- [著]浅田 次郎
- カテゴリ:
- 文庫 (388頁)
- ISBN:
- 4062748940
- 発売元:
- 講談社 (2004/10/15)
- 価格:
- ¥ 620 (税込)
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全巻を通して・・・最も面白い小説!
いろいろ意見はありましょうが、私はこの小説は最も面白い小説の1つとして是非とも推薦したい。
どこがそんなに良いのか・・・・
<1>清朝王国の末期の混沌とした情勢を、中国国内は勿論、ヨーロッパ、日本の情勢と違和感無く絡めており、広がりのある歴史小説になっている。
<2>しかも、それがごちゃごちゃせず、とても整然とストーリーが進んでいく。
(さすが浅田次郎の筆力です。)
<3>宦官、科挙制度という表面上の意味しか知らなかった中国の制度をわかりやすく、かつ 小説の重要な部分として描かれている。
<4>事実とフィクションとが違和感無く書かれており、小説の世界に引き込まれる。
本当によく調査している、筆者の努力とこの小説にかける気持ちが感じられる
最初は中国風のルビが付いるし、占い師の言葉からのはじまりであり、よく意味が分からず読み進めるのが苦痛でしたが、50ページ程度読んでからは一気に読み続ける事ができました。
とにかく、本当によくできた小説です。読んで後悔はしないと思います。
早く「中原の虹」を読みたいと思います。
清朝末期と日本の幕末には共通の壮大なドラマがある
地主の次男、梁文秀(史了)とその地の貧民の子、李春雲(春児)。
科挙登第を経て国政を担うこととなる史了と、宦官という
方法で内廷のトップまで上り詰めた春児。
二人の男(!?)を通して、清代末期西太后が実権を握っていた
王朝内部の動乱とそれにかかわる人々の思惑を描いた
壮大な歴史小説。
読み進めていく中で感じたのは、日本の幕末との
共通性。もちろん、時間的共通性もあるんだけど、
欧米列強のプレッシャーを受けながら、従来の
権威をいかに保つかという苦心と、国を存続させるためには
改革を進めなければという維新の思いとのせめぎ合い。
違いは、日本が明治維新という中からの改革で国体変化を
成し遂げたということと、日本が列強の側に加わってきたと
いうことか。やっぱり中国は大きな国過ぎて、紫禁城の
中にいては危機感が伝わってこないのか。
現代の中国も変革が必要な時期に来ていると思うけど、
そこはやっぱり歴史を学んで、中から変わっていって
もらわないと。「党」という「王朝」も絶対ではないのだから。
結局、4月の北京旅行前に読むことは出来ず、旅行の
帰りから読み始めたこの本。途中で出てくる地名だとか、
建物の名前は、実際行ったことで具体的にイメージしながら
読めました。そういった意味では、行ってから読んで
よかったのかなと思いますが、読み進めるにしたがって、
あっ、ここも行ってみたかったななんて思うところも
また出てきたりして。
なので、来月の休みのときにまた北京に行ってみようかと
思ってみたりもして。
登場人物は魅力的だけど
全四巻の通しの感想です。
登場人物のためにストーリーがある前半部と、ストーリーのために登場人物がいる後半の書き方がかなり異なるため、前半で登場人物に入れ込んだ読者(僕もですが)は大いに迷います。あれもこれも欲張ったためにストーリーもそれぞれに登場人物の人物像やドラマも中途半端で、紅白歌合戦を見てるような気分でした。
それでもすばらしい歴史小説だとは思いますが、司馬氏や塩野女史などの作品に比べると、少し賑やかすぎてちょっと野暮ったい気もします。
李鴻章と西太后の凄さが光りました
李鴻章と康有為の政治力の差、李鴻章の西太后への恋心、ミセスチャンの存在、そして、最後の脱出劇あたりが面白かったです。
前半は面白い
予言をもとに異なる人生を歩む
二人の主人公。清朝末期を舞台に話が進む。
科挙の試験や宦官への道が描かれた
前半は面白い。
しかし3巻、4巻と進むにつれて
二人の主人公よりも
激動の歴史のほうが際立ってしまい、
清朝の歴史レビューの中に
無理に二人の主人公が挿入されていると
感じた。
歴史の流れについても独自の歴史観が
書かれているわけでもないので
浅い印象を受けました。
いよいよ最終巻
清朝末期を舞台にした「蒼穹の昴」もいよいよ最終巻です。
中国が様々な部族の集合体であり、各王朝もそれぞれ異なる部族が
入れ替わり立ち代わり統治してきたので、本書ではたびたび各部族の
名称が登場します。その中に「韃靼(タルタル)」という部族が
ありますが、これはご存知「タルタルソース」のタルタルなんですね。
モンゴル系の一部族タタールのことで、クラシック音楽好きの人なら
ロシア人作曲家であるボロディンの名曲「ダッタン人の踊り」が
思い出されるのではないでしょうか?
脱線してしまいましたが、第四巻の見所はあれよあれよという間に
終局へ突き進んでいくスピード感でしょうか?
物語の終わり方については、読まれた方それぞれが、各人各様、
異なる印象を抱かれると思うので敢えて書きません。
ただ私は「えっ、もう終わり?」という感想を持ちました。
最終巻である本書には、ラストに陳舜臣さんの寄せ書きが
掲載されていますが、これがたいへん面白かった。
「圧巻」や「破天荒」などの熟語が実は科挙試験に由来した
熟語であることなど、なぜそう表現するのか説明も交えて興味深い。
本当は本書を手にとって読んで確認して欲しいが、ひとつだけ
「圧巻」についてネタをばらしてしまうと…
科挙試験の答案はたいへん長く、巻物状になって提出されます。
それを採点官が採点していきますが、受験者の数も膨大ですから
採点された巻物がそれこそ山のようにどんどん積まれていきます。
その一番上に、一番出来の良い、つまり首席である状元の
巻物が置かれます。その巻物は他の巻物を押さえつけているので
「圧巻」となるわけです…。面白いですね。
浅田文学の最高峰
もう10年近く前、学生時代にこの本を読んだが
未だ蒼穹の昴を越える歴史小説を見つけられない程
すばらしい内容であった。
以降、浅田次郎の本はすべて読むようになったが
お涙頂戴ものの短編が多く鉄道員の2番煎じでつまらない。
蒼穹の昴を越える文学を浅田が生み出せる時は来るのだろうか?
今のところ蒼穹の昴で浅田は燃え尽きたように思うのは私だけであろうか・・・。
やはり何度読んでも面白い!!
毎年恒例の旅行には、この4冊をカバンに入れ、いつも読んでいます。
一気呵成に読ませる、本当に面白い本だとは思います。
それぞれの人物の描き方は素晴らしいです。
建隆帝、西太后、それぞれの宦官、春児、その妹玲々(なんてカワイイのでしょうか)、それに、梁文秀、中でも、李鴻章ですね、格好良いですね、この本で読んでいると、西太后を愛しているかのように感じますね。李鴻章が出てくるところが、一番生き生きと書かれていると思うのは、私だけでしょうか?
何度も読んで、ようやく「蒼穹の昴」の意味が分かりました。
最期の、春児が宦官になるシーンで終わっています。それは、何を暗示しているのでしょうか? このシーンが一番、印象的です。
浅田次郎氏は、稀代の語り手の一人ですね。
これこそ、小説の醍醐味というのを味わわせてくれる4冊だと思います。
浅田氏は上手いなぁ〜けどアザトイ
中国語のピンイン表記は五月蝿い。毛沢東と西太后が同時代の空気を吸ったという事実を知らしめるのは意味あるものの、無理やり。
という風に浅田氏のアザトサを上げれば切りがないものの、とはいえそれでも氏の筆力はさすが。一気に読ませる。
まぁ清朝末期の小説決定版手付かずの時代に司馬の「韃靼疾風録」を参考にし、認めたのであろう。小説としては司馬の自己完結型・自己物語創作型の史観がないだけ、説教臭くなく良い。・・・結論:浅田氏は面白い、けどあざといという稀有な作家。
最後に明かされる「蒼穹《あおぞら》」の由来
清朝末期時代を描いた歴史小説の最終巻。
いったんは引退を決意した西太后も、自分を殺そうとする暗殺者が自爆するのを目の前にして心が変わります。第11代光緒帝が構わずに親政を開始しますが、あまりの急進改革ぶりに支持者が雲散霧消してしまい、孤立。改革派の中心人物だった主人公の文秀は、死を覚悟します。
もうひとりの主人公の春児は西太后の側近宦官のトップとして困難な舵取りをする西太后を支えます。
清朝の断末魔のような動乱を描いた物語は、ラストエンペラー(溥儀)が登場する直前で終わっています。
私はネタばらしをしない方針なので、それぞれの主人公たちが最終巻でどのような運命を迎えたか、という核心部分は、省略させていただきます。
……が、一つだけ、最後の場面を暗示する印象的な箇所を紹介します。
偉大な清朝第6代皇帝乾隆帝の時代に、イエズス会から派遣され異国の地に赴いたという、将来を嘱望されていた芸術家がいました。
この宮廷芸術家の手記に、次のような記述がありました。
たとえば百年ののち、この広大なチナ大陸のどこかで、主も神もヴァ
チカンも救えるはずのない貧しい少年が、私の芸術のもたらした福音に
よってすべての苦しみから解き放たれることを、私は信じています。
そのとき少年は、糞と泥とにまみれた小さな手を天に向かって拡げる
ことでしょう。
生命の歓喜にうちふるえる貧しい少年の瞳に映るもの――それは、す
べてのヴェネツィアンが、富も名誉も関係なく心から夢に見た青空、神
の作り給うた青空よりなお青い、蒼穹《あおぞら》にちがいありません。
本書を読み終わったとき、この手記が何を暗示しているかが初めてわかり、あまりの神々しさに、しばらく余韻に浸ってしまいました。
本書は私が昨年読んだ本のベスト5に入ります。ご一読をお薦めします。
