- [著]浅田 次郎
- カテゴリ:
- 文庫 (435頁)
- ISBN:
- 4087473392
- 発売元:
- 集英社 (2001/07)
- 価格:
- ¥ 760 (税込)
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おとぎばなし
このシリーズは、現実にありえそうで実はどこにもないおとぎばなし だと思う.
ガラの悪いトンデモホテルなのに、人生に行き詰まった宿泊客に救済を与える。登場人物に本当の悪党がいない(多くの登場人物がカタギでないのにもかかわらず)そして、コミカルなドタバタ劇の中に、どこか性善説のような宗教的な趣きさえ感じられる。
読み進めていくうちに、多くの登場人物の人生の光と陰を見いだし、その中にかならず自分と重ねられる部分を見つけて、読者自身も救済されていく、そんな不思議な本でした。
冬、夏、春、秋と順不同に読みましたが個人的には秋がいちばん印象深かったです。ミカが描く秋の絵がビジュアルとして脳に焼き付けられたからでしょうか。
なんとなく手がのびなかった浅田次郎の作品ですが、これを読まないのは人生の損失だと思います!
更なる奇想天外な設定で笑って泣かせる傑作
シリーズ第二作。シリーズの中で最長を誇ると共に、奇想天外な設定で大いに笑わせてくれる。笑いと共に泣かせ所を心得ているのは、浅田氏ならではであろう。最終巻(春)の結末以外は浅田氏特有の"あざとさ"がないので素直に楽しめる。
ヤクザが任侠専用ホテルを経営すると言う設定自身が奇想天外なのだが、今回は馴染みの任侠一家と共に、警察署の一行も同泊すると言う設定で笑いを飛躍させる。この対応に右往左往する従業員の姿がオカシミを誘うが、支配人花沢は相変わらず毅然とし、若頭の黒田の渋さも相変わらず。従業員のうち、アニタなど外国人は平然としていて、当然とは言え、皮肉が効いている。一見、荒っぽい設定の中で、登場人物一人々々に細かい気配りをしているのだ。そして、互いに相手に気付いた警察署一行とヤクザ一家の振舞いも抱腹絶倒。警察組織とヤクザの組織の体質が似ている事への痛烈な風刺が効いている。サブ・ストーリーで語られる元アイドルと愛人の話は泣かせるもので、物語にアクセントを付けている。私がシリーズの主人公と思っているエキセントリックな小説家木戸は本作では影が薄いが、やはり木戸とその愛人の清子、そして叔父でホテルのオーナーの大親分仲蔵と木戸の母。この四人の関係がシリーズの主旋律を奏でている事が窺える。
全体の構想がズバ抜けている上に、木戸や花沢の性格設定、登場人物間の錯綜した関係、客達の秘められた事情、小刻みなギャグの連発によって無条件に楽しめる娯楽小説になっている。特に本作は警察署一行の来泊と言うトンデモナイ設定を加え、ずば抜けた面白さを誇るエンターテインメントの傑作。
傑作
シリーズものはとかく2作品目が1作品に比べ面白さがダウンするものであるが、本作品は前作品並もしくはそれ以上の面白さ。
やくざと警察がプリズンホテルで隣り合わせて宴会してしまうという発想はかなり面白い。
ボリュームがあるが短編集のような構成になっているため、途中で読むのを中断し数日後再び続きを読み出しても問題ない点が良い。
途中で挫折のない作品です。
シリーズ3作目となる「プリズンホテル3 秋」を早速読み始めた。
パワーダウン、さびしい。
夏から始まったこのシリーズの第2段。
警察とやくざの微妙な接点は、作者の実体験によるのかもしれないが、この作者には「きんぴか」と言うこの問題を扱った完璧な作品が存在するのであるから、それを読んでる人間には、二番煎じ、、三番煎じとしか思えない。
非日常を日常に取り込む稀代の話術氏も、同じ題材で何度も、同じ話を作り替えるには、無理があったようである。
残念だ。
前作以上にパワーアップ。
出だしがやや低調だったのですが、すぐに前作以上にパワーアップされたプリズンホテルが登場します。警察とやくざが隣りあわせで宴会を始めるという凄い設定ですが、著者が実際に見聞したことをベースにしていると思います。「極道放浪記」にそのエピソードが書かれていますので関心のある方はそちらもお読みになるとよいと思います。これにうらぶれた元アイドル歌手がからみ大団円を迎えます。面白いです。因みに、秋は第二巻にあたります。冬〜春と続きますのでお間違いの無いように。
とにかくおもしろいです!
以前から気になっていた本だけど、チラッと読んでみると男が暴力を振るうシーンが・・・結局毎回購入を断念していた私。
本当に思い切って購入してよかったです!
暴力をふるうのには不幸な生い立ちのせいもありますが、それに同意する必要は考えなくていいでしょう。同情も同じく。
個性豊かな登場人物のおりなすドタバタ劇を素直に楽しむべき。あり得ないことが多いのでさえ美点です。
ぶっとんだ男性小説家が主人公ですが、やっぱり浅田さんも・・・なんて考えるのも楽しい。オススメの本です。
感動!
思わぬところで、思わぬ同士が鉢合わせ。あわてふためく関係者たち。何も知らぬ一般客。そのドタバタぶりが面白く、読んでいて笑ってしまった。しかし、ほろりとくる場面も。人間同士、職業も立場も何も考えずに、心を裸にして付き合えたら、こんなに素敵なことはないと思う。人はいろいろなしがらみにとらわれながら生活している。しかし、このホテルに来た客は、不思議と自分をさらけ出して行く。ありのままの姿、ありのままの心が見えたとき、そこには感動が生まれる。人間て素晴らしいなと、改めて感じさせてくれる作品だった。
全編ヨタ話
主人公の「いかにも」な暴力っぷりをネタっぽく書いてあるのは、いかがなものか。
どんな暴力をふるわれても、暴言を吐かれても「とことん男を愛し尽くす」のが良いことのように書かれていて正直気味が悪い。
この巻で一番笑えたのは、安藤優子の解説。
こんな暴力をふるうしかできない男を「とことん愛してみようじゃないのよ」という解説が失笑を誘う。
そんなことをしても暴力は増長するだけで、何の解決にもならない。
主人公の愛人(清子)の娘(ミカ)は、しらじらしく誰からも可愛がられている「よいこ」だが、殴られた清子が児童虐待に走るのも時間の問題。
暴力男が改心しなかったら「女のほうの愛し方が足りないんだ」ってことになりませんかね?
ぐだぐだ理由つけて耐えてないで、さっさと相談所でも行ったらどうだ。
面白くないから星1つ。
どうしても読みたかったら古本屋で買うか、図書館へどうぞ。
シリーズの中で一番好きかも
プリズンホテル全巻の中で、個人的にはこの(2)と(3)が特に気に入りました。(1)ももちろん面白かったけど、個性的な登場人物を消化するのが大変で、軽く楽しめたのは(2)巻からでした。(2)は他の巻と違い、小説家の清子&富江いじめがなかったのも、すっきり読みた理由かもしれません。(3)、(4)と読み進むにつれ、小説家の屈折した思いが明らかにはなりますが、それにしても、こんな暴力的な男には、どんなに、かわいそうな境遇だとしても同情できなくて、せっかく、いろんな登場人物のじーんとするセリフや行動の後でも、この小説家の身勝手な行動のあまりに腹ただしい場面が出てくるとこれまでのプラス分もマイナスになり、もったいないなーと思いました。(2)の物語設定は確かにありえないけど、でもありえない設定だからこそ面白い!!(2)はシリーズの中で最もドリフターズのどたばた系かもしれません。じーんとする場面は(3)に比べると少ないかもしれませんが、すっきり、さっぱり、笑いたいならこちらがおすすめです。ちなみに、(3)は小説家の行動が相変わらずかんに障りますが、感動的な場面もあり、爆笑する場面もあり、こちらもお勧めです。
読者の心を弄ぶのが小説家の仕事なのだ。
ヤクザとケイサツの同宿なんてやり過ぎである。銀河の果てで出合った異星人が、不幸な戦争を始める確立より低いと思う。 しかも前作以上に弱い者イジメの嵐で、登場人物すべて高速空回り。度が過ぎて失笑の連続。 星1つの最低評価にしてやるぞと変な意気込みで読み続けたが、結局南極不覚にも涙を落としてしまった。
浅田先生は「箸が転んでも泣かせてみせる。」等と影で笑っているのでしょうか。巻末の安藤優子さんの解説が面白かったので星を増やすことにした。
