- [著]惣領 冬実
- カテゴリ:
- コミック
- ISBN:
- 4063755231
- 発売元:
- 講談社 (2008/07/23)
- 価格:
- ¥ 780 (税込)
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縮図
「幸か不幸か、これは実戦ではない。我々はただ殺戮を心行くまで愉しめば良いのだ」
「(なんか胃が痛くなってきた……)」
32年の生涯を流星のごとく駆け抜けた中世イタリアの英雄(もしくは大悪党)チェーザレ・ボルジアの青春期を描いています。貴族の子弟が集まる大学は、政治の縮図とは良く言ったもので、チェーザレたちが参加する模擬戦の力関係はちょうど当時のフランスとイタリア諸国の関係を表しているようです。
また後に「ボルジア家の毒薬」と呼ばれる片鱗を見せつつあるチェーザレや、チェーザレの影たるドン・ミケロットのあり方が若さと政治家・軍人の両面を交えながら描かれているので、西洋の歴史に詳しくなくても楽しめると思います。私の読んだことある歴史漫画の中でもベスト級です。
結局はそこらの大河ものと同じに
ジュリオ二世(ローヴェレ枢機卿)を主人公にしたサクセスストーリーを主軸にしたら、
チェーザレがどのように描写されるのか興味深いところです。
# NHKの大河ドラマで、以前は主人公として正義の人みたいだったのが、主人公が変わって敵になると、
# 途端に卑劣・卑怯に描写されるのと同じようになってしまう。。。のでしょうね。
「英雄、チェーザレ・ボルジア」ではなく「人間、チェーザレ・ボルジア」を描いてほしかった。
第一巻の帯にあった「チェーザレ・ボルジアの真実が甦る。」のコピーを見て期待していたのですが。
マンガで本当にそれが出来たら画期的だと思ってただけに「やっぱりか」という感想しかありません。
細かな観察力
資料の読み込みが感じられる作品だ。国同士の関係の縮図が大学にある。国家のために学問をしているわけでもないのに。
それにしてもどうして人は争いたがるのだろうか?
良いとこ3点!
1.アンジェロのメッセージ
街に繰り出したチェーザレ。
危機一髪の事態を“同胞と揉めつつ”も
落着させる。が、最後にアンジェロが差し出した
「メッセージ」で、巧みに一連のエピソードの
オチがつく。チェーザレの性格をまた違った視点で
軽く戒めてもいるようで、チェーザレが苦笑する姿は印象的。
2.模擬戦
チェーザレ、大将ぶりを遺憾なく発揮♪
惣領氏の戦闘の描き方は、「ルネサンスの絵画」を
切り取っているかのようで、ひとつひとつのカットに
インパクトがある。人によって好き嫌い分かれる描き方
かもしれないが、個人的にはとても好ましく思います。
武具をまとい、人が馬にのって突進する姿は
実写の時代劇なんかより、ずっとリアリティあふれており、
生々しい。
チェーザレ部隊と、アンリ一団が激しい取っ組み合いを
しているかたわらで、最後のシメはアンジェロが、
いともあっけなく平和的に解決してしまう、という展開が、
なんとも深い・・・。
3.政治の縮図
“メディチの殿下”が父親に諭されるシーン。
10代から不可避に権力に関わらなければならない当時。
わかっていることであっても、様々なプレッシャーに
さいなまされていたことが想像できる(キャラの脚色もはいっていると思うけど)。
そのプレッシャーを糧にして、生きる原動とするチェーザレら
と、不安を抱えつつ自分の存在を噛みしめるメディチの殿下。
にしても、チェーザレを応援する殿下はやはり愛らしい(笑。
