- [著]高橋 洋一
- カテゴリ:
- 新書 (176頁)
- ISBN:
- 4166606352
- 発売元:
- 文藝春秋 (2008/05)
- 価格:
- ¥ 735 (税込)
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「さらば財務省!」入門
埋蔵金や道路特定財源、公務員改革など
ニュースに頻出するキーワードについて、経済学の理論からわかりやすく解く。
官僚内閣制批判という点で
ほかの著書と内容が同じといえば同じだが、
「今をときめく話題の著者が何を言ってること」を
さくっとつかむのに、一番手っ取り早いのが本書といえる。
知性と感情両面に訴えるものがあるのが
この人のうまいところなのだろうが、
語りおこしで、歯に衣着せぬ痛快な物言いがさらに冴えている。
霞ヶ関埋蔵金男によるお手軽経済解説本
霞ヶ関埋蔵金男によるお手軽経済解説本
大蔵官僚から実質的な竹中平蔵のスタッフとなった霞ヶ関埋蔵金発見男・高橋洋一による、時評的経済解説本である。
テーマ設定の後のインタビューをまとめた形式のお手軽編集本の様であるが、刊行を急ぐ大人の事情があったのであろう。
2008年春時点での、竹中チームによる自民党・マスコミ内の「小泉・竹中構造改革路線」離れ・疲れに対する反撃の一冊との役割を担っているものと思われる。
大蔵省・財務省叩きが数多くちりばめられているが、トータルでは他省庁殊に日本銀行他の省庁に対する姿勢の高圧さと東大法学部卒業の官僚に対する言動に私怨を感じる。(高橋の指摘が十分根拠のある事例であっても。)
高橋と本書より垣間見える高橋が実質的に応援しているのであろう政治家たちが持つ単純化さた世界の動向、実質的にはアメリカ標準原理に価値を置くことへの不信は、高橋が言葉を重ねた本書によっても解消しない。
中央省庁内・官邸内部の人の営みと交錯する利害の人間臭い記述は、収穫である。
楽しく読める一冊だが・・・・
なかなか楽しく読める一冊であった。日銀を「馬鹿」の一言でばっさり切っているあたりは読んでいても、ある意味爽快である(笑)
ただしボリュームも少ないせいか、いささか説明不足なのも事実。特にマンデル・フレミングモデルの項で、「日本は変動相場制だから財政政策、公共投資はムダ」とさかんに指摘しているが、そもそもマンデル・フレミングモデルは
前提1:自国が小国
前提2:金融政策が中立
前提3:国際資本移動が自由
のもとで成立し、財政出動をすると、
所得増加→金利上昇→資本流入→為替レート上昇→純輸出減少となり、所得増加が相殺される
というものだが、日本の場合前提1と前提2が成立していない。
まず、日本の経済規模は大きすぎる。
次に、現在の金融政策は輸出ドライブがかかっていて異様に円安に振れており、中立とは言いがたい。
従って、上のシーケンスに書かれた「金利の上昇」と「為替の上昇」は起きない(上昇しそうになると政府が介入して下げる)、だから、輸出の不振による所得の低下を生み出さないのではないかと思います。
著者にしてみれば、この程度の反論など簡単に論破してしまいそうではあるが(そう信じたい)マンデル・フレミングモデルは万能である、といった誤解を生みかねない。
他にも、これはちょっと言いすぎだろ。と感じた部分も多々あるので★4つ
疑問もあるけど、勉強になる
日銀がお金を供給したら、簡単にインフレ目標を達成して景気がよくなるというのは単純に考えすぎだろう。マンデル・フレミング・モデルにしても、実際は、財政政策をしても、特に景気がよくなったわけでもなく、金利も上昇してないのでは。複雑な経済をかなり単純化して語っていると思う。それ以外は、勉強になるところが多いのでよい本だと思う。
埋蔵金は必読、但し、(国際)金融に関しては間違いが多く残念
ぜひご一読を勧めたい。
埋蔵金、財政、地方分権、公務員制度改革等に関しては、重要な事柄を実に簡単に面白く書けている。なるほどとうなずく部分が多い。
但し、国内金融や国際金融に関しては、間違いが多く残念。また、やたらと竹中を引き出すのも辟易した。このため、辛口の星2つとした。
たとえば、竹中と同様に、日本経済はインフレでなく、デフレと判断しているようだが。果たしてそうか。消費者物価はいまや前年同月比2%のインフレである。国内卸売物価は同6%も上昇している。日本はインフレと景気後退の併存というスタグフレーションの状態にあり、デフレではない。
また、マンデル・フレミング論を引き出して、変動相場制の下では、財政刺激効果は生まれないと決めつけているが、資本の完全移動が満たされないのであれば、財政効果は生まれる。また、財政刺激政策に金融緩和政策を組み合わせれば、極めてパワフルな需要刺激効果が生まれる。
竹中と同様に、日銀の前福井総裁の金利引き上げ政策を批判しているが、金利の正常化を狙った金融政策のどこに問題があるというのだろうか。現行の日銀の政策金利は名目0.5%に過ぎない。CPIが2%を上回って実質政策金利がマイナスという借り徳状態は危険である。
インフレターゲットの議論も表面的にすぎる。バーナンキFRB議長は住宅等資産バブルを無視して金融危機と大インフレを招いている。インフレターゲットと呪文を唱えれば済むというものではない。
以上のような批判は別として、埋蔵金や上げ潮の議論は大いに賛同する。読者は、金融と国際金融の部分は眉唾と読み飛ばして、財政や公務員改革等の部分を楽しんだらいかがだろうか。
700円と値段も手ごろだし、買い求めても損はないだろう。
今、読め!
前のレビュアーも書いているように、2008年現在の今読むべき本である。
竹中平蔵氏のもと、小泉・安倍内閣をサポートした筆者の経歴を知らなければ
話はわかりずらいし、簡易的なインタビュー形式で時事的な問題が中心なので
数年後ではあまり面白くないかもしれない、というのがその理由だ。
反面、新書らしくわかりやすい平易な記述の上、内容は新聞などには書かれて
いない興味深い事柄が多い。
具体的に内容を紹介しよう。
・埋蔵金を見つけたのは著者(高橋)だが、名前をつけたのは与謝野研究会。
ネーミングされたのは最近である。数年前から著者が主張していたときはまっ
たく注目されなかった。しかし、効果のある「埋蔵金」というネーミングが
されてから一挙に注目が集まった。
世論に訴えるには、ある種のわかりやすさが必要だということがわかる。
・現在も日本はデフレから脱却できていないにもかかわらず、日銀は金融を緩めな
かった。なぜかというと、金融を緩めるためには国債を買うことが必要なのだが、
それは財務省の手助けだから日銀が嫌がった。
などという「あほか!」と言いたくなる話。
・民営化といっても、その種類は3つある。霞ヶ関文学では「完全民営化」と「完
全に民営化」では意味するところが天と地ほど違う。という話(詳しい説明は本書
を参照されたい)。
これは以前竹中氏が月刊誌で主張していたことだが、官僚の姑息な抵抗の様を多く
の人に知ってほしい。
道州制(それに伴う憲法改正)、小さな政府の話もでてくる。
「『埋蔵金論争』は、一時的な熱狂ではなく、国のあり方を問う、国家観をめぐる
争いなんですよ」という末尾の著者の言葉がとても印象的だった。
2008年の今が旬の日本経済入門本!
本書の著者高橋洋一は、”上げ潮派”の一人であり、いわゆる”埋蔵金”発掘の一人である。
”埋蔵金”なる言葉そのものは、同じ"上げ潮派"の一人で与謝野鉄幹の孫、馨が生み出した云々、米FRB長官バーナンキが留学時代の先生だった云々等々、興味深いエピソードを載せながら「今」の日本の抱える経済問題を一刀両断に切り捨てる痛快な”新”日本経済入門である。
何ら難しい箇所はなく、一気に理解できる。
”高校1年生〜財務官僚・日銀マン向き”と腰巻にあるのがいい。
しかし、この本はあくまで2008年の今が「旬」の本で、いつまでもそう長く読まれる性質の本ではない。
急げ、本屋へ!
“上げ潮派”という言葉は、”A Rising Tide Lifts All Boats”からとっているようだが、本著の論調はあくまで反官僚主義ということで一貫している。
「小さな政府」を目指しつつ、”埋蔵金問題”に始まり、マンデル・フレミング・モデル"の日本経済への適用、”デフレ論争”、”三位一体改革”、”道州制”等々に話が進む。
2008年日本経済の「今」を読み解く絶好調本である。
「国家観をめぐる論争なんですよ」
前著「さらば財務省!」に踵を接して書き下ろされた176ページの新書。絶妙なネーミングで世間の耳目を引いた「埋蔵金」を手がかりにして日本経済の改革にかかわるトピックスを「財政編」、「金融編」に分けて解説する。前著と重複する面もあるが問題を絞り込んでいる分だけ明快である。
前著と同様に政府(主として財務省)や日銀の夜郎自大ぶりが抉り出されている。論旨は明快だから逃げ隠れはできない。矢玉を浴びせられた当事者が無言の行を続けるのは卑怯というものであろう。著者を無視したがる人のために小さな一例を挙げてみる。難産の末に誕生した白川日銀総裁の京大時代の主著「現代の金融政策」について著者は「参考文献も日銀を批判した文献を外してあって、ちょっと残念でした」と書いている。日本の経済学者の中でも大御所的存在らしい浜田宏一教授も同書について同じことを指摘している。「日銀の政策に批判的である学説は軽視しがちの傾向がある。…政策方針に合わないものは、文献表にも載らないことすら起こりえた。」(日経新聞6月17日)
「公務員制度改革」の章は痛烈この上ない。財政や金融問題は、相手が応じればの話だが、正面からの論争が可能である。しかし官僚体制の改革は論争だけでは押し切れそうにない。著者の言う「官僚内閣制」の下での黒子的な策謀は油断もすきも許さない。著者は「上げ潮派」(潮が満ちれば船は浮かぶ)に分類され「財政タカ派」と対比される。著者によれば、この両派の違いは世間で言われるような「増税か否か」ではない。その対立の根底にあるのは、政府の資産をスリム化するかしないか、つまりは「大きな政府」か「小さな政府」か、という国家観の違いである。イギリスには昔から「安上がりの政府」(Cheap Government)の主張がある。日本経済の現状はそのような働きかけを必要とする局面にある。新聞によれば著者を発起人の1人とする「脱藩官僚の会」が設立されたという。今後の成行きは注目に値する。
「さらば財務省」の前後におすすめ
著者の前著「さらば財務省」を読んだ上で、本書を手に取ったが、こちらはインタビューの筆記となっており非常に軽い感じだ。ただ、ところどころで「裏話」的なものもあり、それはそれでおもしろい。
「さらば財務省」を読んだあとの、コーヒータイム的に読むのもいいだろうし、本書を先に読んで予習した上で「さらば財務省」に向かうのもいいかと思う。
いずれにしても、前著とセットで読まないと著者の意図が中途半端にしか理解できないような気がする。その点を考慮して、★3つとさせていただきます。
サラサラ読める本
日本を取り巻く政治経済について書いてある本で、電車の中でもサラリと読め、値段もお手ごろ。今の政治の問題点などを簡単に確認するには良い本だと思う。
言っていることは、ちょっと過激だなと感じる点もあるが、まじめに考えると高橋氏の意見が正しいと思う部分が多い。また、外部から普通はあまり良くわからない政治的な慣習や制度などにも言及してある点は参考になる。
一つ難点を言うと、この高橋氏の本は「さらば財務省」を読んでいてもそうだったが、読んだ時の後味というか印象が残念な部分がある。この本は文章の書きぶりからして、読みやすさを意識して口述筆記なのだろうが、日本語がギクシャクした部分がある。(と言うのが私の印象)。書籍の編集者は、折角内容の面白い本なのだから、もっとちゃんと語尾や語彙が読み手にあたえる印象を考えたほうが良いと思った。
総評としては、安易な口述書籍が世の中にはびこる中では、中身もしっかりしていて悪くない本だと思う。
