- [著]歌野 晶午
- カテゴリ:
- 文庫 (426頁)
- ISBN:
- 4062760355
- 発売元:
- 講談社 (2008/04/15)
- 価格:
- ¥ 730 (税込)
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2008
08/05
Tue
新しいタイプのミステリー
塩野七生氏がかつてこのようなことを言っていた。
『デヴュー作に表されるその全てが、その後の作家を決定付ける』と。
本作でデヴューした著者の心意気や生きざまを語るに相応しい作品で、
リズム感やロジックのその全てが生き生きとしていて、
読んでいて高校球児のような清々しさを感じた。
これから多くの大御所先輩たちやうるさい読者の目を欺いていかなければならない。
そういう覚悟が感じられた作品で、
完成された『葉桜の季節・・・』よりもむしろ、
こちらの未完成の魅力にとても惹かれている自分がいた。
絶品である。
2008
07/25
Fri
「長い家」でしか成立しないトリック
本作における建物の構造を利用したメイントリックは、
ある程度ミステリを読み慣れた人なら、直感的にわかるレベル。
よって、そのトリックだけで物語を牽引していく中盤の
展開は、いかにも単調で、冗長にすら感じてしまいます。
しかし、ホワイダニットのために仕掛けられたプロローグの叙述トリックや、
被害者が残した曲に隠されていた暗号などの冴えた小技は見逃せません。
特に、叙述トリックに関しては、現在の著者の作風に
通底するものの萌芽がうかがえ、興味深かったです。
