- [著]千住 博
- [著]野地 秩嘉
- カテゴリ:
- 新書 (209頁)
- ISBN:
- 4334033253
- 発売元:
- 光文社 (2005/10/14)
- 価格:
- ¥ 735 (税込)
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日本の常識は世界の非常識、美術の世界でも同じ
ワシントンDCのNational Gallary of Artも、NYのMoMAもメトロポリタンも実に作品が見やすい。近代の作品は圧倒的にNYだ。展示室の壁紙も指摘のとおりに作品に合わせて配色が異なるのは常識。常設展示が貧困なのだから、日本ではある面では致し方ないが・・・それ以上に鑑賞者の姿勢が教養主義的で、不自然だという指摘はもっとも重要だ。画家になったつもりで、困ったら耳を見る、など作品鑑賞法を素人でも工夫すれば作品の本質が見えてくる手法は本当に参考になる。やはりプロの画家ならでは自然体の鑑賞法で、生活の一部として絵画を鑑賞する意味を教えてくれる。見方のつぼを精確についている、そこが実に楽しい。
すぐに使える美術鑑賞ガイド
美術館に行って作品の前に立っても、「いいなー」と感じるだけで、他にどこを見ればいいのかよくわからない人に対して、本書は作品の「読み解き方」を解説してくれる。
例えば、人物画は耳に注目すると説いている。なぜなら、耳を描くのは難しく、うまく描くには高い技術が求められる反面、あまり注目されないところでもあり画家が手抜きをしやすいところだから、とのこと。著者自身、画家であるため説得力がある。
ニューヨークを舞台としているが、ニューヨークに行ったことがなくても全く差し支えない。本書で取り上げられている作品は必ずしも有名なものばかりではなく、メトロポリタンとMoMAを訪問したことがある私にとっても「こんなのあったっけ?」というものが多かった。
本書の性質上、印刷が白黒であることが惜しまれる。カラーにしてほしかった。
素敵な本でした
この本を読んで、私は一気に千住博ファンになった。「美術案内」なんて、ちょっと構えてしまいそうな題がついているけど、とんでもない。千住氏が、絵を見てどんな風に感じるのか、どんな風に描こうとしているのか。絵へのあこがれや愛がたっぷり溢れてる。そして、実際に千住氏をナビゲーターに美術館めぐりをした野地氏の文もいい。私も美術館に行って、おんなじように試してみよう、楽しんでみようという気にさせられる。でも、私の場合、千住氏の感性豊かな文章にやられてしまい、美術館に行きたいという以上に、「千住氏の描いた絵を見てみたい」と思ったのだけど。
MOMAに行ってみたくなる本
この本を読むと、美術鑑賞は難しいものでも何でもなく、
作品を通して画家と対話することなのだと思いました。
ただし現代美術と対峙する場合、こちらの側に予備知識があったほうが良い。
作品を見ただけでは、どんな印象を持てばよいかわからないくらい難解な作品も多いからです。
画家が他にどんな作品をつくっているのか。
他のどんな画家から影響を受けているのか。
あるいは、もっと大きな現代美術の流れなど。
事前にある程度、勉強しておくことが必要だと思いました。
そんなところまで気付かされました。
難しい事抜きで楽しく一読
NYに行く折にはぜひ行ってほしいメトロポリタンミュージアムとMOMAを中心に著されています。メトロポリタンはゴッホやルノアールなどおなじみの作品たちで、千住氏の画家としてのコメントが楽しめます。MOMAは私は見てみて難解で、楽しもうと思っても楽しめない物もあり、メッセージさえ受け取れず途方にくれる作品もありました。千住氏の説明で、彼の鑑賞のし方が提言されています。ぜひ、実際に見ながら楽しんでほしい一冊です。美術初心者も楽しめました。
ニューヨークを散歩
ニューヨークを自由に散歩したかのような、とても幸福な気分になれる一冊だ。ゴッホ、ルノアールからジャコメッティ、ジャクソン・ポロック、アンディ・ウォーホルに触れながら千住博の体験を味わうことが出来る。
千住と同じく著者の野地秩嘉が冒頭に述べている。「今の時代、贅沢とはモノを持つことではない」。そう、とらわれず気持ちを自由にして作品に何度も何度も接すること。そう、手漕ぎボートをこぐように。そしていつか発見するのだ、自分だけの至福を喜びを。
金融、証券会社の連中がなぜ時代の前を切り拓いて進む現代美術を求めるか。「いつも自分は最先端を行くんだ」その気概。この著作を読み終わると、自分も一歩前進したかのような気持ちになれる。
今度はフリックコレクションでもいってみようか?
”美術館で愛を語る”という本がちょっと前に出版されていましたが、self promotionとステレオタイプな描写がないだけ、素直に読むことができました。ただディテールをこの作品に期待することはお門違いのようです。むしろ千住氏の芸術への考え方がいくつかのニューヨークの美術館の限られた作品を題材として語られている本です。バーダー・マインホフを題材とした”1977年10月18日”についての、千住氏なりの抑制された解釈はその一例です。相変わらず”ショックとセンセーション”そして”to be seen”が重要なモチーフをなすニューヨークのアートシーンの性格については、また野地氏が”サメとヘッジ・ファンド”以下のの部分でさりげなくも根本的な疑問を呈しています。しかし難解な専門知識が必要な現代美術っていったい何なんでしょうね?
