- [著]島村 英紀
- カテゴリ:
- 文庫 (316頁)
- ISBN:
- 4062758679
- 発売元:
- 講談社 (2007/10)
- 価格:
- ¥ 560 (税込)
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獄中記としてではなく
獄中記としての面白さは、山本譲二さんとか、宝島のそれ系の本とか、「刑務所の中」とかに比べると、淡白です。なにせ、拘置所までだし。
ただ、上記は、一応罪を認めた上で、刑務所の中に入ってるのと比べ、
本書は、本人は無実のつもりなのに、こんな風に対応されて、こんな判決がでましたよというところで、新しい発見があります。
非常によい「教材」
まず最初に一言。この星5個の評価は、あくまで「教材として」という但し書きがつく。(非常に意地悪な言い方だが。)
この手の「獄中記」が好きな私は、新聞に載っていた書評記事を見て、早速読んでみた。
普通にざっと通読すると、なるほど、確かに著者がこの事件や裁判について抱いているであろうと同じ「理不尽さ」を追体験することが出来る。
しかし、所々に腑に落ちない記述があるように感じられたので、この本の元になった事件について、裁判資料や筆者のホームページ、当時の新聞記事から自分なりに調べてみた。
すると…読了直後とは、まったく感想が違ってしまった。
この本を読んだだけでは、研究一筋の学者が突然、何かの陰謀に巻き込まれて検察によって有罪に引っ掛けられた、という印象がある。
しかしいろいろ調べて見た上での感想は、「有罪は無理も無い、上級審に訴えても、仮に裁判員制度で裁いていたとしても、結果は同じだったろう。まして地震予知批判へのしっぺ返しなど、まったく関係ない」と言うものだ。なぜか。この本には、「書かれていないこと」があるからである。
この本を元に学べることは何か。「事件の当事者が、自由に物を言える環境に置かれた場合、何をどう語り、そして、何を『語らない』のか」ではないかと思った。こういうことを実地に学べるのであれば、560円など安いだろう。
最後に。ベルゲン大のミエルデ氏が「詐欺にあったとは思っていない」と言ったのは事実だろうが、判決後、(ミエルデ氏かどうかは不明だが)以下のコメントが大学関係者からあったのも事実である。(以下、読売記事データベース「ヨミダス」より一部引用)
『詐欺の「被害者」とされたベ大教授(44)は、読売新聞の取材に対し、「有罪には驚かないが、執行猶予でほっとしている。事件は非常に悲しい出来事だった。北大との友好的な協力関係は続けていきたい」と話した。 』(2007年1月13日読売朝刊)
恐ろしき法治国家日本の実態!
この本に書かれているのは、国際的に著名な地震学の学者が、あろうことか、ある日突然、
何の前触れも無く、家宅捜索→逮捕・勾留されてから保釈を経て控訴断念するまでの約1年間
の内の、主として拘置所での171日間の”生活”について微に入り細に入る克明さで綴られて
いることである。嘘のような本当の話で、フィクションにもならない現実のことなのだから空
恐ろしい。
こんな悪夢のような、狂気のような状況に対処された著者の冷静さ・忍耐強さをお持ちの人格
はもとより、好奇心・前向きな姿勢にただただ驚嘆致します。
と同時に、一旦起訴したら99.9%有罪判決が出るようにしてしまう検察とは何様のつもりなの
か?また、それに従ってしまうかのような裁判所に一体何の存在意義があるのか?ということ
である。
更に、この事件の裏側にありそうな、最近よく聞く地震予知・予報の怪しさにも気付かせても
らえました。
見方を変えれば、別の世界が開ける
お上ににらまれるとどんな怖ろしいことが待っているかよくわかりました。でも、それを逆手にとって徹底的に境遇を観察してやろうという著者の態度は小気味よいくらいでした。すごい人です。
拘留生活を追体験できますよ
私にも、あなたにも起こりうる不運、
それが「逮捕・拘留」。
こわいですよー、
はまったらまず抜けられない、まさに蟻地獄。
なにせ被害者(と認める相手が)がいなくたって、
詐欺容疑で立件・起訴されて、
あろうことか有罪にまでなっちゃうんだから。
そして、拘留されるとどうなるのか、
居室は、食事は、看守の対応は、
そして自分の精神状態は…
とりあえず、
「いつかは自分の身に振りかかるかもしれない災難」
として、よーく読んでおきました。
