- [著]奥田 英朗
- カテゴリ:
- 文庫 (390頁)
- ISBN:
- 4062739682
- 発売元:
- 講談社 (2004/03)
- 価格:
- ¥ 660 (税込)
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どんどん追い詰められていく及川夫妻
下巻になって、cといった感じだろうか。恭子の立場になって考えてみると、なんでろくでもない夫のために自分が落ちていかなければならないのかという風に思うだろう。恭子の子供を守らないといけないという気持ちが強いので、今の生活を保つために自分が何とかしないといけないという風に思ったのだろう。
久野は、火災事故の犯人を挙げたいと思っている。それと同時にヤクザとつながった同僚の花村との確執や警察内部の確執とも闘っているように思える。また、7年前に最愛の妻を事故でなくしているという現実とも闘っているように思える。
最後の結論は、少しあっけないなという感じだった。久野と及川夫妻のからみがもう少しあってもいいのかなと思った。
奥田氏の小説は伊良部シリーズみたいに軽い気持ちで読めるものが多いが、『邪魔』や『最悪』のような重厚なミステリーも新しく上梓してほしいなと思うのは私だけではないと思う。
人生の転落
平凡な主婦が夫の放火が原因でそれまでの不自由ない生活が一転し、階段を転げ落ちるように不幸になっていきます。 自分の今の生活を守ろうとすればするほど、不幸になってしまいなんだか切なくなってしまった。 刑事・九野の義母の存在が良く分からなかったんですけど、どういうことですか? 交通事故の2日後に死んだということですが・・・。 でも、作中に普通に登場しますよねぇ・・・?
読後感が最悪。。
話自体は、幾人かの人間に降りかかる出来事が絡み合い読み手を飽きさせることがありません。実際私も、読み始めたら夜中を過ぎてもやめられないほどでした。そういった意味では素晴らしい小説なのかもしれませんが、読後感が本当に悪いです。私は主人公のひとりと同じ主婦なので特にそう感じるのかもしれませんが、読み終わった後に残るのは虚しさばかりです。結末も中盤盛り上がったわりには適当に決着をつけたような感じで、読後感も含めて評価をするなら星2つだと思います。ただ、結末までの話の運びは息つくひまもないほどの面白さなので、星3つで。
最後の最後が・・・
物語の展開やスピード感、そして登場人物たちの心理状態の変化の描写の仕方など、どれをとってもすばらしいです。また、この本には色々なコントラストがあって面白いと思います。
例えば、
逆境に対する男の弱さと女の強さ
警察と暴力団とどちらが怖いのか?
右翼と市民団体との行動の違い?
そういった目線で読むと、より一層面白いのではないでしょうか?
ただ、納得いかないのは最後の終わり方です。どうしても尻切れトンボの感が拭えません。
一生懸命守ろうとした子供達はどうするのか?
せっかくの作品が最後の最後に駄作になってしまった気がします。
その分星は4つとしました。
筆力のある作家のリアルな物語。でも(だから)疲れるよ〜
犯罪小説というよりも、「放火犯は・・・夫?」と疑惑を抱いた主婦の、苦悩と変容を描いた物語。
市井の人間の「普通の幸せ」が、あまりにもあっさりと壊れていく様子は、つい「もしうちの夫が・・・」と妄想してしまう。「誰にでも起きうる」「人ごとではない」と思われて恐ろしい。彼女の心の動きは本当にリアルだと思う。読むのがしんどくなるくらい。
もう一人の主人公の話も同時進行するのだけれど、こっちは不必要とまでは言わないけど、まあ、添え物。こちらにも比重をおいて読めれば「犯罪小説」「大藪晴彦賞受賞」というのもわかる。
長い物語だけど、飽きることなく読みやすく、時間つぶしには最適。ただし、読後感は爽快!とは言いがたし。筆力のある作家の、リアルな話だからこそ、疲れる。・・・おもしろくはあるんだけど。
人間て・・・
旦那のしでかした放火事件を知ることをきっかけに、
主婦が平穏な家庭生活の道から外れていくという話。
というか、主婦自ら立て直そうと繕うが逆にどんどん
転がり落ちていくような話だった。
平穏な家庭の主婦がどんどん変わっていく様が良く描かれていた。
普通、男性の作家が女性の心理や行動を描く時、女はそうじゃない、
そういう行動はしない、そんなに格好良くないとか、的が外れた描写が
多いことがあるのですが、この奥田ストーリーでは主婦の心理や生活を
よく知ってるなと感心したぐらいです。最後の主婦の変わり様や、
しでかした事には「え、そこまで・・・」と思いましたが、
家庭を守る為ならこんなにも変わっていくのだろうと妙に納得してしまった。
そしてストーリーに欠かせないのが九野刑事でしょう。
最愛の妻を亡くしたのをきっかけにこの人の精神も何かが崩れていた。
放火事件を担当するという役割の中で、九野自身のストーリーもうまく
織り込まれている。人間というものは何かのきっかけでこうも普通の
精神の世界から外れてしまうんだなと、特に後半は興味深く読み終わりました。
九野刑事の義母の存在は何だったのだろう?と、
最後まで興味を引かれて一気読みです。
主役の主婦のストーリーも良かったが、九野刑事のストーリーはこの本には
欠かせない要素となっています。読後感は星4〜5ぐらいはいってます。
落ちていく
下巻は結末が知りたくてイッキに読んでしまいました。人にはどんなにがんばってもうまく行かない時があります。その落ちていく様子がおもしろく描かれていました。また、それに反した行動をしだすのも成る程とうなづけました。事件そのものよりも、主婦恭子、刑事九野の内に秘められた心理がよくあらわれていて納得の本です。
「恭子」のキャラクター設定は素晴らしいのだが…(下巻)
ある会社の事務所が放火される。犯人は誰なのか…。この作品は放火事件の捜査を軸にして、家庭の崩壊、警察内部のゴタゴタ、企業の不正と暴力団etcと盛りだくさんの内容が書かれているのだが、犯人探しが目的ではなく、事件を巡って起こる人間の悲喜劇である。
解説でこの作品を「ある種爽快に道を間違えていく主婦(恭子)と、やむを得ず壊れていく刑事(九野)の切ない物語」とうまいこと表現している。確かに「恭子」の描かれっぷりは素晴らしい。テンポのいい文章なので上下巻一気に読めた。しかし、読後は満足よりも不満の方が多かった。
「恭子」のキャラクターと行動を除いてこの作品を考えてみれば、普通のサスペンスである。2時間ドラマといってもいい。警察内部を描いた部分でいえば横山秀夫の小説の方がリアルで面白い。「九野」について設定されたドラマも必然性がなく、ただ湿っぽいだけのように感じられた。個人的には、「恭子」にだけ的を絞ったほうが良かったのではないかと思う。
私は「イン・ザ・プール」で初めて著者の作品に触れたのだが、この「邪魔」では、「恭子」を除いてその弾けっぷりをみることは出来なかった。ただ、様々な題材を扱う作家のようなので、はずれがあっても仕方ないといえば仕方がない。マンネリよりは余程いいと思う。
最後はほっとする。
最後はほっとする。収まるべきところに収まるから。
でも中盤から後半にかけて。読んでいるこちらが暗くなってくるほど、やる気がなくなるほど、登場人物はみんなうまくいかなくなる。みんな一生懸命自分の信じる道を進もうともがいているのに。決してそれは間違ってはいないのに。最初のパーツとなる部分でほんの少し位置がずれてしまったがために、人生がぐらんぐらんと揺れる。その様に凹む。。。
人生こんなものなのか?そうすると自分もいつ踏み違えるかわからない。気をつけよう。。。
下巻は、読むのを止められないくらい面白い
普通の主婦のたくましさに拍手。夫の起こした放火事件がきっかけで、なりふりかまわず、こんなにも強く変われるのかと驚いた。新居や子ども、平凡な暮らしを必死で守る母親の行動力には、すごいものがあると思った。
上巻は、警察組織の内情を興味深く読んでいたけど、下巻になったら急展開。ええ〜っという、驚きの連続。書いている作家も、面白くて筆を止められなかったんじゃないだろうか。
