- [著]手嶋 龍一
- [著]佐藤 優
- カテゴリ:
- 新書 (230頁)
- ISBN:
- 4344980115
- 発売元:
- 幻冬舎 (2006/11)
- 価格:
- ¥ 777 (税込)
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昨今のインテリジェンス・ブームの火付け役
本書の最大の意義は、「インテリジェンス」という言葉に市民権を付与したことにある。読者は両氏の洒脱な対談を通して、インテリジェンスの基礎知識をつけることができる。両氏がそれぞれの仕事を通じて体験したエピソードも面白いものが少なくなく、読み物としてもなかなか楽しめる本だ。
ただ、外交や安全保障をそれなりに学んだ人間にとってはやはり物足りない。気になるのは両氏がインテリジェンス活動のうちのヒューミントのみにフォーカスしがちであり、しかも誰もが知らない情報を入手することをもってインテリジェンスの成功と考えているきらいがある点だ(少なくとも、そう読める箇所が少なくない)。無論、ヒューミントは重要なのだが、公刊情報、電波、衛星画像といった他のソースと比べてしまうと、補完的な役回りにとどまると言わざるを得ないのではないか。より致命的な点は、両氏とも電波・衛星画像という現代のインテリジェンスの核心にあたる情報源に接する権限を有してこなかった点だ。佐藤氏も自ら認めているように、彼は真のインテリジェンス・オフィサーではないのである。本書はこの点を踏まえて読まれるべきだと思う。
腹が割れません
最近話題の書き手二人の対談であるが、お互い腹を割って話していないのが行間から感じ取れてややフラストレーションのたまる一冊である。けど、インテリジェンス・オフィサーの会話ってだいたいこんな感じなんだろうな。
個人的には(『ウルトラ・ダラー』読んだけど)手嶋氏はかっこつけすぎているように思うのであまり勧めないが、二人に興味がある方は単著から入った方がよろしい。
インテリジェンスの実情が解る
インテリジェンスというと、ゴルゴ13で活躍するSIS、KGB、CIA、そしてモサドなどの
エージェントが跳梁跋扈し、盗聴、暗殺、政府転覆などの非合法活動をするイメージを
漠然と持っていた。ポロリウムによるリトルネンコ氏の暗殺など、そのような活動は
現在もあるだろうが、実際のインテリジェンスの現場は、情報収集と考察の積み重ねに
基づくものであることが本書を読むと明らかになる。
「秘密情報の98%とは公開情報を整理することで得られる」、というコメントは、一見、
インテリジェンスという華やかなイメージと相反するようにも聞こえるが、費用対効果、
効率性の点から考えれば当然のことであり、プロの凄みを感じさせるものである。
面白いけど気になる点が、、、
内容はとても面白いです。目から鱗が落ちるようなモノの見方・考え方や情報が随所に見られます。
ただ、手嶋氏が佐藤氏のことを終始("外務省の"という枕詞すら付けずに)「ラスプーチン」と呼び続けていることに違和感を覚えました。
佐藤氏が「"外務省の"ラスプーチン」と呼ばれていたというエピソードは一度紹介すれば十分なはずであり、「佐藤優」という立派なお名前を持つ佐藤氏に対して大変失礼ではないかと感じました。
また、実在したラスプーチンのことを指しているのか佐藤氏のことを指しているのかをいちいち文脈から判断しなければならないというのは非常に鬱陶しかったです。もしかすると、佐藤氏がそう呼ばれることを心底快く思っており、手嶋氏もお世辞のつもりで敢えてそう呼び続けたのかもしれませんが、もしそうだとしても読者の便宜を考慮すれば編集の段階で適切に表記を改めるべきであったのではないかと思います。
インテリジェンスを語れること自体の情報量と分析力にまず驚嘆
インテリジェンスとは何かを考える入門書として役立つ。インテリジェンスにまつわる佐藤・手嶋の対話を読んで、両雄の蔵する情報量と隠された人脈の広がりに驚嘆した。インテリジェンス弱国・日本という評価に不安がよぎる。インテリジェンス・オフィサーの育成方法まで提言している点、両者のインテリジェンスに対する姿勢と信念がよくわかる。興味深い発言を拾ってみる:まさに全てが地下水脈でつながっている/自発的かつ積極的に動くインテリジェンス・オフィサーは、カウンター・インテリジェンスの世界では潜在的な「スパイ」と見なされてしまう/対外インテリジェンスに関して、今の日本はほとんど体をなしていないような状況/東京には良質なインテリジェンスが世界から集まり、堆積している/後知恵で事実と異なるストーリーを作ってはいけない。:この本から情報を判断する上で、宗教という視座の重要性を改めて認識させられた。
インテリジェンスとは
インテリジェンス分野における超一流の知性二人の対談。いろいろなことを学べた気がする。
一番心に残ったのは「秘密情報の98%は公開情報を整理することによって得られる」という言葉。確か10年位前に読んだ落合信彦の本にも似たようなことが書いてあった気がする。分野は違うが株式投資の世界でも自分が常々思っていること。今の時代意志があれば情報(インフォメーション)自体は特別なアクセスがなくてもかなり手に入れることはできると思う。重要なことは分析によって有益なインテリジェンスとすることができるかどうかどうか。同じ場所にいても見えてる風景は人によって変わってくるはず。
その他にも「インテリジェンス能力は当該国家の国力から大きく乖離しない」等、うーんと唸らせる言葉が随所にあった。
インテリジェンスの入門書
インテリジェンスとは知性や知恵と言ったことしか意味しないと思っていたが、本書が言うところのインテリジェンスは国家情報機関が扱うような情報を意味する。情報分析能力などの意味も加味されているので、単なる情報を意味するインフォメーションとは違う。
このインテリジェンスの本質や現実を知る上での入門書として、本書はうってつけであると思う。
佐藤氏は、希代のインテリジェント・オフィサーか、それとも単なる誇大妄想狂か?
9/11のテロの際、連日NHKのニュースに登場していた手嶋ワシントン支局長と、外務省のラスプーチンと言われる佐藤氏との対談である。
正直、エピソード的にはおもしろい本であるが、体系的に何かをつかもうとしても無理であろう。また、ともに相手をインテリジェント・オフィサーと持ち上げているが、こんなに露出が激しくて、おしゃべりが抑制的でなくて、今後の仕事の妨げにならないのかとまじめに心配になるところである。
ということで、ちょっと眉唾な気分を持ち、二人とも狸だよなぁと独り言を言いながら読むぐらいがちょうどよかろう。
個人的には、トム・クランシーの「クレムリンの枢機卿」や「愛国者のゲーム」辺りのジャック・ライアンシリーズの方が国家の安全保障との関わりでインテリジェンスの神髄が印象づけられると思う。
なお、おもしろかった部分は、
・情報機関が、「自分をスパイにしてください」という人間を採用するわけない
・フセインがウランを入手したという情報は、イタリアの情報機関が入手したものだった
・オサマ・ビンラディンは、イスラム教のワッハーブ派で、チェチェンのテロリストとはつながっているが、フセイン政権とのつながりはないことはみんな知っていた
・北朝鮮との拉致交渉は、北朝鮮の外務省とでなく人民保安省とすべきであった
・日本の場合、「俺は実は知っていたんだ」というウソ話が多すぎる
・英国には、SIS、MI5など4つの情報機関を統轄するJIC・合同情報委員会があり、その評価スタッフが機能している
という辺りであろうか。
手嶋さんてエリートなのね
この手嶋龍一という人、NHK のアメリカ総局長をやっている時によくテレビで出て来ていました。良くいえば茫洋とした雰囲気、悪くいえばちょっとピントのはずれた顔立ちで、とてもエリートに見えずに、カミさんと二人で、「この人こう見えてもえらいんやろうねえ、天下のNHKアメリカ総局長やもんねえ」と話していたのです。やっぱり、すごく切れる人だったのね。その手嶋氏が、外務省内の抗争ではじき出された佐藤優氏と対談したのが本書だ。
手嶋氏って、NHK で出てる時から大時代的な表現をする人だなあと思ってました。本書でも、佐藤氏のことを最初から最後までラスプーチンと呼び続けるとか、大時代的なもの言いがちょっと鼻についた。
対談の両方ともインテリジェンスの専門家だし、本当に対談を記録したのでは読者には何のことか分からない話の連続になるから、説明的な話を補足してあるのだが、それが中途半端で、とって付けた印象と、食い足りない感じがあちこちに残ったのが頂けなかった。いっそ、本当に対談らしく仕上げて、分かりにくいところは、注(もちろん、そのページに注がないといけません)にした方が良かったと思う。
まあ、本書を入り口に、興味を持ったエピソードについて、本を探して読めば良いんでしょう。でもねえ、この手のインテリジェンス関係はどの本が本質をつかんでいるのか、なかなか分からないし、ちょっと大変。取り上げたエピソードについてはもう少し解説してくれても良かったんじゃあないかなあ。
入門書
対談本には期待していなかったのだが、結構面白く読めた。
たぶん、専門家的には物足りないのだろうが、一般人がこの世界を理解するうえでは
佳作だと思う(まあ日本には専門家自体いないか)。
