- [著]カート・ヴォネガット・ジュニア
- [翻訳]伊藤 典夫
- カテゴリ:
- 文庫 (298頁)
- ISBN:
- 4150103534
- 発売元:
- 早川書房 (1979/07)
- 価格:
- ¥ 630 (税込)
- 在庫状況:
- 通常24時間以内に発送
ユーズド商品:¥ 596 より
ナイスナイス、ヴェリーアイス・ナイン。
科学と宗教と政治を生暖かい眼差しで見つめた小説。
科学は物質的に世界を破滅させ、宗教は幻として人心を包み込み、政治はいい加減に且つそれらしい体裁でもって進められる。
皮肉とユーモアに満ちた作品でありながら、
どこか人間に対する暖かい眼差しを感じる。
これは新しいヨハネの黙示録。
秋の夜長向けかも
「「雲」の楽しみ方」という本でこの作品のアイスナインについて触れられていたので、興味を持って読みました。
奇妙な話なので、前半は話が掴みづらいと感じていました。
しかし読み進んでいくと、ある時急に話の大枠を把握できてきて、スッキリしてきました。
一度把握すれば、気持ちよく読み進んでいくことができました。
さらに再読すると、今度は前半からスッキリと読めました。
どうやら寝る前に数分ずつ細切れで読む本には向かないかも知れませんね。
内容については多くの方がレビューしている通り、傑作だと思います。
できれば時間を作って、じっくり読みふけりたい本だと思います。
内容についてのレビューは既出なので、こんなことを書かせていただきました。
ヴォネガット教の聖典
約四半世紀ぶりに再読したが、エセ宗教であると教祖ポコノン自らが述べているポコノン教の聖書(「ポコノンの書」)の一節(カリプソ)のようにナイス、ナイス、ヴェリ・ナイスと評価したい。作者の本の中で一番奇妙奇天烈度が高いが、明確な輪郭を与えられた個性的な登場人物達が宿命的にサン・ロレンゾ島に集結し、ドタバタ劇のあげくに世界を滅亡させ、ごく少数が生き残るまでを描くストーリー・テリングの技はヴォネガットの長編の中でも一、二を争う出来。その裏には科学の進歩の成果の管理を誤ることの恐ろしさ、家族のあり方、救いようのない貧しい国の存在といった重いテーマを抱えている。
「わたしをジョーナと呼んでいただこう。」から本文が始まるように、本書は旧約聖書を意識させる。旧約聖書ではノアの洪水で世界が滅んだ後、箱舟からまた世界中に生命が拡がるが、本書では世界滅亡後、残った人間は子孫を残すことに関心のない者ばかり。彼等が「スイスのロビンソン一家」のような生活を送った後には、荒涼とした世界しか残らないだろうことを暗示させる本書終末部に人間の無力さ・愚かしさ・無常を痛烈に感じずにはいられない。
そして、本書を決定的に面白くしているのはポコノン教。人々の目を現実からそらし、見かけのよい嘘を人々に与えるべく作り出され、人々に生きるはりをつくるために信者である権力者に自身と宗教の迫害を教祖が依頼する、とんでもないニセ宗教であるにも拘らず、島民全部が、そして主人公までが惹きつけられる、人間世界の真実をカリプソで語る名言の数々と奇妙な儀式。人間と宗教の関係について考えさせられる。ポコノンの書以外にも登場人物の言葉には名セリフが多い。嘘から真実に迫る戯作者ヴォネガットの面目躍如の、ヴォネガット教の聖典と言える一冊である。
もう一つの側面
アイス・ナインというクールなアイテム、
形而上学やそれに支えられた近代的社会へのまさに妙薬であるボコノン教。
このような独特な場面設定が、この作品にカルト的な魅力を与えていることはまちがいないだろう。
しかし、敢えてもう一つこの作品の核を挙げるならば、
それは「孤独」である。
アンジェラ、フランク、ニュートそれぞれの孤独。
巨大な破壊力が孤独な人の手に渡ったとき、
何かが起こるのはもはや必然ではないだろうか。
ありふれた孤独を前に、理性は、あまりにも頼りない。
足の裏と裏を合わせてー
全体を見るとシリアスな社会派小説なんだろうけれども、ボコノンの教えが、その堅苦しさを良い具合に中和している。何を訴えているのかということが明確な作品で、ボコノンの教えは、生物がどこに救いを求めるのかを私に考えさせてくれました。
一言で言うとヘンテコな小説
原爆を発明した科学者に関する本を書こうとしていた主人公ジョーナは、その科学者の関係者を訪ねるうちにカリブ海に浮かぶ架空の島国サン・ロレンゾを赴くことになり、なぜかそこの大統領に任命され、最後には科学者の子供たちが隠し持っていた水を凍らせてしまう物質アイス・ナインによって人類が滅亡してしまうというヘンテコな話。裏に隠されたテーマを考えると深遠な小説なのでしょうが、変人ばかりの登場人物たちの言動に笑わされたり戸惑わされたりするうちにあっという間に読み終わってしまいます。
サン・ロレンゾに伝わるボコノン教というインチキ宗教が、全ての宗教をあざ笑っているようでとてもユニークです。キリスト教徒が多数を占めるアメリカでよくこんな本の発売が許されたものだと感心してしまいます。結局この本が言いたかったのは、全ての既成概念が無価値であること、そして人生あるいは世界というものも無価値であるということなのでしょうね。
SFは訳が難しいのでしょうか
訳が少し重いように感じました。
登場人物の雰囲気は原書と訳本とでかなり印象が変わります。
ボコノン教も日本語で読むとちょっと。。。
個人的な好みの問題かもしれませんが、この本は可能ならば原書で読んだ方が良いかもしれません。
ヴォネガット流「世界の終わり」を体験しよう!
これは愛すべき人々が集まる世界の終わりの物語。
ヴォネガット一流のユーモアと真実をついた「ボコノン教」なる宗教が、この小説に深みを与えています。
思わず紙にメモしてトイレの壁に貼りたくなるような名言の数々。愛しきヴォネガットワールドをぜひみなさんにも味わっていただきたい。
シンクロニシティー
この本は友達から知りました。この本に出てくるアイス9、要するに水を凍りに変えてしまう水?シェルドレイクをご存知の方ならあっさりこの作品の要は理解できます。ヴォネガットの非凡なところは人物設定。読んでいない人に悪いですがモナという女性の描写が魅力的。もちろん主人公の性格なども面白いです、けれどあっさりモナにいかれてしまう、この辺は現実ではこうならない場合が多いと思う私としては安直過ぎる展開かとも思いますが、文章がコンパクトで読みやすくSFに興味のない方にもお勧め。とにかく大傑作だと思います。再読にも耐えますよ、とことん!
あっと驚くアイデアで人類が滅亡
9.11以来、人類滅亡というイメージが、どんどんリアルになって
いるのですが、これは、そんなことはとっくにお見通しだって感じに
人類滅亡はこんなにあっけなく起きてしまう、というお話。
にしても、人類が滅ぶのに、なんで読後はすっきりと明るい気分なのか!?
人類なんてそんなに価値がないものなのかもしれません。
世界を滅ぼす人たちは、愛すべきマージナルな人たち。
例えるなら、『ファーゴ』に出てくるような。
『ID4』は大笑いだけど、『マーズアタック』をリスペクトする人
なら、この辺の皮肉っぷりを笑えるはず。
