蒼穹の昴(3) (講談社文庫)

  • [著]浅田 次郎

カテゴリ:
文庫 (372頁)
ISBN:
4062748932
発売元:
講談社 (2004/10/15)
価格:
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7,431 位
評価: 4.5
2008
05/23
Fri

清朝末期と日本の幕末には共通の壮大なドラマがある

[No.10] posted by Teddy

地主の次男、梁文秀(史了)とその地の貧民の子、李春雲(春児)。
科挙登第を経て国政を担うこととなる史了と、宦官という
方法で内廷のトップまで上り詰めた春児。
二人の男(!?)を通して、清代末期西太后が実権を握っていた
王朝内部の動乱とそれにかかわる人々の思惑を描いた
壮大な歴史小説。

読み進めていく中で感じたのは、日本の幕末との
共通性。もちろん、時間的共通性もあるんだけど、
欧米列強のプレッシャーを受けながら、従来の
権威をいかに保つかという苦心と、国を存続させるためには
改革を進めなければという維新の思いとのせめぎ合い。
違いは、日本が明治維新という中からの改革で国体変化を
成し遂げたということと、日本が列強の側に加わってきたと
いうことか。やっぱり中国は大きな国過ぎて、紫禁城の
中にいては危機感が伝わってこないのか。

現代の中国も変革が必要な時期に来ていると思うけど、
そこはやっぱり歴史を学んで、中から変わっていって
もらわないと。「党」という「王朝」も絶対ではないのだから。

結局、4月の北京旅行前に読むことは出来ず、旅行の
帰りから読み始めたこの本。途中で出てくる地名だとか、
建物の名前は、実際行ったことで具体的にイメージしながら
読めました。そういった意味では、行ってから読んで
よかったのかなと思いますが、読み進めるにしたがって、
あっ、ここも行ってみたかったななんて思うところも
また出てきたりして。
なので、来月の休みのときにまた北京に行ってみようかと
思ってみたりもして。

2008
03/28
Fri

李鴻章の香港の交渉が秀逸

[No.9] posted by ろぼ

袁世凱の暗殺失敗、李鴻章の香港の交渉など、内に外にストーリーが展開するところが面白いですね。

2007
12/08
Sat

愛が深い故の悲劇

0.0% (0 / 1)
[No.8] posted by 月読

本巻で、これまで清朝を支え続けた恭親王と李将軍が表舞台から退場し、紫禁城では西太后派と皇帝派の争いがもはや止める事が出来なくなってしまいます。

前巻でもそうでしたが、この巻でも全般的に示されているのが、皇帝に対する西太后の限りない愛。本来ならば、天命を失った清の幕引きを降ろす役割を担うのは、皇帝の役割のはずなのに、「あの優しい子にそのようなむごい仕打ちをさせられようか」と、自らが非難の的になることを省みず、その役割を代わりに果たそうとする西太后。

直接の親子でもないのにも拘らず、いやそれだからこそ、西太后と皇帝の情愛の深さには感動しますし、その一方で、彼等の周りにいる延臣達の殆どが、2人の気持ちを理解することなく、逆に二人を苦しめるように事態を悪化させていく有様に暗然とした思いを受けます。

あと、改革派の旗手として現れた康有為ですが、史実でもああいう性格だったらしく、インタビューした日本の新聞記者が「ああいう人間だから、事を成せなかったのだ」と、あきれ返ったという逸話を残しています。

2007
08/31
Fri

李鴻章が八面六臂の大活躍

0.0% (0 / 2)
[No.7] posted by ポンポコペン

いよいよ第三巻ですが、この巻では清朝が欧米列強に蹂躙され、
翻弄される様子が描かれます。
そこで、李鴻章なのですが、第三巻の見所はやはり李鴻章の政治手腕
ではないでしょうか?
特に香港の割譲に関しては、英国への「割譲」ではなく「貸与」と
した英国側との交渉の場面が、たいへん凛々しく描かれます。
99年後(この辺の数字の意味については小説を是非読んでください)
英国によって繁栄した香港が中国に返還される。
まさに敵国に富ませた香港が99年後に中国に返還され、その富を
そっくり貰い受けるという戦略。すごいではありませんか…。

2005
12/19
Mon

皆から慕われ、星の力を借りずに出世する主人公

0.0% (0 / 4)
[No.6] posted by くろやぎ

 清朝末期時代を描いた歴史小説の第3巻。
 第11代光緒帝が即位しても西太后は政治の実権を手放しません。西太后に引退を迫る「変法」勢力と、西太后が引退すると失脚してしまう守旧派が勢力争いを展開していますが、その間に、列強諸国による中国の植民地化が一段と進みます。英国から香港の割譲を迫られた清朝廷は、李鴻章を全権大使に任命し、なんとか「99年租借」で決着をつけました。
 主人公の文秀は「変法」勢力の中心人物となり、もうひとりの主人公の春児は西太后の側近の宦官として、敵対する政治勢力に身を置くことになります。

 宦官となった春児には、もう守るべき家族がありません。寂しさを埋め合わせるように孤児院を経済的に支援したり同僚の借金返済に力を貸したりしますが、次第に皆から慕われるようになりました。
 老いた宦官から「神様ってのは、こういうもんだ」と抱きしめられ、イエズス会の司教から「春児は、主イエスの現し身です。デウスがこの貧しい国の民のためにお遣わしになった、天の使徒ですよ」と賛嘆されます。
 第2巻で昴の宿星など無かったことが明かされた春児でしたが、星の力を借りずに宦官の頂点に登りつめる日がいよいよやってきました。

 文秀と同じ年に科挙の試験に合格した二人の友人にも、重要な役回りが回ってきます。
 一人は光緒帝の伯父が死ぬときに「西太后を殺せ」という命令を受けました。
 もう一人は、乾隆帝の霊から「真の龍玉を守護せよ」という使命を与えられます。

 いよいよ第4巻は清朝末期の動乱に突入します。
 この物語の壮大な伏線である「真の龍玉」とは何なのか、主人公たちがどのような運命をたどるのか。

 あー、早く第4巻が読みたい!

2005
08/07
Sun

列強と中国分割

40.7% (11 / 27)
[No.5] posted by 街道を行く

全4巻で描かれる清朝末期の中国。後半に入り、日清戦争の勝利で西洋列強の仲間入り(又は競争相手)を果たした日本も加わっての中国が切り刻まれてゆく様子が描き出される。租界地を拡大し、中国の中に自国の領土を拡大してゆく姿は、他国蹂躙以外の何物でもない。そういう中で中国を守り抜こうとする人達の活躍が胸打つ。中でもイギリスと香港租借を巡って李将軍が登場するシーンは名場面。香港が何年か前に中国に返還されたが、その交渉が描き出される。99年(99とは永遠の意味と説明し)という今から見れば遥か彼方だが99年後の人から見ればそれ程昔ではない期間を貸し出すという5000年の歴史を持つ人達の知恵を振り絞った防衛が行われた。主人公達も階位が上がり、歴史的人物の間に入って活躍をし始める。著者の作品に共通するリズミカルな文章であっという間に読み進められるのが良い。

2005
05/01
Sun

壮大な絵巻物のよう

66.7% (4 / 6)
[No.4] posted by eriko-m

中国の清時代、国のために運命を翻弄されながらも必死に生きた人々がいた。日本の幕末のような壮絶な人々の人生がこの中国にもありました。昴の星の元に生まれた春児は、この国のまさに希望の星でした。
「私はあなたたちを愛しています。だからあなたたちも僕のことを愛してください」
一番印象に残った言葉です。

2005
01/16
Sun

すごくよかったけど・・・

11.1% (4 / 36)
[No.3]

すばらしいお話でしたが、3巻の第5章 謀殺での小梅と王逸の1シーンで浅田次郎氏の人間としての未熟さ故の残酷さに涙が出そうになった。
聴覚障害者の小梅の声を「言葉も獣のほえ声に似ている」と表現していたので、自分の声を確認できない聴覚障害者はこの文章を見てどのように思うだろう?自分の声も「獣」だろうか?と悲しむに違いない。
ハンセン病患者についての表現が同じく文中にあったが、それは、病気にかかってしまったため、お城を追われたという理由付けになっている。しかし、聴覚障害者の声についてはストーリーに何の意味もなさない。
その部分だけ最低。人間として最低。
できれば修正してもらいたい。

2004
11/06
Sat

西太后の虚と実に迫る第3巻

40.0% (2 / 5)
[No.2] posted by 竹の梯子

ぼくの場合は映画「ラストエンペラー」の影響が強いと思うのだけれど、「西太后」と言えば、私利私欲の権化、天下無敵の恐ろしき大悪女というイメージを抱いてました。それが本書によって彼女に対する見方が変わってくるのです。煙のないところに火は立たずと言いますから、確かに表面的には権力を欲しいがままに行使しまくっている面もあるのですが、浅田次郎は果敢にもその内面を掘り下げていくのです。すると、世界で一番不幸な女王が西太后だったのではないか、と。意中の人と別れて第2夫人として王室に入るものの、夫である帝には先立たれ、父の亡き跡を継いだ息子がどうしようもない不良息子で身を崩してまた先立たれ。さらに時代の波が彼女に政治に関わることを強要する・・・。その後も色々絡んでくる、「意中の人」がまた嫌な野郎なのだ。読むほどに奥が深まるエンターテインメント大作です。

2004
11/03
Wed

解釈

72.7% (8 / 11)
[No.1] posted by ペトロニウス

僕は文系の世界史受験だったので、中国近代史の主要人物はほとんど覚えている清朝の康熙帝や乾隆帝、末期の光緒帝、西太后や康有為、袁世凱、李鴻章などなど。しかし、彼らがこんなにも身近で血肉を持って感じられるとは!。これぞ小説の力だ。
とりわけ、まさに帝王の風格と織田信長のような型破りな中国最大版図を実現した乾隆帝や彼の右腕だったカスチリョーネというヴェネツィア出身の宣教師、傾国の毒婦として歴史に悪名高い西太后の新解釈、天才宰相として北洋軍建軍と近代国家のシステムの導入を図った李鴻章など、その生き生きとし、苦難の中でも凛として誇りを持つ人物の大きさの描写には感動する。個人的には、香港割譲の交渉をする天才的外交官李鴻章の手腕には、腰が抜けるほど感動した。

ちなみにルビが中国語でふってあることも、非常に興味深い。リコウショウではなくリイホンチャンだし、セイタイゴウではなくシータイホウなのだ。日本は、音読みで中国名を読む癖があるが、もしかしたらそれって失礼に当たる可能性があるのでは、と感じた。


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