日の名残り (ハヤカワepi文庫)

  • [著]カズオ イシグロ
  • [原著]Kazuo Ishiguro
  • [翻訳]土屋 政雄

カテゴリ:
文庫 (365頁)
ISBN:
4151200037
発売元:
早川書房 (2001/05)
価格:
¥ 798 (税込)
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12,267 位
評価: 4.5
2008
10/01
Wed

現代のビジネス人としての生き方を考える上での参考に

100.0% (1 / 1)
[No.48] posted by ちーさん

 英国ブッカー賞受賞作品で、評判が高く、一度読んでみようと思っていたところ、ハーバード大学のMBAの学生に一読を薦めているというので、ついに手にした。
 小説の楽しみ方、感じ方は人によってそれぞれで、多くのレビューにあるように、古き英国を伝える美しい文章に感じ入るもよし、登場人物たちの心の動きを楽しむもよしだと思うが、自分は一人語り調の文章があまり得意ではないので星を一つ減らしました。
 MBAの学生に大学が考えさせようとしたのは、主人公の「生き方」についてであろう。つまり、主人公の執事の立場を現代のビジネスマンにしたとして、仕事に対してある意味「美学」とも言えるほどの高いレベルの仕事をすることに心血をそそぎ、出会った人々の心の機微にも気づこうとせず、家族を持つこともせず、ただひたすら会社の社長を敬愛し、信じて働き続けてきたが、実は会社は国家の存亡も揺るがすようなことに加担しており、自分は長年その会社の実態に気がつかず、あるいは気づこうとせずに生きてきて、すべての事実に気がついたときには職業人生もそろそろ終盤を迎えようとしたら…。人生は失敗だろうか?
 人によっては失敗だと考えて、「仕事一筋にならないようにしよう」とか、あるいは「もっといろんなところに気づけるように能力を高めよう」と考えるかもしれない。
 私自身は厳しい事実に胸が苦しくなったが、最後の数ページで夕暮れの人々の楽しげな情景のなかで、主人公が旅を終え、前向きにお屋敷に戻っていこうとする場面に救われた。
 そう、どんな人生を送ってきたとしても人生に失敗はないのだと思う。

2008
08/06
Wed

なんども読まないけれど。

0.0% (0 / 1)
[No.47] posted by kei

よく本を読むのが早いといわれるのですが、
イシグロさんの本を読むときはじっくりじっくりです。
気持ちに余裕があるとき、
でも、ハイになってないとき、
夜、ひとりで静かに読みます。
じわじわきます。違う時間が流れるかんじがします。

2008
07/15
Tue

裏表紙はヘン

0.0% (0 / 1)
[No.46] posted by KK

裏表紙の説明はヘン。「輝きを増して」とかでも、古きよきイギリス、とかでもない。

自分の生き方をしっかり持って、その生き方の中では最高に近い形で生き抜いたのに、なんで全てが(全てが、である)うまくいかなかったのだろう、という思い。

父親の老いとその死に行く姿と、現在の自分との重なり。

父親の「自分はいい父親だったのだろうか」という問いは、
主人公の「自分に何の品格がありましょうか」という嘆きに重なる。

それでも前向きに生きていく。生き方を変えず。

だけど、それは作者の真意だろうか。説得力があまりにも薄い。自分には、作者が主人公を幸せにしたかっただけのように思える。

2008
06/26
Thu

「もしも…」を考えてしまうこと

[No.45] posted by とこも

格調高きイギリス貴族の大邸宅で、ひっそりと昔に思いを馳せる老執事。登場人物も決して多くはないし、彼の行動範囲も広くない。私情を挟むことなく、仕事に徹してきた人生に、時間はゆっくりと確実に過ぎていった。女中頭に思いを寄せるが、それを伝えることはできなかった。彼女は何度かチャンスをくれたのに…。老執事は、彼女のもとへ旅に出る。だが、彼女にも時間はゆっくり流れていた。最後部の「人生で最良の時は、夕方だ。」がこの小説の要と言われるが、私は、「生活する中でだんだん夫を愛する自分に気付いた。」という彼女の告白に胸がじんとした。一度近づいてまた離れていった思いは、二度と交わることはない。だが、「もしも…」がなければ到達しない感情を、この作品は魅せてくれると思う。

2008
05/11
Sun

執事の品格とは?ではありません。

28.6% (2 / 7)
[No.44] posted by Ryu

 執事からイメージされるのは、推理小説の登場人物くらいで、あまり現実感がないので、イギリスのお屋敷の一流の執事たるものは、どうあるべきかという読み物として読んでしまうと単なるボヤキ?あるいは「執事の品格」になってしまいます。
 時代背景が、第一次世界大戦と第二次大戦の挟間で世界が大きく動く歴史をおさらいして読むと、もう少し、理解ができるものと思います。
 ダーリントン卿にお仕えした執事の仕事の達成感と寂しさ、ダーリントン卿が失脚して、新しくアメリカから来たファラディ様に仕え、イギリス流とは違ったジョークを勉強しなければならない苦痛感。執事のスティーブンが、ファラディ様の好意で休暇を取り、フォードを借りて、かつて一緒に働いた女中頭ミス・ケントン(ミセス・ベン)からもらった手紙を頼りに、彼女に会いに行く物語。スティーブンの執事としての人生・スティーブンとケントンの恋物語・ダーリントン卿の衰退とイギリスの衰退という時代背景がうまく溶け込んでいます。
 執事が物語を淡々と語るので、物語に引きこまれていきます。
 ★2つをつけると、この小説に対して理解不足だと叱られそうですが、個人的には、そんなに面白い小説とは感じませんでした。しかし、こうした静かなイギリス的な?ものを読むのもいいのかもしれません。

 その時だったと存じます。男がこう言ったのは――「人生、楽しまなくっちゃ。夕方がいちばんいい。私はそう思う。みんなにも尋ねてごらんよ。夕方が一番いい時間だって言うよ」 「たしかにおっしゃるとおりかもしれません」と私は言いました。
 私はここに残り、今の瞬間を――桟橋のあかりが点燈するのを――待っておりました。先ほども申し上げましたが、楽しみを求めてこの桟橋に集まってきた人々が、点燈の瞬間に大きな歓声をあげました。その様子を見ておりますと、あの男の言葉の正しさが実感されます。たしかに、多くの人々にとりまして、夕方は一日でいちばん楽しめる時間なのかもしれません。では、後ろを振り向いてばかりいるのをやめ、もっと前向きになって、残された時間を最大限楽しめという男の忠告にも、同様の真実が含まれているのでしょうか。(本文から)

2008
01/29
Tue

英語の表現がすばらしい!

80.0% (4 / 5)
[No.43] posted by 舘 光三

多くの方があらすじ等について書いているので、私は英語の表現や文体について書きます。この本は、執事の独白がほとんどですが、彼は、よい執事の要件に「よいことばを駆使する」をあげているくらいですから、見事な英語です。全体を通して、感情表現を抑えた文章は、気取っている感じを受けますが、読んでいて、うっとりしてしまいます!ただ、外交の世界に話題が及んだ時や、未知の人名・地名、背景が分からない状況描写部分の理解はむずかしいと思います。しかし、語彙は、大半が執事のことばで表わされており、あまりむずかしい言葉は出て来ません。執事の表現のクセに気をつければ、すばらしい表現でいっぱいです。こんな英語を待っていたので、すっかり感激しています。今後何度も読んで、書き取って、私の文章力を伸ばしたいと思います。

2008
01/20
Sun

後に読んだので

80.0% (4 / 5)
[No.42] posted by moritats55

イシグロさんの作品は「わたしを離さないで」に続いて二作品目。
ということもあり、小説の作品の展開というより「舞台のどんでん返し」に期待してしまいなんというのか、この作品をうまく楽しむことができませんでした。
その点はちょっと残念。
「わたしを…」のような展開の小説ではない、文章や舞台を味わう作品なんだとイメージを入れていたら違った読み方になったかもと思っています。
どんでん返しがいつ、どのように起こるのか、どう暗転するのか、それを探しつつ、いやこの作品はそういった小説ではないんだと気がついた時は物語が終盤にきていました。
もう一度読返して味わうといいのかなと思っています。
ただ、そんなに起伏にとんだ作品ではないように感じました。
ドラマティックにしない、あくまで「冷静」で「品格」を保ち続けるイギリス紳士の物語。

2007
12/10
Mon

古き良き時代

75.0% (3 / 4)
[No.41] posted by lookfar

執事が休暇をもらって自動車で旅行をします
旅先で昔のことを思い出します
現在と過去とが交錯します
最後にメイドとして働いていた女性に会います
執事を好きだったことを告白されます
互いに引かれながらも結ばれなかった二人
美しい物語ですね

2007
11/10
Sat

読んでいて、不覚にも涙が・・・。

100.0% (2 / 2)
[No.40] posted by fwiw6180

 読み始めたら途中でやめられなくなり、一気に読んでしまいました。しかも最後のほうでは、涙が出てしまいました。本を読んでいて泣くなんて、あまり経験がない。映画を先に観ていたのですが、原作のほうがよりくっきりと主人公の人生への後悔が語られている。日の名残というタイトルが意味するところも。自ら選択をしなかった人生がどういうものか?遠い世界の話とは思えない、すごく身近なテーマであるとも思える。映画版は女中頭との恋愛感情により焦点があてられているように思う。でも主人公の人生を象徴したようなラストシーンなど映画は映画で、ストレートに語られていないところに深みが感じられてイイです。アンソニー・ホプキンス、エマ・トンプソンの名演、ジェームズ・アイボリー監督の名演出もありますしね!

2007
05/29
Tue

内容のレビューではないです

63.6% (21 / 33)
[No.39] posted by radiocommander

不勉強で知りませんでしたが、この "Penguin Joint Venture Readers" とか "Penguin Readers" というシリーズは、むかしの悪名高き「リーダーズ・ダイジェスト」と同じで、有名本のダイジェスト版なのですね。バーゲンで異様に低価格で販売されていたのに飛びついてしまいましたが、手元に届いてビックリ。まったくもって迂闊でした。

こういうのを買わないようにしましょう。尤もそれを知ってて尚買うのであれば、これは何も問題ありませんが。


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