顔のない敵 (カッパ・ノベルス)

  • [著]石持 浅海

カテゴリ:
新書 (287頁)
ISBN:
4334076394
発売元:
光文社 (2006/08/22)
価格:
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評価: 4.0
2008
11/14
Fri

《対人地雷本格ミステリ》シリーズ

[No.2] posted by カナン

◆「顔のない敵」

  カンボジアのとある村。

  地元選出の国会議員の息子が、地雷によって爆死した。
  彼の死体は、頭部が半分吹き飛び、右腕も手首から先がほぼ消失していた。

  現場には、彼を慕う、過去に地雷で右足を失った
  少年の悲しみに沈む姿だけがあった――。


  タイトルの「顔のない敵」とは地雷のこと。

  地雷被害者は、無機物によって傷を負わされるため、復讐すべき
  相手すら明確ではない、という含意が込められています。


  タイトルと現場の状況から《顔のない屍体》パターンを連想しますが、さにあらず。

  見事な《見えない人》のアレンジになっています。

  その他にも、被害者の地雷に対する逆転の発想もあり、
  全篇にチェスタトン風の逆説が横溢しています。

2007
07/17
Tue

地雷に関わる人間の周囲で起こる事件

[No.1] posted by bookrack

 殺人の凶器としての地雷が利用される物語、表題作『顔のない敵』などの
作品は、もちろん悪くは無いと思ったが、やはり残酷過ぎる気がして、
私にはどちらかというと、『銃声でなく、音楽を』などの
地雷に関わる人間の周囲で事件が起こるという作品の方が、興味深く感じられた。
 特に、地雷の恐怖、地雷除去NGOの苦労というすぐ思い至る面だけでなく、
人間関係や資金繰りなどのボランティアや開発途上国の醜い現実などにも
スポットを当てた作品になっている点が、真実味や怖さ、命の重さを
改めて感じさせられたし、心に残った。

 また、処女作は地震で停まってしまったエレベーター内という
すぐ犯人が判る中での犯罪に走る犯人の動機はいまひとつだが、
普通の日常で簡単に普通の人が殺人を犯すことが起こり得る怖さを
感じさせられ、なかなか面白く思えた。


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