- [著]香西 秀信
- カテゴリ:
- 単行本(ソフトカバー) (184頁)
- ISBN:
- 4181650081
- 発売元:
- 明治図書出版 (1995/08)
- 価格:
- ¥ 1,848 (税込)
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これは単なる「読みもの」ではない。
文章指南の本にしても、議論術の本にしても、
よく見かけるのは、実践に役立たない理論書の類です。
客観的な視点を持て。根拠を伴わない意見には説得力がない。
そんなことは言われなくてもわかります。
ダメな話し方を例に取り上げ、どこが悪かったかを指摘する。
これだって、注意深い人間だったなら、
言われなくたってすぐに気づきます。お金を払って
わざわざ教えてもらうほどのことではありません。
そうです、読者は単なる理論を求めているのでも、
かつてなされた芸術的とも言うべき説得の実例を見たいのでもありません。
どうすれば自分の議論術を高められるのかを具体的に説き、
かつ読了後にそれ以前にはなかった能力が身についたことを実感させ、
実際に活用できる自学自習・実践の書なのです。
この意味で、本書は類書とは一線を画す好著であると言えるでしょう。
著者はこれでもかとばかりに具体例を挙げ、一見よくまとまっているか
に見える論議を、自ら鮮やかに論破して見せます。
著者はわざと偽悪者を装い、毒舌を展開しておられますが、
それも上品なブラックユーモアとして、大いに楽しめました。
怠慢な現職国語科教員(私自身、その一人なのですが)に対する警鐘という意味でも、
これは自省を促す大変刺激的な本です。
本書に散見される名言をいくつかご紹介しましょう。
「反論は議論の本質である」
「意見を述べるとは、反論すること」
「反論の手本は教師が示せ」
いかがでしょう? なんだか読みたくなってきませんか?
「意見」ならば必ず反論されうる、ということがわかった
自分の意見なのにあたかも事実であるかのように語る人がいる。その一方で誰も反対しそうにない理念理想をあたかも自分の意見のように述べている人もいる。どちらもインチキであるということがこの本でよくわかった。そして、「事実のようにみせかけている単なる意見」は必ず反論の余地があるのだということもよくわかった。更に反論の応酬が実は弁証法的発展だということも納得した。
更に著者によれば適切な反論とは相手の立論の根拠を突き崩すか、あるいは論証過程の不備を突くかの2通りあるということになる。前者は、「敵の錦の御旗としている大前提」を否定するような具体的事例を挙げて「相手の錦の御旗」を無効化すると同時に「理念としても崇高な別のタイプの錦の御旗」を提示してみせるということでこれが最も相手にとって痛手になるという。ここで私はふと思った。これって感度と特異度というアナロジーで考え直せないものだろうかと。感度が高い検査で否定できれば、疑いは消える。例えば、アリバイが証明されればその人は犯人ではない、というようにである。疑いを否定するためには感度の高い検査を施行しそれが否定されればよい。討論という場で高い感度の検査方法で相手の立論を否定する方法があるとすると、まさにこの、"「敵の錦の御旗としている大前提」を否定するような具体的事例を挙げて「相手の錦の御旗」を無効化すると同時に「理念としても崇高な別のタイプの錦の御旗」を提示してみせるということ"になるのではなかろうか。
他人の意見をあっさりと受け入れるな、のメッセージ
数学のように答えが1つしかないような場合を除いて、ほとんどの主張には反論可能な問題点が存在する。ある主張が誤っているにもかかわらず、反論が全くない場合、謝った結論が導かれることになる。それに対し、どのような発想で訓練することで、適切に反論できるようになるかを説いた書。
著者が実際に、学生に教育している初歩的な訓練法、手順を例に解説しており、非常に読みやすい点で好感。
正しい主張であっても、それに反論する姿勢を持つことは、その主張に内在する問題点を明らかにし、修正できる可能性がある点で重要である。すべての意見に対して、常に考察し、よりよい結論を導くための議論を著者は望んでいると思われる。しかし、読む側にとってはこの書によって、正しい意見を誤った方向に導くための『屁理屈』を生み出す技術として悪用することも可能である。したがって、読む者の倫理観や客観的思考能力を同時に養う書を読んだ上で、本書を読むことを勧める。
毒の効いた良書です
学校の先生を対象とした本です。きれいごとを一切言わない著者の姿勢には共感を覚えます。
反論の訓練方法は実際的であり、会社員の私としても非常にためになりました。事例も豊富で頭に入りやすいです。良書です。
議論について学びたい人におすすめ
議論について、とくに私などにはやりにくく、つい感情的にブッてしまう反論について、よく説明されています。大変わかりやすく、なめらかに読めました。なかには筆者の文体の個性が鼻につくという人もいるかもしれませんが、私のように修辞学ドシロウトにはそのあたりわからずに読んでしまうので、逆に気にならないかも知れません。とにかく、内容について本当は難しい内容でしょうが平易に勉強できるので、進学前また就職前の高校生にもおすすめします。加えて、小学校の意見文指導の在り方と出来上がった作品についての考えは、私も同感です。
「自分の」意見を作ろう
題名だけ見ると、相手の意見にケチをつけ、言いくるめるためのテクニック本のように見えますが、そんなことはありません。本書では反論を「ある意見を通じて自分の意見を作りあげるプロセス」と捉え、そのための考え方を紹介しています。
この重要でありながらなかなか本にすることのできなかった考え方を、本書は見事に解明し、分かりやすい形で私たちに示しています。特に後半の実例を通じた反論の仕方は、単に相手の意見に反論するだけではなく、自分の意見をよりよいものにしていくのに格好の題材となるはずです。
教育書なので実例が社会問題に偏ったり、筆者の専門であるレトリック臭が人によっては鼻につくかもしれませんが、読んで得られるものは絶大なはず。
自分の考えをより説得力あるものにしたい、相手との会話をより有益なものに変えたいと考えている方なら誰でもお勧めです。星五つ。
星は5つですが、10点満点です。
「中身」の濃い書物です。
少ない知見で恐縮ですが、ディベート関連の本を開きますと(入門書は特にそうですが)ディベートとは何か(定義)、その進め方は(方法)・・・という表面的内容のものが多いように思います。
「ディベートをいかに充実させ得るか」「いかに相反する立場の中から止揚した結論を引き出すか」など、議論の中身を濃いものとする具体的な提言をしている書物は少ないように思います。具体例を取り上げつつ、そのような提言をしようとすると、書籍が大冊になってしまうということも多分にあるのでしょうが・・・。
この本は、焦点が明瞭です。ズバリ「議論の本質は反論である」とブチアゲています。実例は豊富で簡潔です。反論の自修法も示されています。ギリシャの古典修辞学についての説明などは少々まわりくどいようにも感じられますが、それはそれで反論の技術を養成するための良い動機付けを与えるものとなっています。
この大きさの本の中に、これだけの「中身」をよく納めたものだと感心いたします。「議論の本質」を知り、その「技術」を磨く上でたいへん良い書物であると思います。お勧めいたします。
反論を理解するために
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思考術の基礎
最近は、思考術に関する書籍が多数出版され、その中のいくつかはベストセラーにもなっていますが、自分の思考法を確立したいと考えている人の大部分は、そもそも「何かおかしい」と感じながらも「それが何かわからない」という漠然とした疑問を持つものです。この本は、まずはそのモヤモヤを明らかにする(問題を顕在化させる)ための質問のやり方を、『反論』というロジカルな方法を通じて説明しており、単なるノウハウ書以上に広い分野に応用可能な思考ノウハウをマスターできる内容になっています。
