- [著]トニ モリスン
- [原著]Toni Morrison
- [翻訳]大社 淑子
- カテゴリ:
- 文庫 (323頁)
- ISBN:
- 4151200061
- 発売元:
- 早川書房 (2001/06)
- 価格:
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真の美しさ
トニモリスンは黒人女性ノーベル賞初受賞者。そう聞くと作品は人種問題がからんで重そう…と避けてしまう人が多いのでは?でもこれは「女性の真の美しさとは何か」を問う物語でもある。フリーダは黒人の中で最も肌が黒く、黒人の間でさえ醜いがために一番蔑視されている。彼女は白人の女の子の家を訪れたとき、白い肌に金髪、青い目の人形を見つける。貧困を象徴する壊れそうなあばら屋のフリーダの家とは違い、白人の女の子の部屋は夢のように素敵だった。そこで彼女は衝動的に人形をはさみで切り刻む。「一体全体みんながきれいと言っているものの正体は何なの?」と。衝撃的なシーン。貧困の中を雑草のようにたくましく生き抜いてゆく黒人の主人公。その生き様は読んでのお楽しみ。彼女の姿は人種問題の深刻な米を強く生きるモリスン自身に重なって胸が熱くなる。
ブランド品を買い集め、ファッション雑誌そのままの服をコーディネート、ダイエットに励む自信に欠ける日本人女性たち。本書は「真の美しさ」について考えてみるいい機会を与えてくれると思う。
黒人による黒人への差別という問題
黒人差別のひとつの大きな問題は、黒人による黒人への差別である。
白人社会の価値観を押し付けられ、それに反発を感じつつも、
黒人たちはそれを受け入れる。黒人による黒人への差別を通して
その価値観は再生産され強化されていく。
黒人は被害者であると同時に加害者でもあるが、その差別は、
結局白人の価値観に従って黒人である自己をも否定することになり、
彼らを二重に苦しめることになる。
ピコーラはそのような黒人による黒人への差別の犠牲者である。
作者は黒人差別の問題がいかに複雑で、白人によって
巧妙に作り出されたものであるかを明快な文体で鮮烈に描いている。
黒人が主役の本。
アメリカ文学で黒人が主人公の作品は、そう多くないと思う。特に日本人がよく読む本だと白人が主人公で黒人が悪役だというパターンの作品が多いのではないかと思う。「トムソーヤの冒険」がその一番の例だ。人間としての実情を知ることは大切だと思う。黒人が主人公で黒人社会での貧しい生活、虐げられた生活を知るためには一番良い本だと思う。
考えさせられました。
人為的に白人によって作られた美意識的価値観にどれだけ黒人社会が影響されていたか、その影に翻弄されたかのように、おのれ自信を正当化するために犠牲者を求める人々。人種ののるつぼと呼ばれるアメリカとそういう感覚は違っても、排他主義な傾向は日本でもみられるのではないでしょうか。
さすがノーベル文学賞をとった作家だけあって、ナレーションも結末をにおわせる様なスタイルをとったり、時代設定を支える周りの描写のし方も凝りに凝ってます。
黒い目も素敵なのに
1940年代のオハイオを舞台に描かれる、貧しい黒人家庭の物語です。短く簡単な英語と、黒人独特の口語で綴られる本書はまるで詩集のようです。今独特のファッションに身を包んで街を歩く黒人はとても自由で堂々として見えますが、Black is Beautiful という標語が使われるようになったのも70年代を過ぎてからのことです。
こんなに悲惨な毎日じゃ生きていてもあんまり良いことはないんじゃないか、と一瞬考えてしまったのは私のとんでもない思いあがりで、こういった人々が黒人文化を必死に支えてきたおかげで現在の繁栄があるのでしょう。完全な平等への道のりはまだまだ遠いようですが。
