- [著]城山 三郎
- カテゴリ:
- 文庫 (333頁)
- ISBN:
- 4167139235
- 発売元:
- 文藝春秋 (1998/06)
- 価格:
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スケールの大きさ
日本にもほんのつい昔には、こんなにスケールの
大きな経営者がいたんですね。
著者の一度だけでもお会いしたかったというのは
まさに同感です。
どんな人だか会ってみたい
講演会でもよいので、お話を伺ってみたいと
素直な気持ちにさせられる方です。
ちょっと持ち上げ過ぎ?
城山氏の経営者・政治家列伝とも言うべき作品群の特徴であるが、対象となる人物を褒め上げすぎる傾向がある。それを差し引いて読むのが城山作品の正しい鑑賞法であろう。それにしても、城山氏がご存命だったとして今後氏のお眼鏡に適う経営者や政治家は出て来るのだろうか。
それがしの一日
石坂泰三は第一生命社長として経営手腕を発揮し、
組合闘争の激しかった東芝で労働紛争に折り合いをつけ、
さらには第2代経団連の会長に就任する。
6期12年を勤め、その間に大阪万博会長も兼任。
戦後の日本経済を育て鍛えた押しも押されもせぬ第一人者である。
よく食べ、よく学び、生きることを大いに楽しみ、
また思ったことを歯に衣着せずズバズバ言ってのける。
相手が現職の大蔵大臣だろうが、総理大臣だろうが、
日銀総裁だろうが、まるでお構いなしで周りをはらはらさせる
石坂だが、実は誰よりも視野が広く先を見通す力があった。
家庭人としての石坂は、愛妻家
(特に妻の死後に愛妻家ぶりが発揮されるのだが)
で子煩悩。家族に対して非常に愛情深いのだが、
それが暴走し、時に「困ったお父さん」になってしまうこともある。
この本はそんな石坂の毎日をさまざまなエピソードを数多く交えた、魅力的な 「狸オヤジ」 の世界を描いた小説である。
読むと元気になれる痛快な作品であると私は思う。
現代の渋沢栄一
明治維新後の日本の経済界をリードしたのが渋沢栄一や五代友厚であれば、戦後の日本の経済界をリードしたのは間違いなく石坂泰三だと思います。石坂泰三がこれほど魅力的なのは当然日本の経済界を引っ張っていった指導力を持っていた反面、非常に愛妻家でありロマンティストであったからだということがこの本を読んでよく分かります。
いま、多くの若者が起業を目指し、成功事例も出てきています。彼らの中に渋沢栄一や石坂泰三のように真剣に「日本のために」を考える人が多くいることを願います。
筋を通した気骨の人、石坂泰三の世界
本書は昭和を代表する財界人、石坂泰三が「もう、きみには頼まない」という啖呵を当時の大蔵大臣水田三喜男に発した言葉です。第一生命社長、東芝社長、経団連会長を勤め、陰の総理、財界総理と謳われ、田中角栄の金権体質を嫌い、経団連関係の立食パーティーで、石坂の元へ来た田中角栄を袖にしたりと、財が、政・官に必要以上に近づかず、筋を通した気骨の人、石坂泰三の生き方そのものを、平成の現在は経営者に求めている。「それがしの一日」。サラリーマンを卒業し、大経営者になった石坂泰三を目標に、新たなる日本の再生を目指すテンションを本書から得ました。
存在感のあった財界人 石坂泰三。
昭和を代表する存在感のあった財界人といえば、私は迷わず、石坂泰三を挙げる。
この本のタイトルである「もう、きみには頼まない」は、第一生命社長、東芝社長、経団連会長を勤め、陰の総理、財界総理と謳われ、現役の大蔵大臣に向かって、「もう君になんか頼まない!」と啖呵を切ったり、また時の総理田中角栄の金権体質を嫌い、経団連関係の立食パーティーで、石坂の元へ来た田中角栄を袖にしたりと、財が、政・官に必要以上に近づかず、筋を通した気骨、石坂泰三の生き方そのもので、読んでいて実に痛快であった。
あとがきにもあるが、平成の現在、存在感のある経営者が求められている。不況の前で、揃って足踏みをしているのではなく、広い野原へ連れ出してくれる大きな人に会ってみたい。日本の政・財・官界では、好景気の時に同質化が進み、仲良しクラブ的な付き合いばかりが増え、拳骨を突き出す人が稀になった。
これは時代小説か?
読後感として最も強烈なのは、こういう経営者が今時どうにも見当たらないという悲しさだ。もちろん、財界人ならぬ身では、個々の経営者をよく知っているとはいえないが、石坂泰三という人の真骨頂は、政府嫌い、官僚嫌いにあると思う。単なる毛嫌いであれば意味はないし、そうした経営者は今も少なくないだろう。しかし、例えば昨今の経営者が政府批判はする一方で、景気対策は要望するなど、お上頼み体質が染み付いているのは、一般に個性的、リーダーシップに富む等の評価を受ける経営者であっても変わらない。石坂泰三は日本という国を愛したという。そうした彼にとっては経営もお国のためである。規模の拡大を指向するなど、彼の経営方針には一見時代遅れのように見えるものもある。しかし、株主重視とか、従業員を守るとかいった最近の経営にかかわる議論は、すべてのステークホルダーを抱合した「国」を視座に置いた石坂にとってはお笑いでしかないだろう。ほんの一昔前の話なのだが、実感としては明治期の時代小説を読んでいるに近いものがあった。
気骨、まさに気骨。
「骨のある」親父である。ビジネスを法則やテクニックで説く昨今のビジネス書を喝破する、良い生き方を見せてくれる。大きな背中の様な本である。
