うつくしい子ども

  • [著]石田 衣良

カテゴリ:
単行本 (272頁)
ISBN:
4163184503
発売元:
文藝春秋 (1999/05)
価格:
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256,500 位
評価: 4.0
2008
06/30
Mon

ニュータウンを騒がす殺人事件

100.0% (1 / 1)
[No.83] posted by かずろう

9歳の少女殺人事件の犯人は、割と前半で明かされます。
なぜならこの物語は、加害者の家族がその後どう事件と関わっていくかを描き、
かつ事件の背景を探っていくところに主題があるからです。
犯人がだれかは本の背表紙のあらすじにも出てますが、それでも知りたくない人は
背表紙や、帯を見ないようにして本編を読み始めてください。

主人公の三村幹生は、たいした奴だなあと思います。こいつの腹の据わり方は格好いい。
山の上での集会はすがすがしくて好きなシーンです。
一方Mのキャラクター造形はコテコテ過ぎたのが唯一気になった点かなぁ。

2008
04/11
Fri

うつくしいジャガイモ

[No.82] posted by ねこじゃら史郎

少年犯罪を扱った小説です。
無理矢理ジャンル分けすると、ミステリーになるのかな。

本書の読みどころは、
・少年探偵団の活躍
・犯罪者とその家族に対する報道姿勢のあり方
だと思います。
少年の犯罪心理については突っ込みが浅い気がしますし(特に親子関係)、少年法の問題点や教育現場の崩壊ぶりも、本書では刺身のツマ程度の扱いです。
まあ、そこまで書き込んでしまうと冗長なストーリーになると思いますので、これくらいがバランスが取れていていいのかな。
マスコミのゆき過ぎた報道と人権問題については、考えさせられるところ大です。
石田さんならではの軽快なタッチで読みやすいですし、中高生にもお勧めできる作品です。

2008
01/25
Fri

イキナリ犯人をバラすミステリーが書ける作家

[No.81] posted by やひろ

ごく平凡な生活を営む『僕』。だが、ある日、自分の弟が女児を殺害してしまう。そんな事件が起きたあとも、その街で生き続けなくてはならない僕は……、
というようなことが表紙裏のあらすじのところに書いてある。解説でも言及していたが、なんとこの小説、オビと表紙で犯人バラしちゃってるのだ。あらら。普通のミステリーではない、ということがもうこの時点でわかる。でも、ミステリーではなくて純文なのかというとそうでもない。ちゃんとしたミステリーで、読み解かせる部分を持っているのだ。
石田さんは結構いろんな引き出しを持っている作家だと思う。けっこう軽快な語り口をウリにした作品が目立つけど、背後に敷かれたプロットは堅牢なものだ。イキナリ犯人をバラすミステリーが書ける作家であることは間違いない。ラスト50ページはあっという間の、衝撃的な作品。

2008
01/07
Mon

うつくしい子ども

[No.80] posted by anwalt

この作品でいう“うつくしい”とは何だろう?
主人公たち3人組の姿勢 
主人公の妹の容姿
いわゆる「伝説の天才」

“うつくしい”には色んな意味が込められているのだろう。
それは時に称賛であったり、皮肉であったりする。

ただ文章にひらがなが多いのは、中学生っぽさを出すため?
もしそこまで考えて書いているなら、素晴らしいでしょう・・・


 

2007
10/18
Thu

もどかしい思い

100.0% (1 / 1)
[No.79] posted by 紺碧の飛行人

 少年犯罪をテーマにしているということもあり、その結末はどう転んでも、もどかしい思いをぬぐい去ることはできません。本書もそういった印象でした。しかし犯罪にまきこまれた被害者と、その周辺にいる人、また犯罪者と、その家族などの心理描写、舞台設定は見事で、現実に起きたある事件を受けて執筆されたという事実を裏付けるようでもあります。
 
 本書は石田氏の他のどのシリーズ(池袋ウエストゲートパークなど)とも違い、小気味の良いテンポ、若々しいリズムなどはあまり感じられませんでした。東野圭吾氏の作品のような、程よいテンポとリズムと重厚さの調和が、読んでいて心地いいようでもあり、その世界に感化されて気分が重くなるようでもあり、読者の捉え方によっては様々な印象をうけるのではないかと思いました。
 やはり石田氏の作品ははずれがない。そういった意味で私にとって安心して、本を新たに開くことのできる小説家であると言えます。本書も多分に漏れず、違ったテイストではありましたがとてもおもしろかった。

2007
08/07
Tue

この「ムラ」がある種の魅力?

66.7% (2 / 3)
[No.78] posted by コケコッコクラブ

石田衣良さんの小説を3冊ほど読みましたが、総じて「浅薄」という印象です。本作について言えば、ところどころで主人公の少年の心の動き1つ1つに心を揺り動かされることもありましたが、読み終えてから振り返ると、何故だか「良い本を読んだな」と余韻に浸ることが出来ませんでした。
読み始めてから読み終えるまでの過程で瞬間、瞬間に感じる「瑞々しさ」のようなものは好きですが、読み終えたときの喪失感はやるせない気持ちにさせます。
読み手がどちらを重んじるかで評価が分かれるのではないでしょうか。

2007
06/27
Wed

重い設定。なのに軽い結末

66.7% (2 / 3)
[No.77] posted by ともにゃ

リアルじゃないと思う。

九歳の少女を残虐なやり方で殺した十三歳の少年。その家族のさらされる痛み、苦悩、恐怖はこんなものじゃないだろう。
次々と起きる新たな事件に、どんな出来事も世間はすぐに忘れていくけれど、只中にある時の攻撃力は、地元に留まっていることを絶対に許さないくらいのものではあるはず。まあ、残ってないと話が展開しないから仕方ないんだけど。
加害者兄の友人たちも、理解がありすぎて優しすぎて、ほんとに?と違和感を感じてしまう。

結末のつけ方にいたっては、マンガのよう。こういう展開はありえないとは言わないが、もっと深みのある、人間の存在やあり方に真に迫る内容にしてほしかった。これじゃ、あまりにつくりものすぎる。どっかでひろってきたオチでしかなく、作者の「これが書きたかった。訴えたかった」というような確固としたものを感じない。

なぜ人は人を殺すのか。
染色体に異常があるわけじゃない、親に虐待されたわけじゃない、深刻なトラウマがあるわけじゃない、ただ、人を殺すのが好きだという人間がこの世にはいる。それを私たちはどう捉えればいいのか。
少年の猟奇的犯罪を描くのなら、多少なりとも何かを考えさせられる内容がほしい。

2007
06/10
Sun

できすぎた子供たちに違和感

100.0% (5 / 5)
[No.76] posted by かさこ

これまで石田作品でハズレたことはなかったが、
今回は唯一の駄作だなと思った。

本の帯には殺人犯の犯人の名が書かれている。
13歳の弟の真相を知りたいと、
中学2年生の兄が調べ始めるんだけど、
この兄が現実にはあり得ないぐらいできすぎている。
だから物語からリアリティがまったく感じられない。
嫌がらせをされても耐え、警察で調べられなかったことを、
いとも簡単に調べ上げ、そして「真犯人」を突き止めるのに、
彼らが自殺するとその秘密を守ってあげる。
そんなこと、あり得るだろうか?

さらに、この作品が最もダメなのが、
「真犯人」の存在である。
真犯人は実際には手を下しておらず、
弟の犯罪は許さざるべき残虐なものなのに、
無実の兄が犯罪をそそのかした「真犯人」を発見することで、
まるでその真犯人すべてが悪いような物語に結果としてなっている。
結局それじゃ、誰か悪者を作ってバッシングする、
本書で批判するマスコミと何ら変わりないだろう。

2007
05/31
Thu

絆をつくるとは

100.0% (1 / 1)
[No.75] posted by hiy61

 女児を殺した犯人は「ぼく」の弟であったと内容が紹介されているように,この作品は犯人を探すことを主旨としているのではなく,なぜ弟が犯罪を犯したのか突き止めていくという一味違ったミステリーとなっています。ジャガというあだ名の「ぼく」は弟の心の闇と向き合うため,自分なりのやり方で事件を紐解いていきます。そして物語が進むにつれて弟がなぜ犯罪を犯したのか,その背景に「誰が」という影がちらつき,その人物こそが弟の闇を代弁する形になっています。
 物語は一人称で語られるジャガの視点と,三人称で語られる山崎という新聞記者を中心とした視点の二つが交互に描かれており,それがより一層物語の内容を立体的にしています。山崎は報道関係者側でありながらも,このような事件を書き立てることに批判的な立場として描かれており,自分なりの記者としてのあり方を模索している姿がジャガの事件に立ち向かう姿と重なります。「自分なりの」という個性が覆われてしまう現代,彼らの在り方が清々しかったです。
 加害者家族であるジャガの立場はかなり辛いものですが,それでも仲の良い友人との会話や,彼の素朴な人柄が話を全体的に暗いままにせず良かったです。ただもう少し弟の心の闇について詳しく描いてほしかったです。人と人とが繋がることについて考えさせられる作品でした。

2007
02/03
Sat

少年犯罪小説の先駆け

28.6% (2 / 7)
[No.74] posted by のいのい

山の中で少女が殺害された。
猟奇殺人犯は13歳の弟だった!

本書が出版されたのは1999年。
あの「酒鬼薔薇事件」(1997年)に触発されて書かれた少年犯罪モノだといえます。
なぜ弟は殺人を犯したのか?弟の心の闇を兄は理解してあげることができるのか?
そうした問いかけが本書の大きなテーマとなっています。

とは言っても、実際には青春推理モノとして書かれており、内容の重さに対してかなり軽めの文体でサクサク読めるようになっています。
謎解きの要素もふんだんに含まれていて、小説として飽きさせない作りになっているのは、さすがは石田衣良といったところでしょう。

その一方で、メインテーマである少年犯罪に関しても、他の作品に比べより冷静にその本質を描き出すことに成功していると思います。

ただ最近は多様な犯罪の低年齢化が進み、「少年犯罪」という言葉の持つインパクトもだんだん薄れてきてしまっていますね。
そういう意味では、今読むのにはちょっと向いていない本かもしれません。
(むしろ高齢者同士での事件が増えてきていることの方が問題だし・・・)


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