日本の美意識 (光文社新書)

  • [著]宮元 健次

カテゴリ:
新書 (230頁)
ISBN:
4334034454
発売元:
光文社 (2008/03)
価格:
¥ 819 (税込)
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202,261 位
評価: 2.5
2008
05/10
Sat

日本人の感性の源までさかのぼるロマンチックなエッセイ

100.0% (2 / 2)
[No.4] posted by まーい

日本人は世界の中でも独特の感性を持っているのでしょうか。鎖国が解かれたとたん浮世絵が海外の美術に絶大な影響を与えました。禅や柔道や空手がもてはやされ、「クールジャパン」と言われるように日本のサブカルチャーが全世界に今も影響を与えているようです。

これらはいずれも海外で受けるなど思ってもみなかったものばかり。つまり、日本人の感性・美意識に根ざしたものがそのまま海外で評価されているということと思います。


この本は歴史書ではなく、著者の方の思いをつづったエッセイだと思います。「優美」から始まり、「幽玄」「侘び」「さび」そして「カワイイ」まで脈々と受け継がれてきた日本人独特の美意識と、それが海外で受け入れられた土壌について、わかりやすい論理で話を展開していると思います。なまじ私に歴史の知識がないだけに純粋にこの本を楽しめたのかなと思います。

2008
04/29
Tue

売るに値しない

87.5% (7 / 8)
[No.3] posted by 見附ランジェリー

文化史や古代史の諸々起源が論争され続ける中で、どうして建築家である著者がこれまでに断定口調でグイグイ論を引っ張っていけるのか、不安を覚えながら読みました。
研究者であったなら様々な比較検討を行う確固たる視座が見られますが、この著作からはそのような姿勢は微塵も感じられません。
高校入試のために歴史を勉強した人なら誰でも分るようなことについても、其処彼処に事実誤認が見られます。酷い。
結論、買うに値しないし、出版されてはいけなかった悪書です。図書館で借りて良かったw
ただ日本人の美的観念について「妄想」を繰り広げたい方でであれば、様々な材料を雑然と提示してくれているので、何か知らなかった伝承とか学説とかがあればそれを手掛かりにすれば良いのではないでしょか。
しかしそういう読書の仕方って、結局は偏見を頑迷に持ち続ける人間しか作られないかもしれません。
やっぱり、新書を発行する出版社の良識が問われかねない悪書、でしかありません。

2008
03/28
Fri

誤植ではない間違いが多い

85.7% (12 / 14)
[No.2] posted by raccoon dog

 読み始めて、論拠が十分とは思えないのに、結論めいたことを言い切る態度に不安を抱く。次に、誤植ではない間違いがいくつも。たとえば、19ページ、「西行以前も、吉田兼好…」とあるが、西行が12世紀に没しているのに、14世紀に没した兼好を「西行以前」とは?短歌の三十一文字(実際には、音)を「韻を踏む」(正しくは、漢詩などで、句末の韻をそろえること)と述べる、64ページには、「和歌には『季語』と呼ばれる四季を表す言葉を必ず用いなければならない」など、と高校生程度の知識に関して、このような誤りがすぐに上げられる。和歌が、本著のテーマ、日本人の美意識を考察する上で、見落とせない資料になるというのに、どうやら筆者は『万葉集』、『古今和歌集』など、よく知られた和歌集も読んでいないようだ。しっかりした考察もなしに「日本人の美意識」は…と言われても、信用できません。
 このような著作を世に出してしまった編集担当者にも責任があるのでは。代金を返して欲しいくらいです。

2008
03/16
Sun

旅の持つ意味

57.1% (4 / 7)
[No.1] posted by recluse

これだけの大きなテーマです。どんな論理が展開されるのでしょう。西行がまず取り上げられます。そして西行を追う形で旅を続けた芭蕉が次に取り上げられます。日本の基層に位置する神道とその後に移入された仏教との独特の結びつきである神仏混合が取り上げられます。そして日本の自然観と未完の美ともいうべき日本の本質がここでは提示されます。ここまでは何とかついていけます。ブルーノ・タウトの桂離宮についての評価も、ここでは、あくまでもその文脈の中で取り上げられています。本書の圧巻は、第4章の「きれい」の部分です。ここでは、桂離宮の隠された秘密が取り上げられます。遠州と西欧文化の関係を桂離宮のディテールに探る作業が、遠近法、ヴィスタ、黄金比などの西欧伝来の道具を通して、徹底的に進められます。ここは建築家でもある著者の面目躍如の部分です。通説への論駁を通して浮かび上がるのは、桂離宮と寛永文化サロンの世界性です。驚くべきことに、この背後には、江戸時代における八条宮家とキリシタンとの密接な関わりが存在したというわけです。この解釈は決して歴史上のひとつのエピソードではなく、深い現代性を持つ興味深いものですが、その意味合いがさらに突き詰められることはありません。終章は、john grayの作品とも共通する西欧のキリスト教とその背後の自然観の時代的なミスマッチさが展開されます。ただこの部分は、結論めいたものを提示しこの作品を締めくくらなければいけないという動機でしょうか、キティ人形などのステレオタイプに流れてしまったようです。


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