- [著]中井 英夫
- カテゴリ:
- 文庫 (420頁)
- ISBN:
- 406273995X
- 発売元:
- 講談社 (2004/04)
- 価格:
- ¥ 730 (税込)
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三大奇書……
あまり面白くないです。
一番面白いのは、数人の自称探偵が推理比べをするあたりまで。
「人の心」というブラックボックスを使って、あまり納得いかないストーリーを展開した作品だと思いました。
重要に思えたモチーフがあまり生かされず、「人の心」の方へ逃げてしまう。
ミステリのお約束を外した意味で「反推理小説」だとしたら、面白さを求めるのは筋違いなのかもしれません。
純文学にとってのボルヘスのようなものか。
ミステリを五百冊も読んで、あらゆるパターンが頭に入ったマニア向けかも。
「読者自身が犯人」という煽りほどの感動はないと思います。
うーむ・・・
恥ずかしながらこの作品の存在を最近まで知らず、
なにぃいいい、「黒死荘」、「ドグマグ」と並ぶ三大奇書・・・・?!
とばかりに慌てて読み出しましたが・・・ストーリーとキャラ設定は面白くって満足しましたがトリックはこんなもんかぁ、という感じでしたね。アンチ・ミステリだそうなので、そもそもトリック云々を議論する方が間違っているのでしょうか?? だとすると他の2作程の規格外的な凄みは感じなかったなぁ。しかし、これだけ評判とっているのだから、私が汲み取りきれていないのかも。もう一回読み直してみます。
無人島に持っていく一冊として殿堂入り決定!(私はね)
私が持っているのは前の版のですけどね。頭が青い薔薇の人がギターかなにかを弾いているという妖しいヤツ。
あの表紙好きだったんだけどなぁ。。
読んだのは大学一年のときですから今から10年ちょっと前くらいですけど。
最初のゲイバーのところから、すごい引き込まれて、徹夜で一気読みしたのも懐かしい思い出です。
何回読んでも色々な解釈ができるのがこの作品の良いトコロだと思います。時代の空気も楽しいし。
ただこの作品、読む人によって相当反応が違うのもたしか、私も当時「この本凄いよ!」って言って本好きの親友に貸して「どこが良いのか全然わかんない」って言われて大論争したものです。
最後のカーテン描写が冒頭のシーンと繋がってきて、幕がおりた劇場のような気分にさせられるところとか、私はなんか泣きそうだったんですけどね。(あああ、すごく練り上げられた作品だったんだなぁ…って思って)
作者は、いつか「虚無への供物」以上の作品を書く、書く、といって、結局果たせず亡くなられた、と何かで読んだ記憶があります。(私はこの本を一冊残すだけでも、作家としてすごい功績だと思います。)
書いた本人からして重荷にすら感じる作品…それが本作なのでしょうね。
「虚無への供物」は様々な分野に該博な知識を持つ作者が、構想、執筆に10何年もかけ、練りに練った大作です。
ようするに、読む方も覚悟がいるのでしょうね。私もたまに読み返してみて、いつも新しい発見がありますし、未だに良くわからない部分もあります。
そういう意味ではパッと読んで、わかったり、楽しいという本ではないですけど、読んでみて欲しいな〜と思います。
…で、前述の親友が最近の理不尽な某事件について話していた時に、ぽつりと「…まさに虚無への供物だね。」っと呟き、さらに「そうか、そういうことか。。」と言い。「あの本、今度また貸して」と言いました。
…そういう本です。。
洞爺丸と羊諦丸
本作が日本を代表するアンチ・ミステリである事は論を待たない。作者は何故、本書を書いたのか、そして通常のミステリではなく何故"アンチ"の形式にしたのか。
本書が洞爺丸の海難事故を契機に書かれたことは有名である。死者、1155名。未曾有の海難事故である。この事故で生き残った人々の一部の人を題材にして水上勉氏の「飢餓海峡」が書かれている。この事故(私の生まれる2年前)が当時の人々に大きな衝撃を与えたことが分かる。しかし、その衝撃と「虚無への供物」がどう関係するのか ? 函館から出航した洞爺丸の対岸、青森では実は羊諦丸という船が"危険を察知して"出航を見合わせていた。「洞爺丸」と「羊諦丸」。本作に頻繁に現れる2面性を象徴するのが、この2つの船ではないかと思っている。
本作では色に関する数々の趣向、幾多の推理合戦等、盛り沢山の要素が積み込まれている。しかし、それもやがては"水泡"に帰してしまうのである。また、冒頭からでも途中からでも、通常の本格物として書ける筈の内容も水泡に帰してしまうのである。最後まで読んで、真犯人(途中で明らかになっている)に辿りついても徒労感を感じるだけである。全ては「虚無への供物」という訳だ。
罪な書 その1
面白いです。冒頭からいきなりゲイバーで始まるし、「五色不動」、「聖不動教」、「アイヌ」に「不思議の国のアリス」にポーの「赤き死の仮面」、薔薇などの植物の色、誕生石、シャンソンの歌詞。色に彩どられた登場人物と事象が見事に絡み合っている。よくもここまで色々な事を絡め合わせた物だと思うが、色を中心に考えれば難しくはない。作者はこの作品をアンチミステリーと公言している。後半途中の「黄司」の件で作品を純粋な娯楽ミステリーにしてしまう事も可能だったし、作中で語られる、素人探偵たちの様々な憶測のどれかをメインにして完成させる事も出来たのだが、あえて作者はアンチミステリーにした。当時の戦後の混迷期の様々な不安、頻発する異常な事故、事件、それらの作者の生きた当時の体験と不安から、作者はミステリー小説など今の時代には存在してはいけない。と結論した様だ。よってこれは非常にタイムリーな小説である。当時の作者の判断は正しかった、もしくは正しくなかったかもしれないが、いつの世でもこの作者が到達した考えの終着点が通用する物でもない。時代は移り変わる。この書が書かれた時代に読んでこそ意味がある。時間が経過した現在これを理解して読むには、当時の社会状況と人々の精神を勉強、想像して読むしかない。この書が推理小説のバイブルみたいに扱われ、何度も読み返す気持ちは分かる。当時の事を計り知れない読者はその時々の常識の感覚で読むため、常に新しい発見があり凄い書だと思い、陶酔するのだろう。なにもこの本に限らず、全ての過去に書かれた書は書かれた時代背景と社会構造、人々の精神、それらを含めて勉強して読む必要がある。タイムリーに読めた人にはそんな事は必要ではない。文学という物は未来の住人にはまさにパラレルワールドに迷いかねない危険性に満ちている。(下巻に続く)
長い、本当に長かった
文庫での新装版として評価が高かったので読んだ。アイヌの呪い、呪われた一族、昭和30年代のゲイバー、すさんだ世相、素人探偵の推理、等導入部では非常におどろおどろしい魅力があった。しかし、読んでも読んでも密室殺人の推理等話が進まず、そのうち、読者としては誰が犯人でどんな動機だったかなど、どうでもよくなってしまった。読み終わってみると無駄な時間を費やした感が強く残った。
“虚無”の面白さ
摩訶不思議な殺人事件の連続と“探偵たち”の広範な推理が、最後の最後まで耽々と楽しめる二冊。
また個人的には推理小説というよりも題名にある“虚無”の意味を頭に置きながら作品を読んでいくことで世界観や作品の味わいが深まり一層面白くなった。
俗に探偵小説の<三大奇書>の一つに数えられる本書は、その他の『ドグラマグラ』(夢野久作・角川文庫)『黒死館殺人事件』(小栗虫太郎・ハヤカワポケットミステリー)を読んだ後でも、読み応え十分なものであったと思う。
今の時代だからこそ読んで欲しい。
若い人にこそ読んで欲しい、と思ったら文庫で新たに上下巻でましたね。
これが、作者「中井英夫」が生きていた間にもっと売れていたらとおもうと胸が痛みます。人間の空しさを書いた本で、前にNHKのBSで、深津絵理、中村トオルなどが出演して映像化もされたのを思い出します。(再放送されないかしら)
これを読んで、シャンソンを探したりと、懐かしく新しい発見も出来るとおもいます。
推理小説でありながら、人間の心理を本当に書いた希有な名作だと思います。
漂う禍禍しい気配・・・
推理小説好きにはあまりにも有名な作品。
戦後の暗いイメージと物語の禍禍しさが見事にマッチして、おどろおどろしい雰囲気を盛り上げている。
作中、推理小説マニア達が集まって推理合戦を繰り広げるくだりがあって盛り上がるが、読後には何ともいえない虚無感に打ちのめされる。
遊び半分で殺人を扱ってはいけないんだよといわれてるようだ。
旧版は読んだことがないが、新装版は字が大きく行間も広いので読みやすいように感じた。ただし、上下2冊買わなければならないので、懐は痛い・・・。
