- [著]アラン・ワイズマン
- [翻訳]鬼澤忍
- カテゴリ:
- 単行本 (440頁)
- ISBN:
- 4152089180
- 発売元:
- 早川書房 (2008/05/09)
- 価格:
- ¥ 2,100 (税込)
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人類が残した爪あと
人類が忽然と消えてなくたった後の地球を考察する本です。
私達が今目にするアスファルトや建造物が瞬く間に自然に侵食され、
文字通り灰塵に帰して、緑豊かな環境になる様子は、
想像以上の自然のたくましさを教えてくれます。
一方、私達が残した一部の化学物質は消滅することなく影響を与え続けます。
特に、印象的だったのは、土地や海に廃棄されたプラスチックの変遷。
細かく粉砕され、後々は微粒子となって海や空に蔓延します。
企業でも、プラスチックの微粒子は、人が吸い込まないようにきちんとした設備環境下で
取り扱っています。
かと思えば、女性の化粧品にもこのプラスチック微粒子は多数使用されています。
はたして、それを吸い込んだ人や生物には、どんな影響があるのでしょうか。
大気や海を微粒子が巡っている姿は想像したくありません。
これは未来の問題ではなく、近々の問題なのかもしれません。
人間が存在しなければ環境問題はそもそも存在しない
週刊誌の書評で「この夏読んでみたい一冊」の1位だったので手に取って見た。
地球環境に大きな負荷をかけている人類が、ある日突然消えていなくなったら、環境問題はどの程度解決するだろうか、というのが本書のテーマである。
が、残念ながら表題ほどには内容にはインパクトはない。
単なる思考実験ではなく、現地に足を運んで取材して書いているため、一つひとつのエピソードはリアルで興味深い。この線で押せばノンフィクションとしてもっとすっきりしたものになったと思うが、人類対地球、という対決の構図が観念的でリアリティに欠ける。
産児制限をして100年後に人間の数が産業革命以前に戻れば環境問題は解決する、という。解決すると誰がうれしいのか。森の木や山や川が喜ぶわけではなく、喜ぶのは「人間」であろう。環境問題は人間にとっての問題である。人間が存在しなければ環境問題はそもそも存在しない。そこがいちばん、しっくりこなかった。
ちょっと話が広がりすぎ
いま、忽然と人類が誰もいなくなったらどうなるなか。
という魅力的なSFテーマを現実のものとして探求したノンフィクション。
SF映画だと「人類最後の男 オメガマン」、
そのリメイクの「I Am Legend」が見せてくれた、人っ子一人いない世界。
他にもいろいろあると、
人類がいなくなった世界を描いた話は多いと思いますが、
そんな世界がどうなるのだろうと、一度でも思ったことがある人には
楽しい(?)一冊だと思います。
ただ、話はかなり多岐にわたるので、少々広げすぎにも思いました。
ということで、評価は☆三つ。
人類が地球に与えた害を振り返り・・・
今、人類が消えたら世界がどうなるか?そして人類がいることで、どれだけ
地球に対して害を与えているか?(プラスチックは還元されない。細かく溶けて
いったそれを魚等から人は摂取している。ウラン238は還元されるのに28万年
かかる等々)といったトピックを通じて、環境問題を考えています。
各トピックも、一つあたり20〜30pの分量になってますので、寝る前とか
昼食後の休憩時を使って読み進めることが可能です。
環境問題を論ずる前に、先祖も含め人間が行ってきた事柄とその影響を一気に
俯瞰するに役立つ一冊です。
思考実験を重ねることにより環境問題の単純化に成功した良書
この本は「人類が消えたら世界はどうなるのか」という思考実験を試みることにより、人類が地球環境に与えている数々の影響について深く考察することに成功した面白い本である。
昨今、環境問題が政治経済上の大きな議題となっているが、問題が複雑すぎてとらえようがないと思っている人も多いだろう(私もそうだった)。本書はこの問題を「人類が明日、全員消滅する」と仮定することにより(全員消滅する理由については深く追求していない)、単純化することに成功している。
題名からも分かるように直接環境問題に焦点を当てているわけではなく、あくまで「明日人類が消えた」場合に世界がどう変わっていき、最終的に人類の痕跡がいつ頃消えるかについて考察している。「どうすべきか」について語ってないところが、逆に多くの読者の支持を集めている理由になっているのではないかと思う。
筆者はミネソタ生まれのアメリカ人である。アメリカ人にありがちな価値観の押しつけやキリスト教至上主義的なところも見られず客観的に事象をとらえていることにも好感を持てた。
環境問題に関心がある人にはこの本を特にお薦めしたい。
人類の痕跡
この壮大な思考実験は、当然のことながらある強烈な問いかけを投げかけている。
つまり「人類は地球にとって害悪でしかないのではないか」という問いだ。
この高度に脳を発達させた哺乳類が、母である地球に対して行ってきたふるまいは決して褒められたものではないだろう。
1907年にレオ・ベークランドが成功した完全人工合成樹脂「ベークライト」の合成はその後人類が消滅しようがしまいが関係なく、
プラスチックというこの厄介な物質とすべての生物種が今後何千年何万年と付き合わなくてはならないことの始まりでもあった。
プラスチックは現実的な時間枠のなかでは生分解されず「細かく砕かれる」だけ。
どんどん小さくなって、動物プランクトンですらプラスチックを口にすることになる。
食物連鎖に完全に組み込まれていく。それでも分解はされない。
これまで人類が製造してきたプラスチックは燃えて灰にしたほんのわずかなものを除けば、ほぼ全てがある大きさで存在しているのだという。
プラスチックですらそうなのだ。では、大量の放射線を吐き出し続ける世界の441箇所の原子力発電所は?
・・・というような耳の痛いシミュレーションが続く。
とは言え記述のメインは、未来ではなく過去だ。
人類が成したことを検証することによって初めて人類なきあとの世界が想像できる。
ハードSFはすべてそうだが、単なるSFではなく科学的アプローチに重点が置かれた本だ。
人類が消えたあと、いや、地球すらも消えたあとの何十億年後の世界において、
それでもいつまでも残る人類の痕跡は何か。
その答えとその理由のくだりが個人的にお気に入りの箇所。
それは読んでのお楽しみ、ということにしておきます。
面白い本。固い本ではありますが、オススメです。
http://ekojin.com/
立ち位置に注意
人類と環境との関わりについて述べた書ですが、著者の立ち位置について注意が必要です。
基本的には人類文明により地球環境は歪められているというスタンスですから、
著者の考えでは、現在の地球はCO2排出による温暖化が進んでおり、各種化学物質で汚染されていることになります。
今やその毒性が疑問視されている、環境ホルモンやダイオキシンが槍玉に上がっているくらいですから、押して図るべしです。
中立的ではないという前提で読み進めると、それなりに楽しめる本ではあります。
読む気がしない
書店で手に取ると、字が小さく、行間が狭く全く読む気がしなかった。
もっと写真や絵やCGなどを使った絵が多いのかと思ったが、ほとんどそういう所がなかった。
期待はずれでした。
無人の惑星
人類は、その出現により地球に何をもたらしのか。そして、その滅亡後は、生み出したものの
うち何が残り、何が消え去るのだろうか。という壮大なテーマを科学的に考察するもの。
人類は約4万8千年前、アフリカから他の大陸に移動していった時に、すでに石器を使い、
次々に他の大型哺乳類を全滅させていった。
(これは、マーティンの電撃戦理論といわれるものですが、各種の反対意見も紹介されています)
もし人類が地球上から消え去ったら、多くの哺乳類がその存在に取って代わり、同時に植物、
鳥類、昆虫が繁栄を取り戻すだろう。但し、人間が飼っていた家畜や、育てていた植物は、
人類とともに去っていくことになるだろう。
堅固で崩れそうもないビルなどの建築物も長い時間の後、水や風の力で少しづつ崩れさり
残るものは、プラスチックや、アルミニウム、ステンレスなどだ。
そして、数十億年後には人類の生み出したものは、全て自然の力によりかき消され、宇宙には
放射された電波だけが残るだろう。という内容。
本著は地質学、考古学、人類学、生物学、博物学、環境学、建築学、都市工学、放射線学、
電波工学等のジャンルをクロスオーバーし、未来のシナリオを展開するものであるが、
読後は、たとえようもない哀しみに襲われる。
科学の書であることは間違いないが、文学的な響きも合わせ持つ良書だと思う。
非常に興味深いシミュレーション
この世界から突然人類がいなくなったら、残された都市や自然、生物はどうなってしまうのか、
様々な視点から科学的にシミュレーションしていく非常に興味深い作品。
そして本書はユニークな視点で書かれた環境問題の書でもある。
人類が滅亡したら世界は動物たちの楽園となるかもしれないが、
人間が生み出した様々な有害物質や分解されないプラスチックが大量に残り、残された生物に悪影響を与えるかもしれない。
例えば原子炉などで利用されたウラン235は劣化ウランとして残り、
兵器にも利用され問題となっているが、米国だけで50万トン存在し、その半減期はなんと45億年である。
人間は今まで数多くの動物達を絶滅させてきたが、次に自分たち自身を絶滅させないために、著者は出産を制限して世界の人口をコントロールすべきだと説く。
いま我が国は少子化に悩み、人口が減少に向かっているが、地球全体の環境を考えれば決して悪い事ではないのかもしれない。
