- [著]冬目 景
- カテゴリ:
- コミック
- ISBN:
- 4063144569
- 発売元:
- 講談社 (2007/06/22)
- 価格:
- ¥ 580 (税込)
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独特の冬目世界の最新作!
重苦しくどこか閉塞した、でも希望の光もちらりと見える、そんな世界を描かせたら天下一品の冬目センセイの最新作、その3巻です。
「正しい」とはどういうことか、「幸せ」とはどういうことか、そんなことをいろいろと考えさせられます。
隔離された箱庭のような世界での安穏とした生活か、塀の外の自由だけれど誰も守ってくれない世界での生活か。
本当のことを知らずにただ毎日を生きるべきか、知った上でなおそうするべきか、または逃げ出してしまうか。
人生の縮図ともいうべき構図が、ここにはあります。
一度学園から逃げ出した槙が自分の人生をどう選ぶのか、鳴沢製薬は、学園はどうなってしまうのか、今後の展開が気になって仕方ありません。
冬目センセイの悪い癖で、いろいろなジャンルに手を出しすぎてなかなか作品が進まないので、本当に続きが気になります(笑
狭い「謎」の世界観
謎に翻弄される少年少女達を描くマンガは、政府・組織の陰謀など、個人の力では逃れられない物悲しい運命に読者を引き込むのが普通だと思いますが、そのようなワクワクするような世界観を捨てて、単なる個人的な確執という矮小な話に進んでいきます。
冬目景さんの画風は凄く好きですが、読んだ感想は「作者は、別世界の日本の物語を作り上げることができず、現実の世界観の中から抜け出せなかった作品」と感じます。
ダンジョン・ゲームのような固定された軽い世界観。
それが冬目さんの作品の特徴かもしれません。
作画で現す
内容に関しては下のレビューを参考になさって良いと思います。
私が注目するのは作画です。冬目作品のどれをとっても言えることなのですが、登場人物ひとりひとりの個性が表情などにすごく現われていて、更に話に引き込まれます。
作画に現われる何気ない仕草が自然で、内容は少し重くても読み進められる力があると思います。
また、この巻からは人物たちの口調や行動に変化がみられて面白いです。
ありきたりなようでありきたりでない人間たちのいろいろな思惑や行動が錯綜する当作において、作画は重要なポジションを得ていると私は考えています。
ラブストーリィの行方
冬目景作品はどれも好きです。遅筆かつ連載が不定期で、単行本がなかなか出ず、「イエスタデイをうたって」のように間隔がかなりあいたりすると、最後まで行かないのではないかと思ったりしますが、この「ハツカネズミの時間」のほうはまだマシな間隔になってきました。
「ハツカネズミの時間」は、設定がかなり特殊ですが、私は、ラブストーリィとしての性格に重点を置いて読んでいます。「羊のうた」の千砂と八重樫、「イエスタデイ」のシナ子とハルとはまた違った感じで、氷夏桐子と園倉茗の恋の鞘当て?ラブストーリィがどう展開していくのか興味津々で、なんとか作品として完結してくださることを切望してやみません。
ラブストーリィとして見た場合、「イエスタディをうたって」と併行して興味深いですね。
絵としては、桐子と茗のキャラクターデザインが実に印象的で、これまでの中でも特に気に入っています。
箱庭の中にいれば幸せでいられるんだろうか?
箱庭の学園の中で行われる薬の人体実験。
本来なら「祝福されない子供」であった子供たちが安寧に生活できる場所。
でも箱庭の中でいれば幸せでいられるんだろうか?
そこから出てきたものたちは幸せでいられるの?
相変わらず考えさせられるお話。なぞが多いですがそこもまたよし。
学園からでたことがなかった少年が、そこから脱走し、日常生活をはじめる。
そしてそこで…学園から消えた友達の少年と出会って?
かなり動いてきた巻でした。
