- [著]久保寺 健彦
- カテゴリ:
- 単行本 (332頁)
- ISBN:
- 4344014154
- 発売元:
- 幻冬舎 (2007/11)
- 価格:
- ¥ 1,575 (税込)
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青春の苦味
生まれ育った団地の敷地内から出られなくなり、そこで
青春時代を過ごすことになる男の子の物語。この変わった
設定が、この本を手に取るキッカケでした。
もしかして巷に溢れるような、世間を斜め四十五度から
見つめた勘違いブンガク系オタクの身勝手な独り語りかと
思っていたのですが、いい意味で予想を裏切られました。
しっかり物語っている、実に小説らしい小説です。
閉じた世界の中にこもり、開いた世界へと次々と旅立って
いく同級生を見つめる主人公の眼差しはドライでありつつ、
実に切ない。
ひたむきで、だけどどこか屈折した彼の生き様が、同じよう
に団地で育った者として、また、閉じた世界から抜けられな
い者として、心にビシバシと響きました。
未来の希望を感じさせるラストに、自分もまた救われた
ような気分です。余韻の残る小説に久しぶりに巡りあえて
なんとなく得した気分です。
そういえば、最近、気が付くと手に取っている本は
ほとんどが幻冬舎の本ばかり・・・・。
幻冬舎、いい感じですw
閉ざされた空間における物語り造りが絶妙
団地の中だけで生きていくという荒唐無稽な話に、現代社会が抱える問題を見事にシンクロさせた良作。
団地の変貌を通して、日本社会の衰退までが見えてくる。
著者のブラックジャックキッドを読んでいたので、かぶる部分が多く、この評価になりました。
世界を変えるのは誰だ?
生きづらい社会に直面したとき、、、
男は自らの世界を変えようとする。
女は自らの体を変えようとする。
ゆえに、
男は自分だけの世界にひきこもり(直面している社会は簡単に変えようがないので)、
女は自分の体を変えるためにダイエット、過食、拒食、自傷、整形に走る。
主人公はある事件をきっかけに、
自分の世界を「団地内」に構築する。とても興味深い設定だ。
単なるひきこもりではなく、団地にひきこもるという設定。
自分の世界を変えた主人公はどこまで生きられるのか?
壮大な実験だ。
結末は読んでのお楽しみだが、
今の社会に生きづらさ、息苦しさを感じる人は一読してほしいと思う。
団地の街で
東西南北を歩道と道路と線路で区切られたとある団地。
そこまでマンモスではなく,あまり小さな規模ではない団地です。
そこには保育園,酒屋,ケーキ屋,中華料理屋などと図書室などを備えたコミュニティセンターがあります。
その近くの小学校で100人を超える団地の子が同級生として卒業しました。
物語はその春,中学進学の時から始まります。
小学校無遅刻無欠席だった渡会悟は,中学校には通わないで団地の中で過ごすことを宣言します。
団地の外の社会への窓口は小学校時代の友人達と母親のみで成長すること。
少し聞いただけではとても「ゆがんだ」生活になりそうですが,あにはからんや,悟君は自分で体を鍛え,自分で就職先を探し,すくすくと育っていきます。
そのありえないまでの普通の(普通よりもかなり明るめの)青春ぶりに,小説を読んでいるのではなくルポを読んでいるかのような錯覚を覚えます。
そして,明かされる様々な出来事,着実に流れ行く時間。
団地がノスタルジックな存在として一部で注目を集める現在,時間を物語に組み込むには最高の舞台でした。
心的外傷性抑圧下の二十年の生活記
不吉なタイトルだと思ったが,内容も暗いものだった.5階建て19棟の小さい団地の外に心的外傷性抑圧のために出ることが出来ないまま,主人公は30歳まで過ごし,出るときはショルダーバッグ一つで駅に向かう.どこに行くのか,どうやって生きてゆくのか, 'おれ' は何も語らない.しかし,出てゆく社会から見れば,'おれ' は日本語しか話せない,社会的経験のない外国人も同様な存在に過ぎない.この重い事実を前にして,私は耐えられない苦痛を感じる.作者はこの点を敢て空白にしたのだろうが,私には無責任に思える.タイトル通りに,'おれ' は死ぬ気なのではなかろうか,と心配である.これは始めから終りまでサスペンスに満ちた不可解な物語で,再び読む気にはなるまい.
団地は縮図
田舎ものなので、団地がこんなに何でも揃った場所だったなんて知らなくて、正直驚きました。
一見、団地内で生きるのって、先生や友人たちが言うように、ものすごい狭い世の中で生きているように思えるのですが、世の中をぎゅっと凝縮させたような団地を網羅し尽くせば、いろんなものに手をだすよりも、逆に得るものがあるのかもしれないなってすら思えてきました。邪道だとしても…。ここで生きれたら、きっとどこへ行っても大丈夫ですねー。
素晴らしい才能。
必読です。この作家の次回作にも期待したい。
キーワード(ネタバレ注意)
小学校時代のトラウマ、公団、友人、鍛える、パトロール、ケーキ職人、母子家庭、初恋、婚約、破談、ブラジル人母子、サッカー、魑魅魍魎との対決、立ち向かう、旅立ち
ある種の成長物語
小学校卒業以来自分の住む団地から出られなくなり
団地内で生活して行こうと決めた少年の話。
文章構成は『ブラックジャック・キッド』に似てましたね。
過去から現在までを順を追って話していくという感じ。
最初は主人公・悟に共感できなかったな。
何故、団地内で一生生きていくと決めたのか。
担任の教師が言うように
狭い世界の中で生きていくことは
いろんな意味で大変なのではないかと。
でも、悟が団地から出られなくなった理由を知ると
さもありなん、と。
団地という狭い世界ながら
悟はしっかりと自分の居場所を見極め、
ちゃんと働き、手に技術を持ち、
婚約まで済ませ、
それなりに生活できている。
まぁ、その辺は面白く読めました。
後半からは一転して悟の悩みもクローズアップされ
暗い話も出てきますが、
全体的には良作だったと思います。
最後にやっぱり母の愛は偉大だな、と感じた次第です。
人の縁の儚さ
ある事件をきっかけに団地から出れなくなり、それに伴い、小学校の思い出、友人だけを
頼りにする主人公の話。かなり特異なシチュエーションですが、著者の読みやすい文面、
このような境遇にありながら、どこかとぼけた主人公のキャラが活きて、悲しい話なのに
悲壮感は漂いません。
それにしても、この本を読んで、小学校・中学校時代の友人とはほぼ没交渉となっている
自分にきづかされ、改めて驚きました。人の縁は儚いなあと。。。
非常に興味深いテーマで、お勧めですが、最後があっけ無さ過ぎる気が。贅沢でしょうか?
興味深い。。。
ラジオで紹介されていたのを聞き、早速購入しました。
展開の運び方に特徴があり、最終章での突然の展開は
爽快感すら感じさせるものでした。
主人公の行動を黙認する親に多少の違和感を感じもしましたが
「時代が変わったんだなぁ」などと思いつつ。
しかし”親心”とは、いつの時代にも通じるものがあり、
「もし、自分の時代にこんな事が許されたのなら・・・」と
主人公の行動と自分を照らし合わせ、どこかセンチメンタルな
気分に浸ってしまい読み終えてから号泣してしまいました。
