- [著]井上 雄彦
- カテゴリ:
- コミック
- ISBN:
- 406372526X
- 発売元:
- 講談社 (2006/06/23)
- 価格:
- ¥ 550 (税込)
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又八に自分を見る。
遂に出会った自称コージロー又八と佐々木小次郎。又八は、吉岡の手だれを斬り捨てる小次郎を見て、自分がなりたかった姿を重ねる。武蔵と一緒にああなりたかった。強い武蔵に憧れ己の非力を嘆く又八。世の中のほとんどの人が又八と同じ。しかも又八のようにそれを認めることのできる人はごく僅か。大半は事実に目を背け、自分よりも弱い人間をいたぶって自分の非力さを隠蔽する。又八は己の非力を認めた上で成り上がるべく小次郎にすがった。力のない者が生きる術。それは強き者に取り入ること。
又八は小次郎のマネージャーとして吉岡道場に足を踏み入れる。植田は小次郎に土下座して武蔵との一戦をお願いするが、耳の悪い小次郎には伝わらず、結局、小次郎を伝七郎の身代わりに立てることには失敗する。
この巻では、研ぎ師・光悦が「刀」を語るところが好き。
光悦は、何のために刀を研ぐか。刀とは何のためにあるか?
光悦は武蔵に語る。結局、刀は殺しの道具。美しい刀であるためには刀であってはならないような気がする。だけど、刀を己とするものは美しく、美しければ人斬りも良し。
もし刀を持つ資格というものがあるなら、武蔵や小次郎にあっても、植田にはないだろう。
井上先生のコメント
今巻は作品の内容より、巻末に載っている井上先生のコメントが良かったです。なるほどなぁーと思いました。内容と同時にこの部分も僕は毎巻楽しみにしています。今までのコメントに加筆して一冊の本にしてほしいくらいです。
毎巻楽しませてもらっています
宮本武蔵の生涯を描く漫画と知り、購入を始めて早5年。毎巻欠かさず購入しています。
文章が多すぎず、しかし少な過ぎず。多くは語らない、絵をみて感じ取ることが必要な漫画です。
また、武蔵にかかわる登場人物の名言は、現在生きている僕の教訓ともなっている。これほど考え、勉強になる漫画がどこにあるかのか…。すばらしい漫画だと思います。
今回の又八も醜さ全開
又八編はいつもつらいです。
かつて同じスタートラインに立っていた友人に、どんどん取り残されていく辛さ。読者として客観的に見れば、才能も努力も雲泥の差だし、そもそもスタートラインすら違っていたかもしれないと分かるのですが、多分又八本人は気が付いていない。自分の無能にも怠惰にも気付かず、ただ華やかなイメージのみ追いかけている男。最近のニートな若者になぞらえたのか、昔からある出世争いの悲喜劇を取り入れたのか、いずれにしろ自分にも身に沁みるところがありすぎて辛いです。
今回の又八も醜さ全開。ここまで醜く描かなくても、と思うくらいの役割が振られています。武蔵の方は引き続き単純な勝ち負けから戦う意味を求める世界へ、出会う人、出会う事件毎に少しずつ進んでいます。その精神性の高まりに対して又八の夢の下世話なこと…。つらい。
ベタですが秀才型の武蔵、天才型の小次郎、凡人の又八と、ここに来てそれぞれのキャラクターが一層立って来た気がします。彼らを今後どう動かし、どんなドラマを語って行くのか、作者の考えが楽しみです。
武蔵かわったね
又八と吉岡一門のやり取りがおもしろいです。ウケます。
武蔵も最初のころと違って穏やかになったっていうか、余裕が感じられます。それだけ肉体的にも精神的にも成長し、極限に近づいてるのでしょう。決戦前にも関わらず無邪気に雪だるま作ってる姿に愛着が湧きます。
絵で語る
最近の漫画の戦闘描写を表すならば【騒】ですがこの作品は逆に【静】で表せると思います。
技名を大声で叫んでド派手な技をブチかます等の演出はないのですが、それ以上の何かが一コマ一コマに込められている気がします。
相手の虚を突く攻撃、静の中の一瞬の動…。
長々としたセリフなどなくても絵が全てを語っています。
絵に全てを込め、絵で語ることが出来ているとても素晴らしい作品です。
鉄(くろがね)の中に眠る純白・紺碧・真夏の蒼穹よりも黒々とした蒼を
武蔵と吉岡一門の決戦の日が近づいた
伝七郎のひとりの侍としての武士の誇りと
植田が必死で守る当主としての伝七郎
ふたつの思いが激しくぶつかり合う
聾唖の剣豪佐々木小次郎の名を騙る
武蔵の幼馴染本位田又八は
小次郎本人と邂逅する
憧れと嫉妬と焦燥が又八の心で交錯し
暗い野望の炎が揺らめき始める
武蔵は稀代の研ぎ師
本阿弥光悦との出会いにより
人斬りの美について考える
小次郎を身代わりにして
武蔵を亡き者にしようとする吉岡一門
小次郎を利用して
立身出世をたくらむ又八
男達の行く末は…
いよいよか!
宮本武蔵VS佐々木小次郎の決戦前の準備ともいえる物語が本巻では展開されている。様々な出会いを元にどんどんと強くなっていった二人の決戦の舞台は整った!?
次巻が待ち遠しい!
至高の井上雄彦さんの成せる構成・緻密な画力!
クライマックスに近づきつつあるのでしょうが、
毎巻出るまでのインターバルが4ヶ月程空いてしまうので
単行本だけを読んでる者としては、内容を忘れてしまったりして
ちょっともどかしさを感じてしまう。
とは言っても、マンガという観念を飛び越えた
現代の経典の書とも言っても過言ではない一大絵巻だと思う!
純粋な美
小次郎の純粋な瞳と本当に対峙した者は、同様に心の奥底の純粋を
引き出される。命を忘れる程の純粋さを。
それは、又八とて例外ではない。又八の人生を変えた出来事に、
一つまた新しいページが追加された。小次郎との出会い。
又八は再び、自分を偽ることで前に進もうと計画するが、今回の選択は
果たして、吉とでるか狂とでるか・・・
いずれにせよ、小次郎との出会いで成長した又八を早く見たい!
そして、小次郎同様に純粋な武蔵もその存在で他者に影響する。
ただ小次郎のように無差別ではなく、純粋さを理解できる者に限られるようだ。
そして、今回は逆に影響された。
剣の達人、石舟斎。刀の達人、光悦。二人がたどり着いた真理に触れ
武蔵は、少なからず揺さぶられる。とらわれることを拒むため武蔵は
ただ、純粋を目指す。
そこで今、京都に純粋な2人が図らずとも揃った。
当主と個人の狭間で揺れる伝七郎の行く末も気になる。
勝負自体の結果は見えているが、このまま死ぬには悲しすぎる。
死が間直にある生活。失うことが死よりも怖いもの。
人生を掛けて追求したくなる何か。何かが許されるほど純粋なもの。
全て自分にはない。だが劣等感はない。ときたま光り輝いて見えるけど・・・
