- [著]竹中 治堅
- カテゴリ:
- 新書 (280頁)
- ISBN:
- 4121018451
- 発売元:
- 中央公論新社 (2006/05/24)
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細川がつき橋龍がこねし天下餅 すはりしままに食ふは小泉
「織田がつき羽柴がこねし天下餅 すはりしままに食ふは徳川」という狂歌があるが、その内容の歴史的事実に対する当否は別として、本書は、記憶に新しい小泉元総理がその総理の権力を見せ付けた小泉劇場の準備が、総理総裁の権力行使を可能とした選挙制度改正(小選挙区比例代表並立制)・中央省庁の再編(大蔵省改革、官邸機能の強化)の諸制度の改革の上で可能であったことを実証する書といえる。
安倍・福田政権は、この「首相支配」・総理の権力の使い手になる要件である、「次の選挙の顔」・世論の支持を欠けると与党内で看做され、個々の議員に「再選の障害・議員生命の危機」を感じさせたことが、政権崩壊・投げ出し要因と考えると本書の延長上で理解可能だ。
著者の竹中治堅の手法は、豊富な公開資料により政権内部とその周辺の動きを追いながら、制度改正の効果を測定する。
橋本政権によって準備された財政と金融の分離が、麻生政権によって逆コースを歩もうとしているかに見える。これが、総理の権力の弱体化への序章となるものか注目される。
願わくば2001年体制がきちんと機能しますように
私が20代を過ごした1990年代というのは、戦後日本の政治が最も混迷した時代だったのだろうと思います。 バブルの崩壊という未曾有の経済危機おいて、首相はめまぐるしく変わり、自民党は政権の座から滑り落ちたかと思えば社会党の党首を戴いて復活したり、雨後の筍のように新党が結成されては消えて行ったり―。 それに対してテレビを始めとするメディアはこぞって政治家の無能さを強調かつ嘲笑していましたが、若者の政治離れを嘆く声も、その当のメディア側から聞こえてくるーという有様でした。 そういった、どちらかと言えば不愉快な時代の政変について、ここまで詳細でわかりやすい分析を行った、私とまったく同世代の竹中氏には実に頭が下がる思いです。 こういう人がいるのですねえ。
氏はこの本の中で、日本の政治における首相の権限が強まった新たな“2001年体制”を、細川・橋本時代においてまかれた種が、小泉時代において花開いたものであると、分析しています。 55年体制下においては、首相の責任の所在と権力の所在が一致しなかったのが、2001年体制はそれが非常にすっきりわかりやすくなったーと。 その詳細は本書を読んでいただければわかりますが、その2001年体制、この本が世に出てから2年が経過した今、果たして本当にうまく機能しているのでしょうか。 非常に足腰の弱かった安倍政権、なんとなく55年体制の名残のような福田政権―。 それ以上に、私は本書を読んで、当の竹中氏自身、はたしてこの新しい体制にも、本当に諸手をあげて賛成しているのだろうかーという感じもしました。 “日本の民主主義の質も深化を遂げたのである”という一文があるだけで、それ以上期待を抱かせるような書き方をしていないのは慎重さのなせる業なのか、それともこれまでとまったく違った体制のあり方に漠然とした(私自身もそうなのですが)不安を感じているのではないか、ともとれます。 これは私のまったくの印象なのですがー。 いずれにせよ、今後この本は、この時代の日本政治史を考察する上でスタンダードな一冊になるのではないでしょうか。 私と同世代、次の世代に属する方にも断然お薦めです。
日本政治変貌の原因
戦後の歴代内閣の中では,小泉政権のリーダーシップが際だって強いものとなっています。このリーダーシップの強さの源泉を小泉純一郎のキャラクターに帰するイメージがありますが,この本ではそれを否定し(一定の影響は当然ありますが),日本政治の構造が変化したことがその原因であると明示してくれています。そして,その変化とは,1990年代の政治改革による自民党総裁の権限強化と,中央省庁再編による内閣総理大臣の権限強化であると述べられています。
詳細は本に譲りますが,上記二点の指摘は的確で,論理的にも納得性が非常に高いです。また,細川内閣誕生から郵政解散までの政治過程を振り返る形で論述を進めてくれているので,ここ15年の政治を振り返る機会にもなり,一石二鳥の著作だと思います。おすすめです。
個人的に印象に残った点は,橋本龍太郎元首相は日本政治に良い置きみやげを残してくれた政治家なんだと認識が新たになった点です。橋本龍太郎がいなければ,現在の小泉純一郎は生まれなかったし,また,この先日本が機動的な国家運営をなすことはかなわなかったのではないかと思います。
55年体制から01年の新体制 そして05年体制の確立過程がわかる一冊
政治史というは、戦後から1955年までの55年体制から60年以降の自民党による一党支配の体制を語られるのが一般的です。
自民党と社会党の対立構図が、戦後の政治の中心だったことを考えると頷けるところです。
しかし90年代から現代に至る政治は、まだ客観的に捉えにくい点、歴史として記されることは困難なことです。
しかしこの書では、1993年に始まる反自民勢力による細川政権の誕生から自社さ連立政権を経て、派閥の弱体化から総裁・首相の権力集中よる自民党の新しい権力基盤の構図が記されています。
新進党の結成と解散、橋本内閣と行政改革、民主党の結成や加藤の乱など、舞台の裏側の政治を興味深く見ることができます。
55年体制から01年体制へ。そして、05年体制の確立までの政治動向がよく分かります。
首相の力の源泉を知る最良の一冊
著者は以下の理由により日本国首相の力が
増大したと、つまりは−タイトルが示すように−
「首相支配」とも言えるだけの権力を持つように
なったと述べております。
1)小選挙区比例代表併用制の導入により
政党の間で競争が行われるようになった。
2)首相の地位を獲得・維持する条件が変わった。
3)首相が保持する権力が強まった。
4)行政機構の姿が一変した。
5)参議院議員が保持する影響力が増した。
(以上、本文237p〜238pから転載(一部追記))
これらは細川連立政権の崩壊を端緒に、橋本行革
を経て小泉政権にて結実に至りました。
その過程を入手できる資料を基に組み直し
簡潔に述べた一冊です。
本書一冊を読むだけで、政権与党に返り咲いた
自民党の変遷、そして何故に小泉首相がこれだけの
力を得るようになったのかが一目瞭然です。
一読の価値有りです。
政治改革騒ぎの結末
1994年の細川内閣の崩壊から2005年の郵政民営化解散での小泉圧勝までを取り上げ,その間に起こった日本の政治の変質を分析した本。
著者が指摘する、「二大政党制の確立」、「首相の条件の変化(派閥の領袖から世論の支持へ)」、「首相の権力強化」、「行政機構の変化」、「参議院議員の影響力の強まり」といったポイントは新聞などでもよく言われていることですが、この本のようにまとまった形で変化を追ってくれるとその意義や背景がよくわかります。
ここ10年の日本の政治について斬新な見方が提示されているわけではありませんが、変化のポイントを非常に丁寧に描き出してくれていると思います。
小泉首相の今までの首相にはなかった権力の源泉を橋本龍太郎が用意した点とか、「選挙」によって生まれて消えて行った新進党のこととか、ちょっとあとになってわかってくる政治の流れを改めて確認できる本です。
