イエス

  • [著]安彦 良和

カテゴリ:
コミック (408頁)
ISBN:
4140054115
発売元:
日本放送出版協会 (2003/03)
価格:
¥ 2,100 (税込)
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評価: 5.0
2008
08/15
Fri

世界の宗教画に匹敵する芸術(漫画)

100.0% (1 / 1)
[No.4] posted by New JJ-K 72

欧州の美術館を巡れば、多くの宗教画を目にします。それらは聖書や福音書等のシーンを描いたものも多いですが、父が自称クリスチャンでありながら、キリスト教に興味をそれ程抱かなかった安彦さんが、聖書や福音書など相当の関連資料を読み込み、

編者ヨハネが「イエスに愛された弟子」とだけ記した弟子にヨシュア(ギリシア語でイエス、確かアリオンの叔父も同じ名前)と名付け血肉を与え、彼の弱くて人間的な生き様を通して、イエスの良心・人物像とそれを通して我々が見出すべき大切な何かを見事に描いています。

あとがきで安彦さんは、本書は「イエスへの共感とキリスト教への批判の物語」だと述べておられますが、個人的には西欧の優れた宗教画(ダヴィンチの最後の晩餐を含む)に匹敵するメッセージ性を持った世界に誇れる素晴らしい芸術(漫画)だと思います。ぜひご一読下さい。

蛇足ですが、安彦さんの美しく存在感のある絵は、欧州の一流の美術館を巡っても色褪せることはありませんが、プラハで出会ったアルフォンス・ミュシャの後期の絵に安彦さんの絵のルーツ見ることができたのは幸福な偶然でした。そのミュシャはスラヴ叙事詩(宗教画)の大作を描いていますが、母が経験なクリスチャンで、晩年にチェコのフリーメーソンの最高位に位置し、平和を願った優れたその画家と本書でイエスの良心(人が人として求めるべきもの)を描いた安彦さんの姿が何となくクロスするのでした。

2006
09/08
Fri

イエス入門

66.7% (4 / 6)
[No.3] posted by 新宿系歌舞伎町

マンガとしてはト書きが多いなど
(扱っている題材上やむを得ないと思いますが)がありますが、
安彦さんの歴史ファンタジーもの
「アレキサンドリア」「ジャンヌ」「イエス」の中では
一番(この分厚さの割には^^;),最初から最後まで集中して読めました。
画の素晴らしさは,もぅ,私如きがトヤカク言うものではありません ^^;)

巻末にある安彦さんの「あとがき」も、
安彦さんの信仰の告白や考えが伝わってきて良かったです。

トカク血生臭い事が多い現代宗教界,
だからこそ,この作品には素晴らしい価値があると思います。
多くの人が読めるよう、イチ早い重版を望みます。

2004
03/17
Wed

人間イエスをマンガで読む

82.4% (14 / 17)
[No.2] posted by ソコツ

マンガはすべてを誇張して表現できる。だから、この「イエス・キリスト伝」も、一種の「スーパー・ヒーロー物語」というか、奇跡の人の伝説として描くこともできたはずだ。が、作者はそうしなかった。ごく普通の人間であるイエスを、ある意味で現実的に、常識的に、いわば実証的に捉えた。もっとも、知性に恵まれ自信に満ちあふれ、「神」への帰依と祈りに生きた人、という設定は徹底させている。

『新約聖書』の原型に近いかたちで人物造形をしたらそうなるのだと、作者は主張する。キリスト教に何のかかわりもない人間が読むぶんには、実に納得のいく描き方だった。少なくとも私にはそうだった。しかし、熱心なキリスト教徒の方にとっては、不快に感じる部分があるかもしれない。私のような門外漢ですら、作者のうちに秘められた偶像破壊への意志のようなものを、見てしまったからだ。信仰と理性がぶつかりあうことになるのではないか。部外者の憶測でしかないが。

2003
06/11
Wed

新約聖書入門

82.1% (23 / 28)
[No.1] posted by nttn

題の「イエス」とは、イエス・キリストのことを指す。宗教に全く馴染み無い者でも耳にしたことのある「キリスト教」の基となった男の話。
 視点はイエスではなく、ヨシュアと名乗る弟子の一人となる。彼の視点から語られる「イエス・キリスト」の物語。
 ヨシュアとは何者か?

 ペドロ伝で語られる最後の晩餐にて、ペドロが弟子の一人に「裏切り者は誰か」とイエスに問わさせる場面がある。安彦良和はこの名も無き弟子に「ヨシュア」との名前を与えて、イエスに最も近い弟子として、ヨシュアの視点からイエスの人生をなぞっていく。

 この作品は、新約聖書を実に忠実に再現していると言えるだろう。ルカ、マタイ、ヨハネ、マルコのあらゆる場面が挿入され、そこに作者の解釈を挿入し、オリジナ!リティを加えているのだが、知らぬ者が読めば、ヨシュアを新約聖書にも実在する弟子であると思い違いしてしまうかもしれない。いや、実在したかもしれないのだが。

 架空なのか真実なのか曖昧な感のするヨシュアだが、読者はヨシュアが実在した弟子であると思い込んでしまうだろう。それほどまでに作品の完成度は高い。
 宗教観が海外ほどではない日本人にとって、イエスやメシアの存在や考え方を理解するのは難しい。どうしても理屈で考えてしまう。だが本書は、理屈を考える必要性などなく読み進めることができる。

 史実漫画としての完成度も高く、読み手を聖書の世界に誘ってくれるだろう。新約聖書入門書としても読めるので、新約聖書に触れてみたいと考えている人は是非購入を。


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