- [著]樋口 泰行
- カテゴリ:
- 単行本 (216頁)
- ISBN:
- 4478000832
- 発売元:
- ダイヤモンド社 (2007/12/07)
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- ¥ 1,575 (税込)
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「真摯」という言葉が頭に浮かぶ
本書を読んでまず頭に浮かんだ言葉は「真摯」な社長ということである。
ダイエーを再生するという大プロジェクトの中、短期的な利益を求められる中で、
しっかりと問題と正対して一つ一つのを乗り越えていこうという姿勢が感じられるし、
おそらく従業員にもしっかりそれが伝わっていたように思う。
厳しい環境下でもリーダーとして持つべき気概を学ぶことのできる内容である。
エモーショナルに現場百回
ダイエー再生のエピソードをもとに、「現場」の重要性を強調しています。
「修羅場のリーダーには、オペレーションの能力以上にエモーショナルな能力が必要」
「眠れない、食べられない時期が続き、体重が8キロ落ちたことがある」
やや精神論的ではあるのですが、改革にはこれだけのエネルギーが要るという体験談としては、一読の価値はあると思います。
期待はずれ
冨山和彦の一連の著作を読んでからこの本を読むと冨山和彦の凄みと樋口氏とのギャップの大きさに気付く。
一言で言うと、樋口氏は自分の頭で考えることができない人間なのだろう。
冨山氏の考え方をトレースしているだけに思える。
この本を読むのならば冨山氏の著作を読むことをお勧めする。
これこそ企業変革に向けた生きたビジネス哲学です。
著者のリーダーシップ力の特徴は、形にとらわれないゼロベース思考に加え、先端のロジカル手法にアナログ的エッセンスをうまく取り入れているところだと思います。
課題を因数分解して、あるべき姿を描くといったロジカルな手法は、MBAで学び取ったものをベースにして、外資系企業を加速的に渡り歩いてきた経験から来ているもの。
また、現場を自らの目で見て回る、傾聴するといったアナログ的な要素は、新入社員時代にモノづくりから顧客対応に至る現場主義で培ってこられた賜物でしょう。
これらに加えて、エグゼクティブとして外資系企業での様々な課題解決を経験し、強い意志のもとで変革を目指すリーダーシップ力を発揮されてきたことが、この企業再生499日の物語に反映されているようです。
前著の「愚直論」では著者の波瀾万丈の半生と自己実現の強い欲求と共に経営者となる意向に至るまでの経緯がメインで書かれていました。
そして、本書は社長業を本職とし、ビジネスモデル変革に向けたナレッジとして体系づけたものに仕上げています。
「T字型人間になれ!」ということが再び書かれています。
著者は、そういったワザを究め、加速度を増す環境の中で渡り歩かれています。
これぞ、まさしく「必殺、仕事人!」です。
苦しみの中でこそ生きていることを実感する
ダイエーの復活という厳しい現実の中で、その凄まじい負荷を背負って歩む著者の姿は、まさに「生きる」ことを訴えかけてきます。
また一つ凄まじい努力の形を学ぶことができました。
リーダーシップとは何かがわかる
吸収されたコンパック側の人間でありながら、日本HPとの統合を成功させ、畑違いのダイエー再生に賭けた樋口元社長の死に物狂いの戦闘記。実に具体的にダイエーでの“戦い”を描き、リーダーシップとは何かを教えてくれる本だ。
そもそも、歴史があり成功体験のある企業ほど、そこに在籍する人間にプライドがあり、外から来た人間に耳を傾けることは少ない。ましてかつて「小売りの王者」だったダイエーは、取引業者や顧客に対しても時に高圧的な態度に出ることもしばしばだったようだ。カルロス・ゴーン氏の例を引くまでもなく、この体質を変えるにはもはや外部から荒療治をするしかない場合が多い。
樋口氏の特徴は、HBSを卒業しコンサルに身を置いた経験もある「論理力」を背景にしながら、現場の状況をつぶさにみながら、最後は「熱いメッセージ」を直接語りかけ社員を動かすという「リーダーシップ」であろう。チェンジ・リーダーに必要なのは、「千万人といえども吾(われ)往かん」といったような、傍目にはドン・キホーテ的信念(本書では小泉元首相を例に出している)だと言う。
もちろん、達成不可能な目標を無理におしつけたり、過度なリストラをするだけでは現場が疲弊するだけだ。ドン・キホーテで終わらないためには現場の知恵を集積した「組織力」、ビッグ・ピクチャーと云われる、業界の将来、会社の立ち位置を俯瞰して考えた「戦略力」が絶対に必要だ。本書はそんなリーダーあり方が学べる、恰好の教科書である。
それにしても、やがて樋口氏が去らねばならなかったのは、ダイエーという会社の再生がいかに難しいかを物語っている。本書では恨み事は少ないが、ファンドからの圧力、そして新オーナー丸紅との軋轢は相当のものだったであろう。(林文子会長、現副会長に関する記述がほとんどないのは、これも何かあったのかと思われるが…)
次は遡って「愚直論」も読んでみようと思う。
実行するところがすごい
樋口泰行氏がダイエー再生をした状況から、リーダーとしての役割を述べた
良書である。
手法自体に新規性、奇抜性は無いが、基本に忠実に必要なことを実行して行く
ところがすばらしい。経営のプロフェッショナルの凄みを感じさせる。
組織内部のリーダーの勇気を与える一冊
ダイエーの前社長であり、現在マイクロソフト株式会社の代表執行役兼COOの樋口泰行氏によるリーダーシップ論である。クールヘッド・ウォームハートを地で行くタイプの経営者という印象を持った。
「閉店日の様相はまさに壮絶だ。最後にシャッターが下りる中で店内に社員たちが整列し、店の前に集まって拍手で感謝の気持ちを伝えてくれる常連客に対して九〇度にお辞儀をし、肩を震わせて涙を流す。本当に悲しい光景であり、社員の雇用、さらに言えば地域の台所を預かる責任を心から痛感する瞬間である」。著者が社長の時代に五四の店舗の閉鎖が行われた(約五三の不採算店舗の閉鎖が再生機構の「再生計画」で決められていた)が、スケジュールの関係でどうしても行けなかった数店舗を除きすべての閉鎖店舗を自分の足で回ったという。
「戦略力を鍛えるために何より重要なのは、リーダー自身が現実のビジネスにどれだけ真剣に向き合ってきたか、どれだけ格闘してきたかにある。その要件を満たしたとき、机上の理論に『凄み』が加わる」。
「つまるところ、どんな企業でも組織を動かしているのは『人』である。(中略)社員が高いモラルとモチベーションで仕事に打ち込む、現場の意見がきちんと上がって経営に反映される、顧客のニーズを吸い上げた製品やサービスを次々に供給していく…そうした基本動作がDNAとして埋め込まれない限り、(中略)真の再生は果たせない」。こうしたDNAを埋め込めるのは、「企業の競争力を心の底から回復させたいと願っている組織内部のリーダーやマネジャー」であり、彼らこそが「企業再生の担い手となるべき」だという著者の考えは、本書を通じて一貫しており、読者に強いメッセージを放っている。
現場の基本動作を徹底し、組織の人間力を大事にする
2年余り前に著者の前作「愚直論」を読み、書評に「2-3年後にダイエー再建の経営者としての続編を読んでみたい」と書いたことを思い出し、また、最近「会社は頭から腐る」(冨山 和彦 著)を読んだこともあり、「再生」「ダイエー」という共通項から興味を持って本書を読んだ。
前作同様に、著者の実直で真正面から物事に体当たりしていく真摯な姿と強い意思・執念が伝わってくる。特に、店舗閉鎖の様子を描写した第1章の最後の部分(p.60-64)、第2章「現場力」全般、第3章の「戦略力」の戦略を現場に落としこんでいく部分の記述は、実際に自ら再生の現場で「内側の人間」として、もがき苦しみながら指揮を執った著者の肉声であり、コンサルやファンドといった再生や経営に関わる「外側の人間」には書けないリアリティだと思う。士気の停滞した組織で陣頭指揮を執って、人心を束ねて方向性を示すべく、組織構成員の腹に落ちるように対話を重ね、並々ならぬ執念を以って組織を変革・再生していくことの大変さがひしひしと伝わってくると同時に、やはり最後は経営とは組織の人間力が大事であるという旨の、当然の帰結が非常な説得力を持つ。
