- [著]種村 大基
- カテゴリ:
- 単行本 (271頁)
- ISBN:
- 4062820668
- 発売元:
- 講談社 (2007/09/26)
- 価格:
- ¥ 1,680 (税込)
- Amazonポイント:
- 16 pt
- 在庫状況:
- 通常24時間以内に発送
ユーズド商品:¥ 828 より
へぇと読める本
公認会計士業界と関係することになったのですが、税理士や弁護士と比べ、知識がないので、適当で、かつ、面白そうな本はないかと手に取った本です。
監査を巡る環境が大きく変わる中で、4大監査法人の一角を占めていながら、カネボウ粉飾決算等に関わり、解体に追い込まれた中央青山監査法人を中心に描かれていますので、公認会計士業界の知識を得ることができるとともに、ドラマ性もあり、そういう意味では、まさに、うってつけの本でした。監査業界って、こうなっていて、このように変わっていくんだということがわかり、仕事にも役立ちそうです。
ただ、星1つを減らしたのは、単に名称を中央青山→みすずに変更しただけで、生き残れると思った公認会計士方の考えの甘さ。単に、難しい試験を受かった人だからといって、世の中、生き残れるとは大間違いですよ。
旧中央青山解散までを描く本格派ドキュメント
2007年2月、日本の4大監査法人の一角である「みすず監査法人(旧中央青山監査法人)」が自主解散を決定した。1968年以来、日本の資本市場を支えた名門監査法人に事実上の終止符が打たれた形となった。
本書は、旧中央青山監査法人時代から、カネボウ事件という紆余曲折を経て、「みすず監査法人」と名称を改め、自主解散に至までの一連の流れを、監査業界の動向を交えながら詳細に描くドキュメント作品である。
企業の資金調達方法が間接金融から直接金融へ変遷していくのに従い、社会が監査法人に期待する役割も変遷してきた。しかし、旧中央青山監査法人は、時代と共に変革することができないがため、崩壊に至ってしまう。それらの事情が本書を読めばよく分かるであろう。他の監査法人も決して、対岸の火事ではない。
物語の性質上、旧中央青山監査法人の内幕について多くの筆が割かれているものの、その他監査業界の昨今を知る上でも役立つ良書といえる。公認会計士や監査法人の責任問題が問われる昨今、少しでも多くの人が本書に触れ、監査業務について関心を持ってもらいたい。
監査(法人)を知るのに最適な1冊です。
単に読み物としても面白かったですが、この業界に不案内な私にはかなり勉強になった1冊でした。というのも、旧中央青山監査法人の解散の流れを知る事で、監査とは?会計士の仕事とは?日本版SOX法制定の要因にもなった粉飾事件の中身とは?etc・・・、といった部分の周辺知識が身に付いたからです。
こんな方におすすめ>
・会計士(含U.S.CPA)を目指している方
・旧会計系コンサルティング会社に勤めてはいるものの、あまり本テーマに詳しくない方
・各監査法人の社風?の違いを垣間見たい方
いばるな、公認会計士!
自分は、マスコミ、コンサルタントなど、他者に厳しく自分に
甘い存在が大嫌いである。公認会計士も同じである。特に、
旧中央青山の某公認会計士。他企業の経営に対しては、
ぼろかすの批判をしていて、何の思いやりもないと思ってい
たが、自分の組織はぼろぼろだったわけで、中央青山が
解散したときは、少し、ざまーみろという気持ちであった。
この本を読むと、逆境の中、懸命に組織を立て直そうという
人もいたわけで、組織を平気で見捨てる人や外資に比べる
と同情する気持ちもないではない。しかし、多くの公認会計士
は路頭に迷うでもなく、別の監査法人に移籍できたわけで、
いい気なもんだという気持ちに変わりはない。
結局、かつては、監査法人というのは、自衛隊と同じで、存
在することだけが意味があって、本来の役に立つことは期待
されず、故に自らの利益拡大にのみ関心を持つ存在だった
のかもしれない。
他方、監査や評価にあまり多くの期待を寄せたり、厳格化を
図るのも、非現実的な話で、そこそこの役割とそこそこの報
酬を与えるのが、適切なのかもしれない。
なお、本自体は、事実を丹念におっているので、迫力があっ
て、いろいろ考えさせられた、いい本だと思います。
詳細な分析
日本の4大監査法人の一つである中央青山監査法人が分裂、その後みすず監査法人が解散するまでの事実を詳細に記載しています。
奥山・片山理事長の記載については、どうやって本人に確認したのかという事実までもが記載されています。京都事務所の京セラとの関係・名古屋事務所の分離・新日鉄チームのトーマツ移籍等、小話のネタになりそうな話題が満載です。
また、旧中央と旧青山の醜い争い、旧中央の腐敗した構造・旧青山のPwCとの密約等、ここまで書くのかという驚きが強くあります。
ただ惜しむらくは、他書籍に記載されている金融庁の横暴についてももう少し記載がほしかったですが、これは他書に任せるということでしょうか?
続編として、みすずを会社都合退社したSVとかMgrクラス(入社4-10の中堅どころです。)の解散時の思いとその後(新日本に行った人・あらたに行った人・監査業界を見限った人)について、一冊のまとめて欲しいと思いました。
旧中央青山の解散までを描く
業界の名門であった旧中央青山監査法人(みすず監査法人)が解散に至るまでの経過を書いたノンフィクション。同じ業界に勤めている人間にとっては、極めて興味深い事実が描かれている。
日興コーディアルグループの不正会計問題にあたり、みすず監査法人は「過去の会計処理は正しかった」「SPCを取り巻く環境の変化と企業会計基準委員会での議論を先取りしたい」という論法で、会社の修正を受け入れようとした。ところが、当初の事件の幕引きの仕方に激怒した金融庁・証券取引等監視委員会に押される形で、会社が「利益の不正な計上と見なされても仕方ない」と不正を事実上認めてしまった。さらにその後、日興コーディアルグループの特別調査委員会に、不正会計問題の調査結果発表で、「担当会計士が会計処理に疑問を感じながらも慎重な監査を行わず、日興側の主張を認めていた」と当時の監査を批判されてしまった。
みすずの執行部は「これで法人は存続できなくなった」と即座に感じたらしい。
以後、みすず監査法人は解散に向けて急ピッチで調整が図られていくが、その過程で京都事務所が猛反発して独立した経緯が面白い。京都事務所はあらたへの合流を検討しており、実は発起人まで出していたらしい。これが「京セラの稲盛和夫名誉会長の逆鱗に触れ」、すぐさま発起人を引き上げたという。「国を売る気か」と問われ、創業者の意思を継いで独立したというくだりは、スクープだが何とも格好の悪い話であった。
なぜ中央青山監査法人だけに大きな不正会計問題が集中して起きたのか。その答えはそう単純にわかるものではないが、今、会計監査人に「懐疑心」の保持と「正当な注意」の行使が問われていることだけは確かである。
企業人は、他山の石として必読書
カネボウの粉飾決算に加担した公認会計士が所属した中央青山監査法人が、その事件を契機に崩壊していく流れを描かれているのですが、読み進んでいく中で、今日の市場経済において監査法人が大きな意義を持つものとなっていることを感じさせられました。
昨今、虚偽表示などのために、食品メーカーが大きなダメージを受けていますが、カネボウなどに見られる粉飾決算というものも企業イメージを損ね、それを監査した監査法人を、最終的には解散という事態にまで至らせています。
この書で取り上げられている監査法人は、山一證券やヤオハンによる粉飾決算が問題になって以来、監査を厳しくしてきたが、今回の中央青山の件がより一層監査を厳格なものとなることになったことを痛切に感じ取る事ができます。(企業が、誤魔化そうとすれば、担当した監査法人から監査契約の締結の拒否という事態になり、代わりの監査法人が見つからない「監査難民」となって上場廃止の危機にさえ立たされてしまう重大事態となることが語られています。)
また、監査だけでなく、組織論についても考えさせられ面が描かれています。近年、企業合併により生き残りをかけている企業がありますが、その組織が如何に再構築されるかの重要性も考えさせられる面も描かれています。
著者は、共同通信社経済部記者で、USCPA(米国公認会計士)合格という資格の持ち主でもあります。それ故に、詳しくもあり、また、裏事情を把握してもいる。しかし、同時に小説としてのスリル感もあります。また、小泉改革、ライブドアの問題、なども織り交ぜてあり、ここ10年の経済界についての概観もなされています。
