うものがあるような気がするし。
この人物に関しての模写が凄く絶妙に表現されていて
「悪」と「善」とは記憶の中で育っていくものなのか、
人間の本質なのだろうかと、精神論に近い感じがして、面白かった。
自分の中で「ターミネーター」を思い出した。
主人公ありきな感じで終わってしまいましたが、
サラッと読める文章は良かったです。
「脳男」…ぐっと興味惹かれるタイトルです。巧い。
着眼点が非常に面白いと思いました。「脳男」と言う奇抜なタイトルも
幸いして一気にストーリーに溶け込めました。特に「心を持たない男・
鈴木一郎」に魅力を感じました。本格派ミステリーを期待している方に
はオススメできませんが、それ以外の方にはオススメできます。やはり
登場人物が魅力的というのは小説に限らずストーリーのあるものでは
必須ですよね。
中盤までは上記に書いた通り非常に楽しめたのですが、ラストに近づく
につれて勢いが薄れてしまった印象を受けました。やはり鈴木一郎の
魅力が薄れてしまったのが一番の原因かと…常軌を逸した人物で最後ま
で描いて欲しかったです。(非常に残念)
映画の原作としても使えそうなテーマなので是非映画化を。ただ、鈴木
一郎を表現するのは難しそうですね。それ程のキャラクタです。是非。
考えさせられる
感情がないってどういうことなのか。考えさせられました。
茶屋警部と脳男である鈴木一郎のキャラクターが魅力的。
とくに脳男、感情がないはずなのに肩入れしたくなってしまいます。
個人的にはそんなに読みづらくは感じませんでした。
クライマックスとかは結構手に汗にぎる感じでした。
ただ、女医さんと脳という共通点からか逢坂剛のさまよえる脳髄を思い出しました。
題名の割には・・・
「脳男」っていう題名に惹かれ、
読んで見ましたが。。。
申し訳ないですが・・・
「脳男」の生い立ちや人間性も表現されきってないとしか。。。
茶屋警部という登場人物には面白みを感じたものの・・・
全編から伝わってくるもの特になし。。。
これも乱歩賞受賞作???
期待はずれ
評判倒れというか期待外れ。
とにかく文章が下手。
会社員も経験したようだが、人に読んでもらうという文章を書いて来なかったのではないか。一人で自己完結するところは主人公の女医にそっくり。
この主人公と来たら、読み手が感情移入する前に自己完結してしまう。
まるで読者が感情移入するのを許さないかのよう。
そういう感じだから、読み出して60ページほどは死ぬほど退屈。
そのあとも結構退屈なんだけど。
乱歩賞でなかったら読むのをやめていただろう。
これで全審査員が絶賛とは信じられない。
乱歩賞作品を読む時、私は作品よりもどちらかというと作家の将来性に重きを置く。
そういう意味では、著者が作家一本でやっていないのは正解だと思う。
本来なら星一つとしたいところだが、乱歩の名前に免じて星二つ。
乱歩賞はとにかく読むと決めている人以外には薦めない。
人間を人間たらしめているのは「脳」なのか?「感情」なのか?
正直、もっと「おどろの世界」期待していたら、さほどでした。
なんか地味な話ですよ。
脳の機能が特殊な部分だけとても発達して、読んだ本はすべて記憶。
でも、感情とか体と脳が切り離されていた脳男。
それが、あることをきっかけに思考を始め・・・という感じ。
この、脳男が憎めないキャラなんです。
人間を人間たらしめているのは「脳」なのか?「感情」なのか?
「感情」と「脳」は違うのか?
ちと、難しいですね。。。
着眼点が素晴らしい
最近の乱歩賞では出色の出来。ありきたりのサイコ・サスペンス物とは一線を画す着眼点が素晴らしい。作者が脳の構造・機能に詳しい訳ではないと思うし、主人公を分析する精神科医の女医もご都合主義的な役回りだが、主人公の設定・行動で読ませる。
主人公は生まれつき脳と体のスイッチが切れている。言葉も話せない。その代わり、脳の中には本で詰め込んだ情報が図書館並みに入っている。こうした状態が起こり得るかは疑問が残る所だが、ミステリの設定としては面白い。そして、祖父の復讐のための偶発的な殺人をキッカケに彼の世界が鮮明になり、言葉も話せるようになる。体もある程度自由に操れるようになる。そして、彼から見て世の中の害になる人物を殺し続ける。理由は倫理観ではなく、そうする事によって脳と体のスイッチを繋ぎ留めるためである。ここに「脳男」の悲哀を見る。
物語は主人公の真の姿を探求する形で進むので、決してハデな展開ではない。しかし、これを丹念な描写で追って、寒々とした真相へ読者を導く手腕は買える。奇抜な設定を織り込んで、特殊な肉体・心理条件を持った人間の悲哀を描いたサスペンス小説の傑作。
