- [著]司馬 遼太郎
- カテゴリ:
- 文庫 (513頁)
- ISBN:
- 4062754010
- 発売元:
- 講談社 (2006/05/16)
- 価格:
- ¥ 770 (税込)
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関ヶ原では同じ西軍でありながら、近くにいる動きのあやしい吉川・毛利勢の動向を警戒するだけに終始し活躍の場も無いままに敗軍の将となって
長年幽居を強いられた盛親が、家臣、坊主、女らと接していくうちに大名としての決意を固め、
戦国最後の合戦の大坂の陣で最初で最後の一花を咲かせるという、人として一皮剥けて死地へ向かって活躍するその爽快さが良い。
「城塞」では大坂の陣における盛親の様子はあまり触れられていないので是非こちらをお読み下さい。
主従の友情の物語
盛親と弥次兵衛の主従の友情の物語と読みました。出だしの弥次兵衛が盛親の京都遊びを諌めるシーン、二人の別れのシーン、そして戦場で再会する最期のシーン。主従の友情溢れる物語だと思います。
もし盛親が東軍に付くことができていたなら、山内一豊が土佐守になることもなく、長曾我部のまま幕末を迎えたかもしれないし、そうなれば土佐郷士の活躍もなかったのかも、と思うとまたそれも面白し。
武士の生き様
政治の流れに乗れずに没落していく
長宗我部家。
武士として定めの中で
死に場所を求めているかのような
盛親。
「夏草の賦」で描かれた元親の憂鬱。
彼らの想いは、幕末まで土佐で
醸成され続けたのかもしれない。
戦国ものというよりヒューマンドラマ
この作品で司馬が描くのは長曾我部盛親。
関が原に敗れ、大阪の陣で敗れた、無能な2代目…というイメージのこの大名に見事に光をあてた佳作です。盛親が人生を転落していくさま、そしてどん底の生活から最後の大勝負にうってでるまでを、その性格や人間関係が濃密に描かれています。
イメージと異なり、盛親は武芸に秀で、戦上手でもありました。しかし、野望が薄く世の流れに身を任せてしまう性格であったことが、その運命を決めてしまった感があります。
戦国ものにも関わらず合戦シーンはごく限られていますが、キャラの異なる5人の女性との関係、旧友との友情と別れ、浪人時代に官吏とその情婦によって虐げられる様子、大阪の陣で城に籠もる浪人たちの爽やかな武将ぶり、などなど、人間くさーい描写が豊富で、楽しめる1冊です。
長曾我部盛親の心の中
英雄的な父親が築いた自家を滅亡させたドラ息子、という程度の認識でした。しかし、長曾我部家内の政治的混乱、急速に展開する世の中、常に後手後手にまわってしまう政策、関ヶ原では東軍に参加したいのに西軍に入らざるを得なくなってしまう不運等々、とにかく盛親が気の毒になってしまう前半。関ヶ原後は22万石すべてを没収され、あっという間に京都で浪人に。前々から元大名が浪人になってどう生活したのか興味があったので、つねに監視の目のある盛親の塾教師としての生活は興味深く読んだ。この本の面白いのは、盛親の心の中が手にとるように分かること。15年を超える浪人時代、そして大坂の陣で盛親が何を考えたかが、司馬遼太郎の暖かい視線で描かれている。緊密な主従関係にありながら、大阪では闘うことになる盛親と弥次兵衛の最期は圧巻。
なかなかの合戦ぶり
夏草の賦の続編、元親の息子、盛親の生涯です。盛親については、せいぜい関が原でぶざまに戦わず退き、そのことだけのために自国領土を失った二代目、という程度の知識しかありませんでしたし、一般的にも知名度は低い(一代目の元親にしてもそうですが)ような気がします。
しかし、本書を読むと盛親、なかなかの合戦ぶりですし、関が原も元親の死の直後であったため、つい中央の情勢に疎くなっていた虚をつかれた、という感の強いことも分かります。しいてあげれば元親がカリスマであり、彼が自ら亡き後の政治に対応する体制を土佐藩の中に作っていなかったことが最大の問題だったようです。
夏草の賦に比べると勇ましさは少なく、軟弱な感もありますが、やはり武士のプライドを感じさせるシーンは多く、男たるものいかに生くるべきか、共感すべきも多いと思います。
長曾我部物の集大成
時代背景的には夏草の賦の後の長曾我部氏の物語。
信親を失った後、放心状態の元親が引き起こしたお家騒動後
の後継者として跡を継いだ盛親。そして早々に勃発する
関ヶ原の戦い⇒敗退⇒領地没収と経験した後の盛親の生き様
が本書の主題。
戦国時代最末期にもっともタイミング、生まれ落ちた場所に
恵まれなかった盛親が何を考え、そして一塾教師として平穏な
人生を過ごすことも選び得た主人公がなぜ最後大阪の冬・夏の陣
に加わったのかの心の軌跡が綴られている。
男の生き様とは何か、主君に使えることとは何かを考えさせら
れる深さと痛快さを併せ持つ良書と言えよう。
