娼年 (集英社文庫)

  • [著]石田 衣良

カテゴリ:
文庫 (223頁)
ISBN:
4087476944
発売元:
集英社 (2004/05)
価格:
¥ 420 (税込)
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12,741 位
評価: 3.5
2008
09/10
Wed

読んでいて楽しく、癒される小説

[No.50] posted by blois

石田作品の中でも群を抜いたこのレビューの多さ、この作品がもつ影響力を思った。性の問題は本当にパーソナルなものだから、この小説の評価が賛否両論なのもうなずける。

コールボーイが題材とあって、セックスが小説の大部分を占めるが、主人公の滑らかな語り口に引きつけられあっという間に最後まで読んでしまった。
石田作品の中でも最高傑作だと思う。
最初、山田詠美の「ひざまずいて足をお舐め」を思い出した。(この小説はSMが題材だった)あちらの業界を書いた小説の中でもとても読みやすく、性に関する仕事を見る目が変わった作品だった。
そしてこの「娼年」にも同じものを感じた。
性の仕事は一般的に後ろ指をさされるような職業だが、誇りを持って懸命に仕事をしている人間もいる。そしてその人達が客に与える影響は計り知れない。

娼夫として、20代から70代(!)までの女性を相手に仕事をするリョウ。
中には仰天プレイを依頼する客もいるが、その人それぞれの長所を一生懸命探し出し、相手を満足させることにやりがいを感じていく。
普通だったら参ってしまうような状況から逃げもせず、女性の欲望の不思議に魅せられていく・・
リョウの行動、言動にとても癒された。
こんな天才娼夫がいたら、一度お目にかかってみたいと思った。

全編を通じて美しく、とても読みやすい文章になっている。
透明感のある文章はさすがで、著者のテクニックに唸るものがあった。
とにかく読んでいて楽しい。
「逝年」も評価はさまざまだけど、是非読もうと思う。



2008
08/07
Thu

「娼年」として女性と接して

[No.49] posted by ぴろっこ

彼の目に映る女性たちは、皆一様に愛しくてかわいらしい。

私は自然に彼に心を同化させてしまった。「娼年」という題名から察することが出来るように
性描写は多い。でも生々しくないというか。変な話、行為の描写さえも心地いい。それは彼女たちを受け止める儀式とでもいうかのように感じたからだ。主となるのは行為そのものよりも、心の癒しとでもいうのか。そういうものを女性は求めていたし、また、彼もそれを感じとっていた。

主人公が、この先どうして行くのかがずっと気になってそして次第に引き込まれていった。
二、三歩引いたところから見たような感覚の文。その距離感が時々狂うことで彼の心の揺れを感じる。

2008
04/30
Wed

さらっと読む話

[No.48] posted by 秋良

衣良さんの作品はもう何作も読んでいるのですが、特に何も持っていない主人公が自分の才能を発揮できる場所を見つけ、この先羽ばたいていくのだろうと予感させて終わるというパターンがあって、この話もそうです。
ドライな語り口で、主人公はどこか自分と現実を乖離させて考えているような感じです。
出てくる人たちはみんな普通で少し変わった人。
今の世の中、『普通』からずれてしまうと攻撃の対象になりがちですが、主人公のリョウ君はずれている部分まで、その人の個性として受け入れます。実際にリョウ君のように考えるのは難しいだろうと思いますが、その心の柔らかさが読んでいて羨ましくなりました。
大きな衝撃がある話ではないけれど、ゆっくり心に効いてくるものがありました。

2008
04/23
Wed

セミの泣く夜に

[No.47] posted by 香桑

主人公リョウは、自分は娼夫だと名乗る。20歳の夏を描くこの作品は、リョウが少年から青年へと成長していく過程を描いているのだから、やはり、タイトルは娼年でいい。
男性側の性の快感をきちんと書いてあるところが珍しい。多少のあざとさを感じるところもあるが、この本の魅力は、中高年の女性に非常に優しい点にあろう。一般に、加齢は、女性にとって、性的な魅力と反比例すると言われる。しかし、リョウは、どの世代にも、どの女性にも、魅力を見つけていくのである。それぞれに、それぞれの魅力があると。
姫野カオルコが解説に書くような優しさ、うそつきな優しさかもしれない。ソフィスティケートされているという優しさである。
嘘にだまされてみる楽しみがある。春を買う行為は、快感を買うのではない。嘘を買うのだ。嘘。けしてありえぬ幻想であり、魔術であり、手の届かぬ理想の高みにある幸福であるかもしれぬものを夢見て。
私は男性を買いたいとは思わぬが、嘘を買いたくて本を買う。

2007
11/02
Fri

性愛

50.0% (1 / 2)
[No.46] posted by ポコ

「娼婦」ではなく『娼年』?と疑問に思って手に取った本です。

20歳の青年が性を売り物にするという一見ショッキングな話なのですが、コレが深い・・・。
お金のためでもなく、ビジネスとして体を売る青年が、人間の愛と性についての優しくて深い洞察をもって「何か」をつかんでいく過程に引き込まれました。

心にグッとくる本です。

2007
10/18
Thu

取り立てて見るべきものはないが・・・

50.0% (2 / 4)
[No.45] posted by Masashi Yamanaka


 大学生の主人公が、ボーイズクラブのオーナーにスカウトされて、女性を相手にした娼夫を始める。その中で出会った女性たちとの関わり、彼の人生・・・
 という物語。
 
 描写はやわらかで、読んでいてゆったりとした気持ちになるのは、主人公がそういうペースで生きているから。

 でもまあ、様々な人がいることを切り取っていること、通り一遍の筋にしていないことは、石田さんの工夫が感じられて良いけれど、それ以上のものにはなっていない気がする。
 何の教訓もないけれど、そこにある一つの暮らしを描いた物語、ということなのだろう。
 どちらかといえば「プレーンソング」のようなスタイルを意図しているのかもしれない。

2007
08/12
Sun

読みやすさに好感触

33.3% (1 / 3)
[No.44] posted by マイクラ

自分が初めて読んだ石田衣良さんの作品ですが
とても入りやすかったと思います
多少無理な設定はありましたが、主人公に感情移入は自分的にはしやすかった
「娼夫」が題材なので官能的な表現はありましたが
あまりドロっとした感じはなくむしろ淡白ですっきりとした感じでした
ナボコフの「ロリータ」をこの作品を読む前に読んでいたので
表現の物足りなさは感じたものの、ストレスを感じるほどではありません
あと、少し内容的にマニアックな面もあるのでそのあたりも理解できたほうが面白いと思います
まとめると、官能的表現はあるもののとてもさらっとした読みやすいものでした

2007
06/14
Thu

ちょっと

23.1% (3 / 13)
[No.43] posted by IORI

長編恋愛小説として買った。安かったし買った。読んでみたらおもしろくなかった。というか官能小説じゃないっすか!!!?この作品が世間に認められて評価されているのも知っているし石田 衣良がいい作家だというのも14を読んでWOW WOWの2時間ドラマを見て知っている。しかしこれは...性描写のない恋愛小説などつまらない。それはだれもが感じることだし必要なコトである!しかし本作ではそれが主をしめていてなんだか4時間性交をしている気分になった。せめて40分ぐらいにしてくれ。限りなく透明に近いブルーとそーいう所似ているよなー。ただその中での人間関係とかの表現は◎。こんな本、ピュアな恋愛小説と間違えて小学生が買ってしまったらとんでもない。

2007
05/20
Sun

中性的なイメージ。

50.0% (2 / 4)
[No.42] posted by 紺碧の飛行人

本書は126回、直木賞の候補になった作品です。

ストーリーはいたって、簡単。
平凡な大学生生活を送っていた主人公に、突然娼婦ならぬ、娼年の仕事が決まり、
その仕事の内容を描いたものです。

本書の優れている点は、「性」を金で買うという、一般に日の光にあたることの少ない世界を、
暗くも明るくもなく、中性的なイメージを与えられているところではないかと、私は思います。
中性的とはいっても、男性性、女性性の中間という意味ではなく、
明暗のそのどちらのイメージにも属していない、という意味で私は用いたい。

だいぶ官能的な描写もなされるのですが、
不思議とぎとぎとした印象はありませんでした。
それが私の感じた、中性的なイメージの根源なのかもしれません。

池袋ウエストゲートパークとは違った面白さのある一冊でした。

2007
02/04
Sun

愛やセックスについての再発見

81.8% (9 / 11)
[No.41] posted by のいのい

女性もセックスも退屈なものだ、と醒めた気持ちで毎日を送っていた20歳のリョウは、ひとりの女性との出会いによってその生活が激変します。
彼は娼年として仕事をこなしていく中で、性の多様さや奥深さを知り、新しい発見に満ちた新鮮な毎日を送ることになります。

人を愛するということ、セックスをするということ、その人を丸ごと受け入れるということ。
「仕事」として女性と向き合うからこそ、見えてくるものがあるのかもしれません。

読者にとっても、いろんな驚きや発見がある物語だと思います。
とても素敵な本です。

さて、本書はこういう重い(?)テーマを扱っている小説なわけですが、そこはやはり石田衣良。
軽めの優しい文体と、スムーズな話の展開によって、途中で立ち止まることなく最後まで一気に読ませてしまいます。

このあまりにサラッと読めてしまうところを、現代的ととるか表層的ととるか、あるいは天才的ととるか。
まあ難しく考えずにとりあえず読んでみるのが、石田衣良作品への正しい向き合い方なんでしょうね。きっと。


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