- [著]高任 和夫
- カテゴリ:
- 単行本 (422頁)
- ISBN:
- 4062758202
- 発売元:
- 講談社 (2007/08/11)
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団塊世代の黄昏人生の考え方、生き方。
昭和22、23、24年生まれを中心とする団塊世代が還暦を迎える時期となり、その世代がこれから送る生活と活動と同じ感覚で、同じ目線で綴られており、自分と比較しながら、参考に或いは反省しながら、読者自身の定年後の行き方を考える時間をくれる作品である。主人公の藤倉は現在56歳、ふそう銀行で2年前に割増退職金をもらって早期退職勧奨制度に手を挙げた。不幸にもそれ以前に夫人を癌で亡くし、一人娘は結婚式直前であり、自身の住処は戸建てからマンションに引っ越して、というところから話は始まる。本来はここから働き口を真剣に探すか、地域デビューし、ボランティア活動を模索するだろうが、藤倉は本人曰く「規則正しい生活」を送るようになる。朝は食事代わりにビール、昼から焼酎かスコッチ、碁会所には行くが、夕方には飲み屋に、そして午前様と。このような毎日の行く末は空腹時血糖値500近くで救急車、入院だ。3週間の入院治療を余儀なくされるが、血糖値は徐々に下がり空腹時110、朝食1時間後200となって退院。これまでの間に藤倉は様々な人間模様の人に会い、話し、最後は自分の生きがいを見出し生まれ変わる。ほっとすると同時にほろ苦いラストシーンはとても印象深い。物産出身の高任和夫氏の描く銀行員がなかなかいい。銀行内部や設定や専門用語も正しく、銀行員の心もよくわかる。本書タイトル「債権奪還」という主人公藤倉の知人である債務者が銀行相手に私的整理をする場面が終盤に出て来るが、この作品の本筋はあくまでも藤倉の「自分探しの旅が終わった、大丈夫」であった。
団塊人間の末路に感じる不安と復活の物語
別に債権どうのってのは本筋ではない。なんか思いつきレベルのお話なんだけどなあw
こういうのに引っかかるほど金融庁の不良債権対策の締め付けが
銀行を機能不全に陥らせていたのかと思うと暗澹たる思いに
この本の本筋は仕事一筋の朴訥な銀行マンが妻の死を機に早期退職するが
することもなく酒浸りになって暗鬱としている日常を描いている
あまりにもダウナーな描写に読む方も盛り下がること請け合いである
主人公はDQNではないので酒浸りになるだけであるが
他には迷惑な人物が結構いたりするわけで
団塊の世代が退職して生き甲斐もないままに社会に放り出されれば
つきあわされる若者にとってはそれはそれで迷惑なことであろう
人間復活の小説
本書は企業小説ではない。人間の再生を描いた小説である。タイトルの債権奪還とは、人生おける債権、生きる力を取り戻すという意味だろう。
主人公の藤倉は、銀行を早期退職者優遇制度に応募して退き、癌で亡くなった愛妻との思い出の地に、終の棲家を求める。酒浸りの無気力、無節制、自堕落な日々。入院を切っ掛けに入院患者と触れ合う内に、いつしか生きる気力を取り戻す。ほろ苦い結末ではあるが、爽やかな印象を受ける。
登場する女性が魅力的だ。飲み屋の美人女将、嫁いだ一人娘、担当の看護師、交通事故の入院患者……。前向きに直向きに生きる姿が美しく、主人公同様に勇気付けられる。
ほろ苦い結末ではあるが、爽やかで、少しだけ明日への活力が湧いてくる。主人公同様に再生した思いがする。
経済小説というよりも・・・
「債権奪還」という勇ましいタイトルであるが、債権奪還の案件は中盤に話に出てくるものの、はっきり動きだすのは最終章(5章)。
それまでは何の話がメインかというと、銀行を早期退職した主人公藤倉の鬱屈とした一人暮らしの日々が綴られている。
妻を先に亡くしており、娘の結婚を機に一人マンションに転居したものの、酒に溺れ、あげくに病院に担ぎ込まれる。
いきつけの店の美人の女将や入院体験によって、主人公はすこしずつ変わっていくのだが・・・
これは経済小説の形を借りた、早期退職サラリーマン再生小説?といったところか。
