- [著]村上 春樹
- カテゴリ:
- 文庫 (145頁)
- ISBN:
- 4122032105
- 発売元:
- 中央公論社 (1998/08)
- 価格:
- ¥ 540 (税込)
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洗練された文章
3編のショート・エッセイと写真。「使いみちのない風景」はそれ自体には意味がないが、我々の精神の奥底にじっと潜んでいる原初的な風景に結びついていて、意識の深層にあるものを覚醒させ揺り動かそうとする、という。そんな風景がきっかけでできたのが、『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』と『ノルウェイの森』だという。短い文章は洗練されている。どこか外国の屋外で読みたい。
あまり使いみちのない本
村上春樹の文章だけを取り出したら、どのくらいの分量になるのだろうか?私は13分で読了した(電車に乗ってから降りる直前まで。14分の乗車である)。もちろん一字一字きちんと読んだ。彼らしい文体であるが、つぶやきのようなもので、ここに詩情を感じるとしたら、それは読者の思い入れが著者の思いと同期した場合なのだろう。私にはそこまでこの作品に親近感をもつことはできなかった。読後感は不満である。
写真があるので単行本の方がよいが、文庫版には新たに2編の文章の追加がある。だから文庫の方を買ったが、当然、写真のクオリティーは落ちる。いい写真が多いので、やや残念である。
思わず旅に出たくなる
短いけれど何度も読みたくなる深い本。
私自身も人生の多くで旅をしているので、言葉の一つ一つが染み入ってきた。
なぜ人は旅立つのか。旅で見る風景は誰に見せることもできない、再生することもできない唯一の風景。それは誰のためでもない自分の風景。そんな他愛もない役に立たない風景を自分のために見せてあげることが旅なのであろう。
写真も見ると切なくなる。
素晴らしい本だと思う。文庫サイズというのがまたいい。
一緒に旅に出たくなる。
ああ、こういうことなんだ。
作者の小説を書く上でのことが書かれています。こんなことを言う人を初めて見ました。何となく何回も読み直していました。写真も、関係ないようなのが、たまに自分の中でだけつながるような、そういう瞬間が心地よかったです。
あえて言うなら『優しきゴミ本』
うーん、勇気があるなこの出版を決めた人は。
そう言いたくなる本だ。
村上氏の名前が本を読まない人たちにも知られるようになったから出せた本のような気もするし、稲越センセが一般メディアに出るようになったからコラボレートしたのかなぁ、なんて勘ぐってしまう本でした。
それでも、電車を待つ時間や寝る前のほんの数分などの「小時間つぶし」には、向いている。
たわいもないのだ、内容が。
そして、写真と何がマッチしているのか理解できないのだ。
というか、写真が「どうしてそれ」なのか、理解に苦しむのだが、よく考えれば、『使い道のないものを合わせて作ってみた』と思えば、合点がいく。
出版社サイドの提案なのか、作者の提案なのかよく知らないが、ファン以外は、買う必要を見いだせない気がする。
ま、嫌いじゃないですけど、無名の人を使ってこういう事が出来ますか?と聞きたいな(それくらい、たわいないと感じた内容だ)。
村上春樹の本というより、出版社サイドの本
とはいえ、村上ファンなら嬉しい裏話的なエッセイが綴られています。
例えば旅の途中、パラパラっと楽しむ、ビール片手にエッセイをつまんでみる、そんな本です。
初めて彼の作品に触れる人には、おすすめできません。ファンにはおすすめ
星、ひとつ。
使えない風景・・・それは無意識からの要望かもしれない
人は瞬間瞬間で、その人にしか刻めない風景を目にしていると思う。
何気なく見つめているだけの風景であったり、
美しくて心に焼き付けようとする風景であったりする。
著者の村上春樹がいうように、
それはどうしたって2度と再生できないもので、
使いようがないのかもしれないけれど、
心の深いところに結びついているものだと感じる。
意識の面では使いみちがないのかもしれない。
けれど、無意識の面で、その風景は確かに求められている。
そうでなければ、目に止まることもないはずだと思う。
風景の意味を知るときがくるのかもしれないし、こないのかもしれない。
そんなことを考えつつ、まだ見ぬ風景たちを想って微笑がもれた。
タイトルが好きだ
普通に読めば一時間ほどで読み終わってしまうようなエッセイ集だが、一度読み終わったらもう一度、自分の気にいった写真をながめながら、そこにある文章を何度も読み返してみるといい。
著者の目にしたであろう風景を静かに想像するとともに、自分自身がこれまでに目にしてきた、いろんな風景が心によみがえってくる。確かにそれらの風景は「使いみちのない風景」かもしれないが、著者が言うようにそれらの風景は、私達の「意識の深層にあるものを覚醒させ、揺り動かそうと」するのがわかる。
手もとにおいて、時々パラパラと読み返してみたくなるような本だ。
どんな人生を描いていこうか
記憶というものは、悲しいことにすべてのことを平等に、均等に持ち続けることができません。
薄れていくもの、より鮮明になるものそれぞれですが、明らかななのは、その多くが自分のイメージによって、少しずつ記憶の内容を書き換えてしまうことだと思います。
著者も、いろいろな記憶を持とうと試みたようです。
しかし気づいたのは、記憶そのものが人生を描くのではなく、別の記憶とつながることで、積み重ねてきた過去が、その人の人生を様々な形に彩ってくれるということです。
今まで積み重ねてきた記憶を通じて、自分はどんな人生を描いていこうか。そんなことを考えた1冊でした。
静かなひとときを
わずかな時間で気軽に肩の力を抜いて読み進むことができるフォトエッセイ。
村上春樹氏は多くの旅を重ねつつも、自分には「旅行をしているのだという意識はほとんどなく、むしろ旅行はあまり好きではない」という。そんな彼がなぜあちこちを移り歩くのか、彼の旅に対する思いが三編のエッセイを通じて静かに語られている。
稲越氏が切り取った異国の風景と村上氏の言葉は、読んでいる者にも異国の静かな風を感じさせてくれるような気がした。
著書『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』や『ノルウェイの森』が書かれたきっかけや背景ついても少し触れられているので、村上ファンにもおすすめだと思います。
