- [著]京極 夏彦
- カテゴリ:
- 文庫 (761頁)
- ISBN:
- 4062754207
- 発売元:
- 講談社 (2006/06/15)
- 価格:
- ¥ 1,020 (税込)
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ぬ。
百鬼夜行シリーズの外伝に位置する本作は妖怪研究家と伝説収集家の凸凹コンビがお送りするコメディータッチの話が4つ入っています。
嫌だ嫌だと言いつつも、多々良センセイとは腐れ縁の沼上君の視点で話はどんどん進んでいきます。彼の多々良センセイに対する突込みがいちいち面白い。多々良センセイの爆走を止められるものは誰もいない。
最終話には、我らが黒衣の男も登場。自分の看板小説ではないせいか、彼の言動もまたなんだか軽い気がしました。今まで読んだ百鬼夜行シリーズの小説には珍しく、これは本編を全く切り離して読んでも、十分楽しめると思いました。
妖怪への愛が感じられ、笑える本
導入部分は新幹線の中で読んでいたのですが、『馬鹿』に関する考証が見事で、別の分野で馬鹿な部分を持つ自分は、必死で笑いを堪えながら読んでいました。
妖怪馬鹿で子供で恥を知らないセンセイはある意味最強で、妖怪馬鹿だけどちょっとは大人で恥を知ってる沼上くんが、馬鹿を共にしつつも、センセイに迷惑を掛けられて怒って困ってるシーンは笑えます。
多々良先生と沼上くんは、その後本編にも登場シーンがあるので、やはり京極物ファンとしては押えておきたいシリーズだと思います。
最近気付きましたが、この多々良先生と沼上くんって、明確にモデルがいるようです。多○先生と○上氏。
『妖怪旅日記 (ホラージャパネスク叢書) 』を読めば明白だと思います。
ちゃっかり実在する旅仲間を登場させちゃう作者(「創造した人物とそっくりな人物が偶然目の前に現れたんだ!」と書いてありましたが)の遊び心を感じて笑っちゃいました。
水木先生と荒俣氏も出てきて、現実の妖怪馬鹿の旅日記も楽しいと思いますよ!
サイドストーリーの面白さ
2001年11月リリース。『岸涯小僧』、『泥田坊』、『手の目』、『古庫裏婆』の4編からなる多々良先生+沼上君を主役に据えた短編集。
京極堂は榎木津を主役に据えた百器徒然袋のようにサイドストーリーの方が本編より面白い、と思っている人はおそらく僕だけではあるまい。最近特にその傾向が強くなってきている。榎木津に負けず多々良先生も頑張っていて、沼上君との凸凹した妖怪道中はかなりの傑作だ。
中でも出羽を舞台にした『古庫裏婆』は特に素晴らしい出来映えだ。ここでは京極堂や監察医里村なども登場してくる。
こんなにサイドストーリーが面白いのは京極堂にそれだけ魅力的なキャラクタが集合している証拠でもあるだろう。次は監察医里村のサイドストーリーなんてどうだろうか。
よい落語臭。
京極堂シリーズ『塗仏の宴』にこそっと出てきた「センセイ」こと多々良勝五郎と「俺」こと沼上蓮次の「事件簿」、ではなく、やはり「行状記」。何故「事件簿」と言い切れないかは読んでからのお楽しみ。
趣向としては、ご存知天才絵師鳥山石燕の妖怪画、なかでも石燕が狂歌仕立てに拵えた妖怪画の絵解きに、我らが多々良勝五郎センセイが、事件に巻き込まれながら挑んでゆく、というものです。
主人公の二人は自他共に認める変人です。京極堂シリーズで変人といえば榎木津礼ニ郎が浮かびあがりますが、彼が超世間的な変人だとすると本作の二人は没世間的な変人。いずれ世間的には迷惑な存在には違いありませんが、本作の二人には迷惑承知で付き合ってみたいという親しみのようなものが(わたしには)わきあがってきます。その分だけ、同じ京極堂シリーズから派生した物語でも、『百鬼徒然袋』より『今昔続百鬼』の方が、わたしは好きです。
付け加えるならこの作品、どうも落語臭がするんですね。ドタバタコメディータッチなところもそうなのですが、まず人物設定があり、その人物設定を起因とする難儀・苦労が変に滑稽である点であるとか、その人物の酷く薄情な行為もその設定を通してみると大層な愛嬌に思える点などは、落語好きのわたしをすこぶるくすぐるところです。世間知らずな変わり者と多少世間知のある変わり者との取り合わせからして落語ですしね。京極先生が落語をお好きなのか、可笑しい文芸というものを突き詰めるとすべからく落語的になるのか、その辺のことはよくわかりませんが、落語臭フェチという方(変人?)も是非ご一読を。
これはこれで
京極堂シリーズとは一風かわった京極夏彦の傑作。
こんな話もあるのかと、京極先生の懐の深さにやられました。
軽いタッチでコメディとしても一品です。
一人でこそこそ笑いながら読める。そんな京極作品もありですね。
わたしはこれはこれで面白いと思いますし、むしろ好きですね。
多々良先生を読む
京極堂シリーズではあるが「多々良先生行状記」と銘打ち、多々良センセイという妖怪研究家が主役。「京極堂」はあくまでチョイ役でしか登場していない、別シリーズなのだ。物語は「妖怪」がテーマと、作者にしては珍しく直球勝負だなと読んでいると、そこはさすがの京極夏彦。ただの妖怪バカの主人公が、事件に巻き込まれてドタバタと騒動を起こし、妖怪について講釈を垂れるうちに偶然にも怪事件を解決してしまうというトリッキーなお話なのである。同じく妖怪好きの男を狂言回しに据え、二人で日本中の伝説や怪異を求めての珍道中を繰り広げるのだが、江戸の風物がまだ色濃く残っている戦後すぐの時代を背景に、相変わらずマイナーな妖怪たちに薀蓄を傾けている。
このような物好きな作家が居なければ絶対埋もれてしまう地方色豊かな風俗、風習、伝聞を掘り起こし、その背景や起源まで解説していく博覧強記。急速に失われていく妖怪伝説をこよなく愛し、日本全体どころか世界全体が均質な文明に覆われていく現代を憂う感性。因習が差別や偏見と表裏一体であることを指摘できるバランス感覚。さすがである。
また、個性豊かな「京極堂シリーズ」のキャラのなかで、多々良センセイは特に魅力的というほどのキャラではないが、愛すべき主人公の一人なのである。
マニアック
京極堂が活躍するシリーズに脇役として登場した民俗学者、多々良の物語。
多々良と沼上とのコンビが活躍(?)する、どちらかといえばマニアックかつ、コメディーな短編集です。
京極堂や榎木津シリーズとは違って大きな事件がおこるわけではなく、妖怪についての会話が繰り返され事件というよりフィールドワークという感じで、本当にマニアックだと思います。
京極堂、榎木津シリーズを想像していたのと、掘り下げ方が私にはついていけなかったので、星三つ。
