- [著]戸部 良一
- [著]寺本 義也
- [著]鎌田 伸一
- [著]杉之尾 孝生
- [著]村井 友秀
- [著]野中 郁次郎
- カテゴリ:
- 文庫 (413頁)
- ISBN:
- 4122018331
- 発売元:
- 中央公論社 (1991/08)
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組織において失敗がどのようにして起こりうるか、組織や成員の特性や要素から失敗の本質を明らかにしようとした良書。
組織において失敗がどのようにして起こりうるか、組織や成員の特性や要素から失敗の本質を明らかにしようとした良書。他のレビューを見ても名著との評価が大勢を占めています。
また、本書は第二次大戦(大東亜戦争)での日本軍の特徴的な組織的大失敗の6ケースから帰納的に失敗の原理・法則性を見出そうとしていますが、見えてくる事象・結論は単なる失敗の原理・原則というだけでなく、近現代の日本人論でもあるように感じます。単なる昔話ではなく、現在の日本人および日本人組織にも大小なり多少なり受け継がれてしまっている、「失敗の芽」を数多く見出したように思えました。
私自身は近現代の軍事史に疎いため、本書で取り上げられたケースの正確性は言及できませんし、そこから失敗の法則性を抽出した論理についても細かく議論できません。しかし、本書で述べられた数々の日本(軍)的思考や特性には経験的・感覚的に納得させられるものがありました。
少なくとも私の所属する組織では、組織の様々な単位(業界・会社・事業所・部門・グループ・チーム)で本書に挙げられた「失敗の要因」や「失敗を生んだ組織・成員の特性」が根強く蔓延っています。したがって、本書で得られた知見を自己および組織内で充分に蓄積・共有化できれば、非常に有益なものとなるでしょう。
ただ本書でも述べられている通り、日本(軍)的な要素を持っている組織では、「組織の大勢を占める空気を変革しようとする異端者」には極めて強い抵抗力・抑圧力を発揮しがちであるため、本書から得た知見を組織として学習しようとするのが実は一番困難なのかもしれません。
いまだに旧日本軍的組織から抜け出せない現代組織の所属員へ贈る解決へ向かうための手引書
太平洋戦争(ノモンハン事件含む)での代表的な旧日本軍の戦闘失敗事例6例に
ついて、主に組織論を中心とする共著者らにより組織論的な側面から検討を加えた
書になります。
内容は大きく三部構成で、第1章は議論の下地となる各事例について、背景、具体的な
戦闘経過・結果、事例の背後に潜む分析が述べられている研究、第2章には、研究に
基づき更に深化させた分析を事例の共通性からあぶりだしています。また終章に
おいては、上記分析から導き出される教訓を主に米軍との比較により組織の特質を
明確にし、単なる事例研究ではなく、現代の組織(政治、官僚、経済など)を
考察する際にも有効である重要な視点を提供しています。
既に初出以来20年を経過している本書ですが、内容と加えられた考察、導出した
教訓は現在も褪せることなく、むしろこのような検討が現在も継続せず、旧来の
戦略にしがみつく組織の多さに危機感を覚えます。
旧日本軍的組織(現代における一部の組織)においては、過去の成功体験に執着し、
パラダイムシフトを伴う創造的破壊が不得手である、と喝破した本書には、その
活動の重要性は十分に述べられていますが、研究に紙面を割いたため、その解決策は
示しきれていない面も感じられます。
但し、旧日本軍的に基幹の戦略の変更無く日々前進するという、その混乱した状況の
中で、混乱の本質すら見極めることが難しいといった組織に属する方は、本書を
手に取り組織が起こしうる失敗の解決に向かって端緒を開いていただきたいと思います。
20年以上も前から失敗が予言されていた
旧日本軍の6つの大規模戦闘についての考察を通じて、敗戦へと向かった「失敗の本質」を探ろうとする大作。
ミッドウエイ海戦時点ではむしろ日本海軍の戦力は、米国より優勢だったのだ(実際ミッドウエイの際も、米軍機に大きな損害がでている。)。戦場での目的意識の不徹底が、ミッドウエイでの不覚の敗戦の事由となったと、本書は説く。
問題は著者達は20年以上も前に、「日本軍と同じ過ちを、日本企業が犯しつつある」ことから本書を書いたにも関わらず、われわれはいともたやすく「二度目の敗戦」を喫してしまったということだ。
今から読んでも、遅くはない。いまいちど、今度敗戦しないため、個々人はどうあるべきか考えねばなるまい。
優等生の作文みたい
太平洋戦争の敗北を研究した書物と言うことになっている。しかし、ここに書いていることは、すでに語りつくされたことばかりである。もっと突っ込んだ別の視点からの、本心からの痛烈な反省にもとづくような、今後に役に立つ研究であるとは、おもえない。
書いてあることが違うというのではない。この程度で事足れり、一丁上がりという安易な態度が見える。こんな本は何十冊書いても何の役にも立たない。その証拠に何度でもおなじ事をくり返している。
ただの作文ではないか。太平洋戦争について書いた書物はぼうだいにある。日本軍の官僚的非能率について、無責任体制の原因はどこにあったのか等々、示唆に富む著述は多数ある。それらと比べてみれば、本書にはあたらしい発見はない。本書が空文であることは、今後何十年かたってみて、自衛隊がどんな結果を残すかをみれば明らかになるとおもう。
今日の防衛省のお粗末振りを見ても、本気で研究したような結果が生きているとは、おもえないのである。史上最高価格にして最低性能といわれる戦闘機。自衛隊員は”ないよりマシンガン”を持たされているというではないか。自衛隊がイラクのサマーワで作った記念の灯篭、これは爆弾で吹っ飛んでしまったが、じつにくだらない。大丈夫か、と心配になる。
無意識のうちに陥りやすい失敗の本質を的確に洞察した名著
失敗の本質は、日本軍がなぜ負けたかについて戦略面と組織面の両方からアプローチし、
その洞察は現代の経営においても普遍性が高いとの評判を勝ち得ている名著である。
但し、全部で400ページを超える上に緻密に書かれているので、意外としっかり読み込めている人は意外と少ないのが現状である。
以下は、本の読み方について自分なりの知見を述べたい。
まずは、はしがきと文庫版あとがきを読んで著者のメッセージを把握するとよい。
次に、序章を読んで著者の狙いと本の構成を見ておくといいだろう。
いよいよ、第1章からは本題にはいる。
第1章から第3章の概要を記す。
第1章は、第二次世界大戦において日本軍のターニングポイントとなった6つの戦闘が書かれている。
それぞれ、戦闘の概要を記し、その上で、アナリシスという項目でなぜ負けたのかという分析がなされている。
第2章は、6つの失敗から抽出した洞察が書いてあり、第3章は洞察を元に失敗の教訓(今後どうしたらいいのかという指針)が書かれている。
第1章から第3章の読み方には2つアプローチがあると思う。
1つには、ケーススタディとなる6つの戦闘に関してあまり知識がない場合である。
この時は、第1章から順番に読んでいけばいいだろう。第2章、第3章の結論を把握したら、それをもとに再度第1章を読み返してみると効果的だ。
まずは6つの戦闘を擬似体験し、2章、3章で帰納的に結論を導きだしたら、仕上げに結論をもとに演繹的に1章のケースを分析してみようというわけだ。
もう1つは、ケーススタディとなる6つの戦闘に関してある程度の知識を持ち合わせている場合のアプローチである。
この時は、正直に第1章から読むよりも、第1章は飛ばして、第2章→第3章の順で読み進めたほうが効率的だ。
第2章、第3章を先に読んでおいて結論をつかみ、そのうえで第1章のケースを見ていく。帰納的なアプローチは省略して、演繹的アプローチを取ろうというわけだ。
もちろん、本の構成から考えれば第1章から読むほうが順当なのだが、いかんせん第1章は200ページ以上あるので、読み切るのに意外に苦労する。
自分の知識と持ち時間とを照らしあわせて、どちらのアプローチを取るのか選択してみて欲しい。
いずれのアプローチにしても、読了した頃にはこの本がなぜここまでの評判を勝ち得ているかの理由が自然と見えてくるだろう。
もちろん、資本主義社会を勝ち抜く大きな武器の1つになることはいうまでもない。
歴史に学ぶ
本書では、非情なる合理主義に貫かれなければならない官僚機構であるべき軍隊が、情緒を重んじたばかりに身を滅ぼした(端的過ぎる表現かもしれないが)、という「事実」が繰り返し冷徹に描き出されている。
我々が今日、しばしば目にする機会がある近代日本史は、無謀な戦争を引き起こした指導者や無能な指揮官によって多くの兵士や市民が無駄死したという怨恨的なものか、あるいは国難を人智の及ばない不可抗力、犠牲者を英雄とする礼賛的なもの、のいずれかであるが、相反するようでいて何を差し置いても情緒を重んじるというスタンスは至って共通している。
一個の人間が、情緒抜きで己の過去と向き合うのは難しいことではある。しかし、我々が近代社会に生きてなお未来を失いたくないとするなら、組織固有の情緒に囚われることなく、非情なる合理主義の観点で過去を直視し、歴史に学ぶことが絶対に必要であろう。刮目して本書を読むべし、である。
たいへん参考となる本
日本軍の失敗から見えてくるものは非常に多い。
論功行賞ばかりで、罰のない日本の官僚性
ミスをしても、とがめられることも、出世コースから外れることのないエリート官僚
まさに日本軍の高級将校と同じではないでしょうか。
このような組織、制度が日本をだめにしてきたことに未だ気づかないおろかさ。
わたしたちは戦後、過去の失敗・過ちについてあえてタブー視して、一切の反省を試みなかったことにこそ問題があったのではないでしょうか。
反省させられることの多い本です。
何度も読み返したい、いや読み返さなければいけないと思わされた
ノモンハン、ミッドウェー、ガダルカナル、インパール、レイテ、沖縄での6つの作戦を、戦略、情報、資源、兵站、組織といった各面から分析した組織論の好著。敵の過小評価と自己の過大評価、空気によって支配される議論、人的ネットワークだけに依存する「間柄」中心の意思決定、信賞必罰の不徹底など、いずれの作戦にも顕著な現象がそれぞれ解説される。これらは現在の組織にも散見されることであり、その意味では非常に有益であり、ときどき耳の痛いこともあり、大いに教訓的だった。
最も印象的だったのは、強烈すぎる成功体験から逸脱することを許さない定型的な教育から過剰適応がうまれ、結果として適応能力を締め出し、凝り固まった「ものの見方(パラダイム)」に縛られたこと。そして、異質なヒト、情報、偶然を取り込むことなど皆無で、結局組織的なイノベーションが起きることも皆無だったということ。
何度も読み返したい、いや読み返さなければいけないと思わされた。
組織を研究するにはよい
本書は第二次世界大戦において、日本軍が何故敗れたのかということについて、日本軍という組織から見た問題点を検証し纏め上げられている。この「失敗の本質」においては、日本企業の病理とも言える組織的な問題を日本軍という官僚組織に焦点を当て分析しているところが面白い。そして、何故、組織というものは同じ失敗を犯してしまうのかということを再度認識させてくれるであろう。
本書では、作戦、兵站、情報、組織などなど様々な面から、ノモンハン事件、ミッドウェー作戦、ガダルカナル作戦、インパール作戦、レイテ海戦、沖縄戦という6つの作戦に焦点を当てて考察している。共通していえることは、敵情判断の甘さ即ち情報軽視、補給軽視、参謀の独善、組織の下克上など様々な問題を投げかけてくる。
発行から23年を経ているが、ビジネスマンのお勧め本としても本書はベストセラーとなっており、日本軍を研究するもののみならず、組織を運営する人にも読んでもらいたい良書といえる。
旧日本軍の組織と現代日本の組織・・・これは名著である。
ハードカバーの初版から丁度23年、この書は名著である。文章は良く内容はとても面白い。様々な点で、日本人は全く変わっていないと思い知らされる。作戦司令部は兵站無視、情報力軽視、科学的思考方法軽視の風潮があり、独自の風土で硬直的に官僚的な思考で、現場を見ることなく机上でのプラン作り、その上に無責任極まりない。一方で現場に行く参謀本部作戦課の辻政信班長のように、現場で独断専行、無茶苦茶なことしてくれる。闇雲に突破一辺倒と敵戦力の過小評価の牟田口中将は科学的な数字、情報、合理的論理性がない。ある空気によって支配される議論と空気、その場しのぎの中途半端な行動、コンティンジェンシー・プランの欠如、超エリート集団の強固で濃密な人的ネットワーク、「間柄」中心の組織意思決定、その決定の遅れと重大な失敗、相手の過小評価と自己の過大評価、知識・情報の共有の無さ、士官学校、陸大での暗記中心、定型的な教育、信賞必罰の不徹底、どれをとっても現代日本の身の回りにあるようなことで、非常に参考になる。
