- [著]石持 浅海
- カテゴリ:
- 文庫 (350頁)
- ISBN:
- 4334740456
- 発売元:
- 光文社 (2006/04/12)
- 価格:
- ¥ 620 (税込)
- 在庫状況:
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独創性はバッチリ!!
とても独創性のある設定で、
読み始めたらページをめくる手がやまなくなってしまった。
徹夜必至のミステリーである。
にもかかわらず読後の空虚感は否めなかった。
また動機にしても少しこじつけすぎかなぁとは思ったが、
おそらくこういうこともありうるのだろう。
あとひとひねりが欲しかったけれども、
全体のリズム感はとても良かった。
新興宗教的な話で個人的には好きではなかった
飛行機の乗客で、事件に巻き込まれた座間味くんが印象的だった。死体を発見した女性の恋人で単なる一般人に過ぎない彼が、犯人グループから死体の謎を解くように要求され、次々と推理を展開していく。その推理によってハイジャック犯を動揺させる作戦、それに気付きながらも調査を続けさせる犯人、そのやりとりがとてもおもしろかった。ただ、ハイジャック犯の動機が傑出したカリスマによる再生の世界への誘導というファンタジックなところが、新興宗教的な話のようで個人的には好きではなかった。
稚気、愛すべし
〜ハイジャックされた旅客機のトイレで起きた密室殺人〜
本作には、さまざまな意匠が施されていますが、
あくまで、このハウダニットが核です。
本格ミステリの稚気を解さない「大人の」読者は、ハイジャック犯が
緊迫した状況下にあるにも関わらず、探偵役に抜擢した乗客とまったり
密室殺人の議論をすることに違和感を覚えたり、いかにもとって付けたような
カリスマ教育者の類型的な人物像にリアリティを感じないのかもしれません。
しかし、それらは本質的な問題ではないのです。
(カリスマ教育者の造形の浅さは、批評性を付与する
ため、半ば確信犯であった可能性もあります。)
ある種のカルト的価値観を持つハイジャック犯とその関係者が、
旅客機という閉鎖空間に集まったことで招来された状況や事件を
あくまで論理的に推理し、細部まで議論しているところに、
本作の美点があるといえます。
そして、犯人が特異な価値観の持ち主だということを理解すれば、
ラストに至る流れも、ある程度、予想の及ぶ範囲のものであり、
密室殺人以外のホワイダニットは興味の中心とは言い難いのです。
ともあれ、処女作と同様、本作においても野心的に(クローズド・サークル)
の新機軸を打ち出してくる著者の姿勢には、頭が下がります。
これからも、美しいロジックを展開して欲しいです。
扉の向うを、知りたかったなぁ
うん♪
これはおもしろかった。
宗教ではないのだが、
社会的に適応できない子どもたちを引き受け、
キャンプに行き、
彼らを回復させて、社会にもどす。
“師匠”と呼ばれる、
圧倒的なカリスマ性を持った男。
その男が、皆既月食の夜、
月の扉を開くと言う。
その月の扉の向うに行けば、
生きながらに別の世界へ行けるという。
ユートピアへ。
信じるものだけが行ける世界。
しかし、その約束の日を前に、
師匠は略取誘拐の容疑で逮捕されてしまう。
約束の日を迎えるために、
師匠奪還のために、
師匠を慕う者たちは、
ハイジャックを試みる・・・。
宗教チックな説得力が、
ちょっと卑怯かな、と思いつつ、
そのおかげで、最後まで興味を引っ張られた。
登場人物たちも魅力的で、
犯人とは思えない。
目的が、人を傷つけるのではないことが、
なんとなく同情心を生む。
二重、三重の、アクシデントも、
その解決への展開も、
なかなか秀逸。
そして、
エンディングも、とっても悲しくて、
なんだか、やられました。
惜しむらくは、
物語の重要なファクターである、
月の扉の向うの世界については、
作者が逃げたな、
と言うのが、僕の感想。
そこまでいけてたら、
まちがいなく、★5つだったなぁ。
一般向けではないのかも
良くも悪くも、今日の「本格ミステリ」のありようを示す作品として、それなりに楽しく読んだので、他の方の評価が低いことに驚いた。
『生ける屍の死』(山口雅也)は、ありえない状況下での、ありえない事件を描いて、日本のミステリの新たな可能性を開拓した。
猫丸先輩シリーズ(倉知淳)は、素性のよくわからない素人探偵が“推論”を語るだけでも、ミステリ的興趣が生まれることを示した。
となれば、ありえない前提を踏まえた、ありえない状況下で、素性のよくわからない素人が推論を組み立てるだけでも、ミステリは成立し得ることを目指した“野心作”が、あっても良いことになる。
そうした意味づけで本作を読んだので、それなりの成功を収めていると思えた。
事件の関係者はあらかじめ限定されているのだから、フーダニットやハウダニットではなくホワイダニットが主眼であるのは明らか。
しかし、本来ありえない事柄が前提なのだから、本来ありえない動機が成立してしまう。
なるほど、と思える展開である。
本作がランキング本で高い評価を得たのは、ミステリを読みなれた者にとっては、こうした小説の存在が許せてしまうからであろう。
そういう意味では、一般向けではないのかもしれない。
これはツラい・・・。
非現実的な設定と、非現実的な人物像、
到底、交わされないだろう会話の中身、
あまりにもご都合主義的な展開。
「このミス」の信頼性を揺るがす1冊、とも感じています。
こりゃないでしょう。。。
「このミス」受賞作は「扉は閉ざされたまま」なんですよね、これではなくて。。。そちらをまだ読んでないですが・・・
「月の扉」は・・・
ありえない状況設定すぎて、感情移入もできませんでした^^;
設定もそうですが、内容も薄くて。。。
二時間ドラマ的としか言いようがないかなw
これはファンタジーではないのか
ミステリーと言うよりもファンタジーに思える作品だった。状況設定よりも、そこからの解明の過程が素晴らしい。狂言回しが本当によく効いている。人間はみんな自分勝手な生き物なのだと感心してしまう。生かすことよりも生かすことを止めることで目的の実現を図るなんてばかばかしいことだ。
独創的な設定
沖縄の空港で3人の男女が、乳幼児を人質に取ってハイジャックを起した。犯人の要求は、拘留中の師匠を空港に連れてくること。しかしその飛行機の中で死体が発見された。
密閉された空間ものは、よくありますが、これだけ独創的な設定は、なかなかありませんし、ファンタジーの要素も詰め込まれています(が、人によっては、この部分が受け入れられないかも)
ハイジャックの手法も、にわか探偵の理路整然たる推理も見事です。ただ出来過ぎなのが、玉に瑕。
非現実的、説得力が弱い
ハイジャックされた機内で殺人事件が起こるという、今までに読んだことの
ない作品だった。ハイジャックの目的は達成されるのか?そして殺人事件の
犯人は?読み手を飽きさせることなくラストまで引っぱっていく。
ハイジャックの鮮やかな手際のよさや、殺人事件を推理する座間味くんのキャラ
クターが面白かった。ただ、師匠がカリスマ的存在であるということの説得力が
弱いのではないかと思った。3人がハイジャックという大きな事件を起こしてまで
師匠を連れ出そうとする目的も、非現実的過ぎないだろうか?結末も、途中の盛り
上がりに比べたらちょっと物足りなかった。
