- [著]古川 日出男
- カテゴリ:
- 文庫 (394頁)
- ISBN:
- 4167717727
- 発売元:
- 文藝春秋 (2008/05/09)
- 価格:
- ¥ 570 (税込)
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ユーズド商品:¥ 208 より
犬だけでなく
読んでいる途中で、
これは「犬」についてだけの話ではない、
と思ってしまった。
いくつかの血統をもった犬たちが、
世界に散りながらも、
人間がつくった歴史の流れのなかで、
また出会い、また離れていく……。
まあ、言ってみれば、
人間だって同じようなものだ。
歴史に名を残すのは、
ごく一部の人間のみ。
それ以外の人は、どこで何をしようが、
誰とめぐりあって、子を残そうが、
数世代のちには、ほとんど知られなくなる。
そう思い始めると、
「犬」がただたんに犬には思えなくなって、
なんとも感慨が増してしまった。
いぬどしだからかもしれない。
吠えないのか?
文体が独特.慣れるまでは非常に読みにくく,言葉使いも特徴的.これらを「野性味溢れる」「力強い」と好意的に解釈できれば良作,「下品だ」「浸りすぎ」と断じてしまえば駄作.そういう本だ.
さてさて
相変わらずジャンル分け不能である。人に薦め難くてしょうがない。勿論べらぼうに面白いのだけど。
犬達の話である。第二次世界大戦終戦前夜、日本の遥か北方で四頭の軍用犬から始まった物語。
20世紀を駆け抜けた全ての犬達が生きることに健気であった。人間共は犬達につられるように走り、去っていった。
生きろ。繁殖しろ。ときに本能のままに。ときにメロドラマのように。舞台は東へ西へ、地中へ宇宙へ。
そして21世紀。ベルカとストレルカは戦いを仕掛けるのだろうか。それとも、再びアダムとイブになるのだろうか。
読み切るには気力も体力も要ります
ラジオの紹介が気になって購入しました。大満足。ガツンと来ました。
犬たちが20世紀を、戦争の歴史を駆け抜けます。人の傍で生きることを
運命づけられた犬たちは、時には美術品に、時には怪物に姿を変えます。
けれど、自分たちの運命を切り開いていきます。終幕はまるで神話のように
混沌としています。
荒々しい物語が、飾ることのない猛々しい文章で書きなぐられていました。
気合いを入れて読まないと、噛みつかれるかも知れません。
読み終えた夜、“犬のベルカ”と“犬になったストレルカ”が、ボクたちの
平穏な生活を食い破る夢を見ました。
犬よ犬よ、今お前たちは、どこにいるんだ。
力強く美しい、犬達の大叙事詩
一節一文が爆竹のような小気味良さと瞬間の熱を放つ古川日出男節全開の作品。
切れ味鋭い動的な描写とシャッター音が聞こえるような情景描写の
ジャンプ率がすばらしい傑作。
激動の二十世紀を軍用犬の世紀と位置づけ、犬達の血の系譜で物語を
展開させる構想はさすがとしか言いようがない。
本来ならば人間で展開される「血族」の物語を犬に落とし込んだことで
歴史が拡張され(世代交代が早いので)、より血の物語を濃密に
感じることができる。
特に感動を呼ぶのは、アイスからシュメールへ受け継がれる下りに
カブロンからグッドニュースへという相似形をかぶせたこと。
喚起されるイメージの美しさには涙せずにはいられない。
オススメ
・大叙事詩が好きな方
・戦争史などが好きな方
犬になるには
戦後の歴史のなかで翻弄される犬たちの歴史。犬に「お前」と呼びかけつつ犬の内面も代弁する作者=神の視点からの小説。「うぉん」に籠められた犬たちの思いの多層性。
人の歴史と犬の歴史の交錯を描き、人でも犬でもないものが生まれるのがすばらしい。犬と気脈を通じる三人の人間(日本人の少女、メキシコ人のマフィア、ロシア軍特殊部隊の軍人)を通じて「犬になる」ことが描かれます。
時期的に松浦理英子さんの「犬身」と較べてみたくなりますが、あちらが幻想的にだとしても現実の犬になるのとは異なり、こちらは人間の姿のままで「犬になる」ことを描いているのが面白いところです。犬になる二つの道。古川さんの「偽史的想像力」(byスガ秀実)も楽しみたい。
映像がスパークした
大傑作ベルカ!
シブイ!ちょーシブイ!
クール!えらいクール!
読みながら映像と音楽が炸裂しました。
ハリウッドで映画化していただきたいものです。
プロデューサ兼監督そしてロシアの老将軍はC・イーストウッド。
メキシコの怪犬仮面はジョー・ペシ。
そしてイヌはイヌは・・と妄想が・・・。
ベルカ強力推薦太鼓判!
女子にはオススメいたしません。
イヌを題材としたから、というわけでもないのでしょうが、
言い回しがかなり下品な箇所もあるので、女子にはオススメいたしません。
歴史、軍隊、戦争、マフィアなどに興味がある女子で
(イヌに興味がある・・・というと誤解を招きそう)
多少下品な言い回しにも我慢ができる方にならオススメします。
作者自身が内容に酔ったようにも見える文章が、読書欲を多少妨げるところはありますが、
上記のテーマに興味がある人ならば、作品の背景となる壮大な世界と、
まさしくイヌが疾走するかのようなスピードのある展開をかなり楽しめると思います。
ただ、他の方が書かれているように間違いなく読者を選ぶ作品です。
それこそ、口を開けて涎を飛ばしながら疾走するイヌのような作品で、
その野性味に惹かれる人ならば楽しく読めるし、その剣幕に引いてしまう人ならばすぐにリタイヤしてしまうことでしょう。
美しいイヌは出てきますが、美しい人間は全く登場しません。
とはいえ、イヌ好きの方にオススメする作品でもありません。
歴史と戦争に興味のある方ならば、わりと楽しく読めると思います。
文庫本化で良かったこと
私は実は単行本で読んだのですが、内容は他の方が文庫でも単行本でも書いているので軽くだけですが、この本は読み手を選ぶと思います。何を訴えているのか、と言う点を聞かれると何も訴えていないと思います。しかし得手不得手はあるものの第二次世界大戦から刻々と変わる米ロ情勢など興味深く読めましたし、私は結構はまりました。
で、単行本を読んだのに、文庫本のレビューを書いている理由は、単行本に載っていない犬の系譜図がついていることです!先に読まれた方に、犬がどれがどれか分からなくなるぞと忠告されたものの、な〜にそんな風になるものか!と思って読んだのですが、結局後半はこの犬はどの犬の子孫かさっぱり分からなくなってきました。
本自体は内容が4つ星にしようと思いますが、この系譜図があることでもう1つ星を加えた満点の星です。
題材はおもしろそうなのに
題材はおもしろそうなのに文体が不愉快。そして品性のない台詞ばかり。やっぱり三島由紀夫賞作家は読者を選びますね。
