- [著]サトウ ナンキ
- [著]きづき あきら
- カテゴリ:
- コミック
- ISBN:
- 4344813413
- 発売元:
- 幻冬舎コミックス (2008/06/24)
- 価格:
- ¥ 620 (税込)
- 在庫状況:
- 通常24時間以内に発送
ユーズド商品:¥ 378 より
救いようがないから、仏に祈る
とてもイヤな読後感を常に残し続けてくれるきづきあきらさん、サトウナンキさんのお寺もの。
主要な登場人物全員が、「救いがたい衆生」である。寺社を手に入れるため近づく慈恩はわかりやすい悪役だが、彼には彼なりの寺社経営の理念がある。一円はめぐりを寺の道具に使いたくないという潔癖さがあるが、それは裏返すと青臭さの証明ともなり、寺の運営において慈恩に数歩も遅れ、実のところ、めぐりを守りたいのか自分の自尊心を守りたいのか判然としなくなり、結局自身の殻に閉じこもっているだけではないか、と読者に思わせる。恵春はイーブンの立場を保っていたが、この巻でついに牙をむき出し、めぐりへの恋心と信玄への信奉と自身の出世欲から……ああ、ついにあんなことを(にしても非道いね、彼^^;)
他の人にしても、お母さんも、その友達の坂東さんも、黒柳さんも、一円の彼女の岬さんも、それぞれがそれぞれの事情を抱え、仏の教えやいずこかに、とばかりの行動に出る。
それはしかし、主人公であるめぐりも同じなのだ。彼女も利己的に、信玄の面影を追い、信玄の分身である寺にい続けようとする。寺に残るためならば、相手が誰であろうと、周囲が認めれば一緒になって構わない。これは相手の人格を最初から否定する態度である。無垢ゆえの剥き出しのエゴがある。恵春が咎めるのも、実はわからない話でもないのである。
それぞれが、それぞれの思いと事情を抱えて行動しているのが本作である。そこには善悪もない。救いがたい衆生が、お互いを思いながらも喰みあっている餓鬼の様相だ。
「まんまんちゃん、あん」というのは仏様そのものを指す言葉ではない。「あん」がつくのだから、仏様に祈りを捧げる言葉だ。神仏はいないが、神仏に祈るということがどういうことなのか、それをこれから描いていく物語であるのは確かだと思う。
こっからは予想ですけど、信玄はどういう人物でしょうね。作中、唯一神様仏様のような人物として描かれている彼、主題からしても、作者的にも、どんでん返しがありそうですが。彼が本当に神様みたいな人だったら嘘話になってしまうし。
慈恩がパスを解いて見たPCの中身をはやく知りたいものです。
黒い寺
登場人物の中で唯一、一途に寺のことを好きでいる、ヒロインのめぐり。
その他は、坊さんも寺の関係者も、みんな自分のことばかり。
そんなだから、お寺の後継者争いはますますヒートアップ。
どんどん汚れていくこの寺に、まんまんちゃんがいるようには思えない。
とまぁ、この『寺黒い』物語に、すっかり魅せられています。
他はどうでもいいとして、めぐりには幸せになってほしい、そんな漫画。
寺にはいない神様も、めぐりの傍にはいるんじゃないかなぁ。
