- [著]加納 朋子
- カテゴリ:
- 文庫 (369頁)
- ISBN:
- 4062754452
- 発売元:
- 講談社 (2006/07/12)
- 価格:
- ¥ 660 (税込)
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作者の人形遊び
天野可淡という人形作家をご存知だろうか?
彼女と、彼女の作品である「KATAN DOLL」を知っているかどうかで、
この作品に対する思い入れや評価は変わってくると思う。
天野可淡がいなければ、この作品は生まれてこなかった。
天野可淡と「KATAN DOLL」をモデルに、作者が作った人形が
如月まゆらと「まゆらドール」である。
如月まゆらの作る「まゆらドール」に関わる数人の人物の視点で
物語は展開する。
しかし、途中まで読むと「あれー?」と思う事になる。
そして、最初から読み直したくなる。
アングラ劇団の女優や、劇団内の人間関係、人形コレクターの
キャラクターなどは、ややデフォルメされている気もするが、良く
書けていると思う。
ただ、最後まで読むと、単純な話を、わざとこねくり回して複雑に
しているような印象が残った。
ラストが作者らしい
他の作品にくらべて雰囲気が異なることは他の方のレビューにもあるとおりですが、私はそれが心地よかったです。
この作者のほかの作品はちょっと善のにおいが強すぎ、じゃっかん説教くさく感じてしまうことあったので。。。
私の性格が悪いからかもしれませんが。
ラストにかけての主人公の気持ちの変化はこの作者らしい着地の仕方なので、だからこそちょっと残念。せっかく冒険しているので、もっとズバズバッと最後までいってくれてもよかったかな。ということで4つ。
だまされた
私は初めてこの著者の本を読みました。
著者の他の作品から入った人は作風が違うと感じられた意見が多いようですが、
私はこの本は秀作だと思います。
ストーリーは人形に関わる数人の登場人物の視点から
書き進められているのですが、さらっと素直に読んでいると、
後半「あれ?」と思いことになります。
私の勘違いかな?もう一度読み直してみないといけないかな・・・と、
自分の読解力の無さがそうさせるのかと不安になりましたが、
まんまと騙されたわけです。(ネタバレはできませんが)
全体にどんよりとしたストーリーですし、登場人物にいまいち好感が持てない
などの意見はありますが、後半にはストーリーの主役たちの成長も感じられ、
思い込んでいた冷たい親子関係も実は幼さゆえに誤解していたという
救われる面もあり、私は感動すらしました。
大きな盛り上がりはないですが、心理的サスペンス好きの方は
気にいるストーリーだと思います。
すごいとは思うけど・・・
最後まで読んで、おおっ・・・とは、なったんだけど〜・・・微妙。
作品としては、とても面白いと思います。
でも、加納作品の中では、異色ですね。
ほかの作品のイメージでこれを買ってしまうと、ちょっと後悔するかも。
あと、思ったのは、キャラに魅力を感じない。
作品のテーマや作りのための必然なんでしょうが、なんとも微妙。
ほかの加納作品のように、心にすとんと落ちてこない。
なので、☆三つ。
じっくり読んでください
人形には魂が宿っているのではないだろうか。そう思うときがある。
幼い頃暗い部屋に入ったとき、人形のほうを見るのが怖かった。
だが人形は時として人の心を癒す存在にもなりうる。この作品の中の
人形の果たす役割はとても不思議なものだった。なぜまゆらは聖によく
似た人形を作ったのか?だが、この真相よりも驚いたのは、作品自体
だった。思わず最初からまた目を通した。作品自体に隠されていた
ものに気づかなかった。これからこの作品を読む人には、じっくり
味わいながら読むことをおすすめしたい。
作者の冒険を評価するが・・・
北村薫ばりの<日常の謎>を主体とした心温まるミステリを書いてきた作者が挑んだ新境地。
書かれているのはおどろおどろしい倒錯の世界。
だけど、もともと優しく温かい文体だけに成功しているとは言い難い。
(ネタバレを避けるため詳しく書けないけど)作品自体に仕掛けたトリックを成立させるためか、わざとキャラが立たないような書き方をしているため、登場人物に感情移入できない。
問題のトリックにも「この作者なら、わざわざこんな小手先の仕掛けをしなくたっていいのになあ」と感じた。
安全圏から一歩踏み出し、新しい挑戦をする作者の姿勢は評価したいけど・・・。
フォーム改造後の最初の打席で、いい当たりのファールフライに終わったという感じだ。
著者の可能性を広げる作品だ
加納朋子のイメージは優しい雰囲気のあるミステリー風小説だったのですが、本書ではそのイメージを一身。
人形を主体に展開される筋は幻想小説を思わせるような魅惑あるテイスト。倒錯的な物語の展開にも今までとは違う雰囲気。
個人的には一つの作品としてはイマイチという印象がぬぐえないが、一つの可能性を感じさせる一冊ではある。
