- [著]乙一
- カテゴリ:
- 文庫 (262頁)
- ISBN:
- 4344402146
- 発売元:
- 幻冬舎 (2002/04)
- 定価:
¥ 520 (税込)- 在庫状況:
- 在庫なし
ユーズド商品:¥ 161 より
静かでゆっくりとした緊張感がいい。
人と上手に接することができない不器用さや、人に傷つけられることの恐怖、そこから逃れるための孤独、
そしてその痛みを知る人間だからこそ分かる優しい思い遣り。
それらをこの奇妙な設定でうまく表現されている。
お互いの恐怖から相手を想う感情へ少しずつ変化していく状況を微妙に繊細に絶妙なやりとりの心理描写が素晴らしい。
ミステリー性としては途中「おっ!」と小さい驚きがあって、あとはあっさりと終わってしまうが、それはそれでいい。
主要なのは二人の微妙な距離感で成り立っている関係なのだから。
ラストの言葉は、温かくて、優しくて、なんて心に響く言葉なんだろうと思う。
そっと、同じ不器用な人間が伝える、本当に優しくそっと背中を押すような言葉。
乙一は初めてだけど他の作品も読みたくなった。
スリル満点
転落事故の重要参考人であるアキヒロが、失明した女性の家に身を潜めるというシナリオがとてもおもしろかった。失明しているため誰かがいる確信がもてないミチルと、相手が失明していると分かっていてもいつバレるか気が気でないアキヒロのやりとりがスリルがあって特におもしろかった。また、転落事故の犯人も意外だったが、ミチルがその犯人を問い詰めるシーンは緊迫感があってとてもよかった。
乙一の代表作
光を失い一人ひっそりと暮らすミチルの家に、
殺人事件の容疑者であるアキヒロが逃げ込んでくる。
人付き合いが苦手で孤独に生きてきたアキヒロと、
盲目ゆえに自分の殻に閉じこもり社会との関わりを拒絶するミチル。
そんな二人が、暗闇の中互いの存在を意識し、確かめ合い、そして少しずつ心を開いていく。
乙一の訥訥とした語り口が、二人の不器用さや空気感を見事に描き出している。
ミチルと母の関係、ミチルと友人のカズエとの関係や、さらにはミステリ的要素も組み込んで
一個の物語を紡ぎ出す、乙一のストーリーテラーとしての実力に脱帽。
曇天の合間から射す陽光のような、晴れやかな読後感の良作である。
三部作
本書は『失はれる物語』のあとがきによると短編小説『CALLING YOU』、『幸せは子猫のかたち』に続く三部作だそうだ。 確かに三つの作品の主人公達は、不器用で他人と巧く関わることができず孤独な生き方をしている。 前述の二作品が、感動の余韻を残す実に素晴らしいものだったし、映画化もされた作品だし、大いに期待して読み始めたのだが…。 前半は、なんだかダラダラと間延びした感じ。エンディングは、さらっとし過ぎていてあっけない。 やっぱり乙一は短編に限るのだろうか??
乙一作品にはまりそう・・・
この作品が、「切なさの達人」と評される乙一、挑戦第一作目。
周りに聞くと、「奥が深すぎて怖い作品が多い」ようなことを聞いていてなかなか手が出ませんでしたが、イザ読んでみたら・・・。まさしく深くてミステリアスで切なかった。
何故、「彼」は主人公の家に入り込んだか?何故、居間にばかり隠れるのか?その他、本当に細かいところに物語の伏線が散りばめられていています。後半からは、なんだか悲しいラストを想像して進まなかったはずの、ページをめくる手が、今度は止まらなくなりました。
気がついたら・・・。寝るのを忘れていました。(笑)
皆さんも、号泣と感動で、徹夜してみませんか? お勧めです!!
サスペンステイストで仕上げた心温まる人間ドラマ
とある殺人事件をきっかけに、盲目の女性の家に逃げ込んだ容疑者の男。
状況だけを挙げても十分にサスペンスタッチな作品ではあるが、それだけではなく、
方や盲目、方や職場の人間関係から自分の世界に引きこもらざるを得ず、寂しい思いをしている2人が外の世界へと踏み出そうとするまでを描いた作品で、
読み終わった後は心温まる気分だった。
とはいえ、サスペンスとしても仕掛けが施されており、
ミステリーとしても十分に楽しめる仕上がりとなっている傑作だと思う。
奥が深い・・・
人との交流を避けて生きようとする、盲目の少女と殺人犯(?)の男。
でもやっぱり、ひとりでは生きていけないことに気づく。
読後、自分は自分らしくていいと肯定されたようでした。
乙一の作品はいつも、「人生はとるにたるものだ」と思わせてくれます。ミステリーだけど、癒されますね。
誰にでも大丈夫
☆4・5
殺人事件の犯人として追われるアキヒロが、視力をなくしたミチルの家に逃げ込み、奇妙な同棲生活始めるというあらすじを見たときは、どんなものかなと思いましたが、よかったです。
ミチルもアキヒロも人付き合いが苦手な方で、一人でいるのが苦にならない、というか、どちらかといえば一人の方が好きという人間です。
そういう二人が、一方は存在を相手に悟られないように暮らし、一方はその存在を知りながら知らない顔をして暮らす。
その不思議な感覚が、読んでいて実感できました。
ミチルとアキヒロだけでなく、殺人事件の本当の犯人の思いもわかって、切ない中にも暖かみのある物語でした。
この前に読んだ「ZOO」は、いろいろな雰囲気の話が載っていて、中にはどうにも悲惨でやりきれないものもあったけれど、これは誰にでもお勧めできる小説です。
待ち時間に読破!
この手の小説(ミステリー系)は初めてだったので少し抵抗がありましたが、どんどん引き込まれて、一気に読んでしまいました。
今までこういうジャンルを読んだことのない人にもとっつきやすいのではないかと思います。
出来栄えはよろしい
この本との出会いは、昨年暮にコンビニで、ふと最初の5ページ程目を通して、購入した。
この著者は初めてなので、やや躊躇はしたものの前々から著者に興味が在った。
実力(ユニーク面等)はなかなかだと思うが、中間点付近で失速する感が否めない。
私は、或る付近で作者の実力を見るのだが、やや粗削りの部分が著者にはあると思える。
最初の勢いが急に無くなる。
私が思うに、作者の度量が試されると考えている箇所は、物語で中間点付近とおいている。
しかしながら、ストーリー性やアイディア性に及第点はやれると考え、星四つとした。
