- [著]奥田 英朗
- カテゴリ:
- 文庫 (414頁)
- ISBN:
- 4062739674
- 発売元:
- 講談社 (2004/03)
- 価格:
- ¥ 660 (税込)
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及川恭子の追い詰められ、転落していく様
上下巻合わせておよそ800ページありますが、早くページを進めたいという気持ちになります。
140ページあたりに記載されているあるハイデックスの火災事故が起きてから、少年の渡辺裕輔、警官の久野薫、火災事故の第一発見者及川茂則の妻でパート勤めをしている恭子それぞれの喜怒哀楽の人間劇場が始まるといったところだろう。犯人捜しよりも、それぞれの登場人物の人間ドキュメントを味わってほしい。特に、及川恭子の追い詰められ、転落していく様は本書の見ものである。
上巻でいえば、久野が渡辺裕輔らを骨折に見舞ったことや花村を尾行していたのがばれたことが下巻までつきまわることになる。
転落と復活の群像劇
ありふれた日常が足元から崩れ、あれよと言う間にドン底まで転落して行く女と、全てを失った状態から緩やかに復活する刑事の物語です。
面白いと思ったのは本作のタイトルが指し示す通り、登場人物たちが悉く邪魔しあい、ともするとありがちで単調になりそうなストーリー展開に鮮やかな彩を加えている点でした。おそらく登場人物の誰かが──たとえばそれは本庁から出向いてきて面倒くさい要求をするキャリア組の刑事でも、スーパーの休憩室で怪しい水やら野菜を同僚に売って回る妙なおばさんでも、または優しさや安らぎの象徴のような、あの素晴らしい義母にしても、一人が欠けただけでこの物語は、味わい深いあのラストシーンに辿りつけなかったように思います。
改めて、物語の本質は「関係」にこそあるのだな、と実感しました。
良書です。お勧めです。
実人生の世界
とにかくリアルすぎて怖いくらいです。(作者の文章力がすごすぎ)
かんたんに引き込まれました。(幸せ?にひたれます)
義母の件は ? ですが。
一読おすすめします。「最悪」注文しました。たのしみです。
「最悪」を読む前に読むべし
どうしても、「最悪」との比較になってしまうが、
「最悪」のほうが文句なしに面白い。
この作品とて、決して面白くないわけではなく、むしろ標準以上の出来と思うが、
私は不幸にも、「最悪」を先に読んでしまったため、上記のような感想しかもてなかった。
これを読んだのは、もう5年近く前だが、
作者がこんなにBIGになるなんて、思いもよらなかった。
途中でやめられない
奥田さんの人間描写は実にすばらしい!!
多くの人達は、一生犯罪に手を染めることなどないだろうと思って生きていると思う。
けれど、この本に登場するごく平凡な主婦が、ささいな幸せ、普通の家族を守るために
自分を見失い、転落していく様子は実にリアルです。
この本を買う方は、上下巻セットで買っておかないと後悔しますよ〜
ポイントアップ
放火を主とした地味でありながら、人間味あふれる
良作!!上下あわせたら約800ページですがスラスラ
と読めてしまい良作!!物語は刑事のおじさんと
パート暦1年のおばさんの2人称で結成されています。
こっれて物語と関係あるの?こいつタマにでてくるけど
誰だよ?みたいなのあるけど、じっくりページめくれば
次々と笑顔。奥田氏の作品はヤクザが出てくることが
多くて良作!!
モデルの事件をよくここまで膨らました!
この本では放火になっていますが、実はモデルになった事件が存在します。それは1998年の「ザイエンス新潟支店毒物混入事件」。 動機もまるっきりこの本と同じですので、作者はこの事件にインスパイアされてこの作品をものにしたと思われます。 しかし、犯人の妻の疑心暗鬼と直感から追い詰めていく刑事の心の動きを柱に据えたため物語に一気に厚みと深みが生まれました。 現実の事件では半年後に逮捕されましたが、実際逮捕されるまで家庭内でこんな暗闘があったんじゃないかな、などと思わずゲスな想像をしてしまいました。
男と女の壊れ方
平凡な日常が小さな事件により壊れていく。
その壊れ方は、男と女では全然違うのねという点がおもしろい。
女はとまどいながらも、どんどん強くなっていく。主人公の主婦は、痛々しいほどむごく、落ちて、壊れていくのだが、それでも生きる力に満ち溢れている。
反対に男は無意識にどこかに逃げようとする。遊びに、女に、妄想に、留置場でも。
平凡な生活から、社会の邪魔者へ。滑稽で一生懸命な人間に、どきどきしながら、一気に読める。
筆力のある作家のリアルな物語。でも(だから)疲れるよ〜
犯罪小説というよりも、「放火犯は・・・夫?」と疑惑を抱いた主婦の、苦悩と変容を描いた物語。
市井の人間の「普通の幸せ」が、あまりにもあっさりと壊れていく様子は、つい「もしうちの夫が・・・」と妄想してしまう。「誰にでも起きうる」「人ごとではない」と思われて恐ろしい。彼女の心の動きは本当にリアルだと思う。読むのがしんどくなるくらい。
もう一人の主人公の話も同時進行するのだけれど、こっちは不必要とまでは言わないけど、まあ、添え物。こちらにも比重をおいて読めれば「犯罪小説」「大藪晴彦賞受賞」というのもわかる。
長い物語だけど、飽きることなく読みやすく、時間つぶしには最適。ただし、読後感は爽快!とは言いがたし。筆力のある作家の、リアルな話だからこそ、疲れる。・・・おもしろくはあるんだけど。
人生ってここまで簡単に壊れていってしまうものだろうか
とある放火事件をきっかけに、どんどん悪い方へ人生が転ってゆく主婦と刑事の話。
主婦はなんとか「放火事件」をなかったようにしようとガンガン道を踏み外していくし、
刑事はその事件に関わることで振り回されるように人生を壊していく。
中盤からの二人はもう「見てらんない!(正確には読んでられない)」状態。
どんどん悪いほうへ悪いほうへ壊れていく。わたしは目を覆う指の隙間から読んでる状態。
この二人、特に過去悪いことをしたわけでもなし、なんでこんな目に合わなければならないのか。
でも、だからこそひとごとではなく、簡単にわたしたちにも起こりそうな出来事なのが怖い。
事件を起こした犯人、ことを起こした原因「以外」の「巻き込まれる人々」の話なわけで、
いつわたしたちが巻き込まれてもおかしくない。そういう意味でこの2人の顛末、とても後味が悪い・・・。
でも、読み物としてはとてもおもしろかったです。
