ヘルタースケルター (Feelコミックス)

  • [著]岡崎 京子

カテゴリ:
コミック (315頁)
ISBN:
4396762976
発売元:
祥伝社 (2003/04/08)
価格:
¥ 1,260 (税込)
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評価: 4.5

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「もとのままのもんは骨と目ん玉と髪と耳とアソコぐらいなもんでね あとは全部つくりもんなのさ」。大掛かりな全身の整形手術とメンテナンスにより、完璧な美しさを持つモデルの「りりこ」。女優や歌手としても活躍し人気の絶頂を迎えるが、体は次々に異常を訴え始める。それにつれてりりこの心の闇も濃く、深くなり、彼女の人生はやがて手もつけられなくなるほどに壊れてゆく。

りりこをスカウトして、美しく変貌させたモデル事務所の社長。ひどい仕打ちをされても、りりこから離れられないマネージャーとその恋人。生まれながらに美しいがゆえに、美に執着しない15歳の新人モデル。最後まで、りりこを美しく仕上げることに全力を注ぐメーク担当者。ある事件を追いかけるうちにりりこに出会い、シンパシーを感じ始める検事。りりこをとりまく人々も絶妙に配置され、この物語を重層的で刺激的なものにしている。

醜かった主人公が美しく生まれ変わり、成功をおさめる。たくさんの物語で描かれてきた、わかりやすくてドラマチックなその過程は、本書ではほんの少し触れられているにすぎない。はじめからりりこは美しく成功の真っ只中にいて、彼女の向う先は破滅でしかないという不穏な空気が、物語の最初から濃厚に漂う。その破滅の過程を、著者は、息苦しくなるほど丹念に描いていく。最終章で描かれる、りりこの決着のつけ方は壮絶であるが、そこに含まれる不思議な「明るさ」のようなものが、読者の心をとらえて放さない。(門倉紫麻)

2008
11/26
Wed

音楽が聞こえてくる

[No.56] posted by kick-me

この本を読むといつも Beatles の Helter skelter が爆音で聴こえてくる気がします。

美しき退廃。日本が世界に誇れる岡崎氏の最高傑作。

2008
09/04
Thu

絶対に名作!!作者は狂気を描く天才

[No.55] posted by 欲しいもの多すぎて困る

本当にこの作者は自然な狂気を描きますよね
自然だからこそいつ実際に起きてもおかしくないので怖いです
人より美しくありたい、自分の男を取られたくない、自分より若いやつは許せない〜
そんなありがちな本能がこんな形で爆発することもあるだろーなーと思います。もう起きてるかも?

2008
05/28
Wed

愛されたいという究極の形

[No.54] posted by まやや

全身のパーツを全て
美しい作り物に変えてしまい、

いつかは来る破滅の恐怖に
怯えながら、

「愛されたい 世間から忘れ去られたくない」

とあがく主人公りりこの気持ちが
痛いほど伝わってきて
息苦しいほどでした。

美しく生まれ変わった
あのとき
「喜びを軽蔑し 感触を軽蔑し 悲劇を軽蔑し」

世間というものを蔑みながらも、

なおもやっぱり
その世間から愛されたいから、
美しくなろう、
なった以上はその期間をできるだけ長持ちさせようという
愚かしいような二律背反、

これは世代を超えても、
誰もが共感できるテーマかもしれないと感じました。

もっと見栄えが良くなりたい、
頭が良くなりたい、
出世したい・・・

そんな欲望は男女を問わず
誰もが持つものだけれども、

全ては「そして愛されたい」
に直結してるんだなぁと、
しみじみ感じました。

2007
11/20
Tue

すごいストーリーだった。岡崎京子の天才ぶりがよくわかった。

0.0% (0 / 2)
[No.53] posted by 久保田夏彦

この本を読んで、岡崎京子の天才ぶりが、本当によくわかった。
軽々しく天才という言葉は使いたくないけど、ストーリーテリングの能力がすごい。それに絵も描けて。絵がまた想像力を邪魔しない絵で、読書好きにも受け入れやすい。
一気に読みきってしまった。またそうせずには、いられない本だった。
この本はマンガというイメージを超えている。
よく出来たマンガは、よく出来た小説と肩を並べることが可能なのだと思った。
このストーリーを10年以上前に世に送り出していたということも、本当にすごいことだ。
早くよくなって欲しいと思う。

2007
09/03
Mon

映画1本それ以上ぶんの

66.7% (2 / 3)
[No.52] posted by ヨリ

あらすじや中のエピソードを抜粋で紹介されただけでは
読んでみる気にならない人もいると思います。が、しかし
「ヘルタースケルター」は絵とセリフの埋めかたが
もうまるで映画です。といっても、映画ではできない。
漫画だからこその見せ方で圧倒されます。
全然理解できない環境にいるはずの主人公のりりこの
気持ちが、紙面からぶつかってきます。まとわりつく
のでも訴えるのでもなく、ただがつんとあたって去っ
ていく感じです。
だから、怖い悲しい話のはずなのに、読後の気分が
悪くないのでしょうね。

2007
08/05
Sun

強烈な毒にあふれた作品

100.0% (1 / 1)
[No.51] posted by Norio001

モデルとして活躍するために、全身整形をしたヒロインが心身共に崩れていく過程を描写した作品である。

少し衝撃的な内容だが、しかし、今日、われわれが堪能する大量消費社会が内蔵する残酷な無慈悲を見事に焙りだした作品だと思う。

大量消費主義の精神とは、いうまでもなく、世界のあらゆる存在を消費の対象として食い尽くしていこうとする底無しの空虚である。

そうした狂気の空間のなかで、自己を消費の対象としてきらびやかに磨きあげることをとおして、自らの存在を確かめなければならないヒロインの痛々しい悲壮さは、読者に同様の病理を背負う自己の一面を想起させて、震撼させるのではないだろうか。

随分と強烈な毒にあふれた作品であるが、推薦したい作品だ。

2007
05/23
Wed

勝ち続ける女

33.3% (1 / 3)
[No.50] posted by mickey_elephant

欲望ってなんでしょうね?だれより美しくありたい、有名でカリスマでいつづけたい。
それはとても正直な気持ちなんだけど、それにいくら代償をはらうものなんでしょう?
ヘルタースケルターは日本語で「すべり台」。りりこはどこまでもすべり落ちていくのです。
壊れていく体が取り返しがつなかいことをうすうす感じながら。若いライバルを蹴落とそうと犯罪
を犯し、マネージャを虐待しながら落ちていくのです。
もう、払う代償なんて一つも残りそうにありません。
しかし、りりこは強いです。たいした根性です。こうなってもあきらめたりプライドをすてて
負けたりしようとはしません。自業自得の報いをわめきちらしながら逃げずに受け止めます。
人生は楽しいだなんてだれが言った?ただ乗りなんてありません。
最後まで戦いつづけましょう。(かな?)

2007
04/16
Mon

不朽の衝撃作。

50.0% (1 / 2)
[No.49] posted by amanoiwato

これは、「現代社会の病理」を批判した作品でも、芸能人やショービジネスの歪んだ欲望や実態を揶揄した話でもありません。きわめて普遍的かつ汎時代的な、女性たちの生と在り方、それを取り巻く世界の有り様を、そのまま忠実かつ精確に暴いてみせた作品です。古今東西、世の男性が力と富と名誉を求め、それによって自己を満たしてきたように、女性も美と若さを求め続けてきました。この世界では、女性にとって、若さも含めた「美」こそが、力と富と名誉に近づき、より多くの「愛」を手に入れ、それによって自己を守るための最強の武器だからです。かつて醜く貧しく、世界から顧みられず虐げられていた一人の少女は、完璧な美を手に入れ、世界の頂点に昇り詰めます。しかし、彼女はそんな世界の全てを嘲笑い、あるいは憎悪します。崩れていく自らの肉体に抗うように、世界に対して戦いを挑み続けた彼女の辿り着いた場所…それは死でも絶望でもありませんでした。この世に女と欲望が存在する限り、この物語の衝撃と価値が永遠に失われることはないでしょう。

2007
04/10
Tue

何が人生の成功なんだか

100.0% (1 / 1)
[No.48] posted by hiyotarou

この漫画はさみしい。
岡崎さんの書いた帯「いつも。たった一人の。一人ぼっちの。一人の女の子の落ちかた。」
まさにそれだったから。
「あたしには好きな人も愛してくれる人もいやしない…」
世間の注目を不動のものにすべく美しさに執着し、あらゆる手段をいとわない。
人を痛めつけて世間にささやかに復習する。何にもならないと悟りながら。

最後のりりこの去り方はすごい。いつまでも消えない方法で。

2006
10/25
Wed

美と欲望

54.5% (6 / 11)
[No.47] posted by 黒猫嬢

 最初に読んだ時は凄いインパクトを受けたが、何回も何回も読んでいくうちに構成がよく練られていることに驚かされる。平面的で乾いた絵と、冷めた客観的な視点で語られているところ、問題提起をして何かを訴えようとする野心が無いところが良い。肉感的な絵で描かれていたら生々し過ぎて読めなかっただろうし、一歩間違えれば、陳腐なメロドラマになっていたり、説教臭い話で終わっていただろう。
 何と言ってもりりこの描写が良い。りりこには自分が無い。全身改造を施した身体や言動はイメージの産物で、所詮大衆の欲望に応えるだけの人形に過ぎない。
 マネージャーの羽田みちこと恋人の奥村伸輝、事務所社長のママ、クリニックの女院長、りりこの恋人の南部貴男、妹のちかこ、南部貴男の婚約者の恵美利嬢、事務所の後輩の吉川こずえ、メイクの沢鍋錦二、検事の麻田、りりことは無関係のクリニックの被害者、欲望に忠実な大衆と、←のキャラが綺麗に配置され、巧みな構成で物語が展開される。本来なら大幅な加筆修正されている筈だが事故によりそれが出来なくなってしまった所為か、丁寧さに欠けるし、矛盾するところが有るが(ストーリーが現在進行形なのに、沢鍋錦二の話は過去形だったり)、致命的な破綻ではないし、物語を語る上で十分な完成度になっているから、許容範囲。
 冒頭のイラストは、「これが岡崎京子が描いた絵か?」と驚く程(失礼)、お世辞抜きで本当に上手い。


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