- [著]飯田 泰之
- カテゴリ:
- 単行本(ソフトカバー) (256頁)
- ISBN:
- 4478210489
- 発売元:
- ダイヤモンド社 (2003/12/11)
- 価格:
- ¥ 2,100 (税込)
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文章構成に難あり
この本が扱っているテーマ・内容については、筆者は大変良い着眼点を持っていると思う。 しかし、第1章の論理の説明はよく整理されていない。選んだ例が不適切なため、その解説が薄くなり、逆に分かりにくくなっている。 その他、本全体に渡って文章の構成・展開があまり上手とはいえない。 せっかく興味深い内容を扱っているのだから、もっと読みやすい文章であれば尚良かった。
経済学的な考え方を身につける本
まず本書は経済学的知識を得るための本ではなくて、経済的な考え方を
身につけるための本です。それ故まず経済的な考え方を知識よりも優先して
得たい方には必読書となることでしょう。この手の本は実は意外に少ない!
基本方針は
1.単純化して突き詰める
2.データによる確認
を最重要ポイントに置いています。
またマスコミにおけるいい加減な経済的記述の罠にかからない方法を伝授しています。
第一章はロジカルシンキングの手法を身につけていきます。(演繹、帰納法、
必要十分条件など)
第二章からいよいよ経済的思考を指南されます。
経済的知識は本書では得るものではないと書きましたが、ここから経済的思考と
同時に基本的な経済的知識も導入されています。
そしてそれは一般的な経済新書レベルはあります。
むしろ一般的に言われる「株価と金利は相反する方向へ動く」を数式を用いて
他の基本経済学書よりも解かりやすく書かれています。
そして需要曲線と供給曲線との関係から総余剰(消費者余剰と生産者余剰)は
需給両方の満足の和であるを説明したグラフは目から鱗の思いをしました。
私自身初心者向けの経済学書を数十冊読んできて、その解かりやすさと
経済的な思考を身につけることに置いて本書は群を抜いています。
経済学を「きちんと」つまみぐいできる本
ミクロ経済とマクロ経済の入門的な内容をピックアップして「きちんと」説明した本.書名から想像するほどのインパクトはないが,この「きちんと」の部分が本書の真骨頂となっている.経済学は勉強したけど数学や論理は苦手という人にとっては本書の真っ当な論理立て・説明の仕方から得るものが大きいだろう.冗長な記述や論理の穴の極めて少ない説明がいかにわかりやすくて短く済むかを知ることができる(とくにマクロ経済の話題に関して).一方で,数学や論理は得意だけど経済を勉強したことはないという人にとっては本書の無駄や飛躍の極めて少ない説明は短時間で経済学の初歩の様々な題材を理解するのに大いに役立つだろう.
もう少し細かく見ると,1章の「ロジカルシンキング」は,当たり前過ぎると感じる人も多いだろうし「矛盾」「∀」「∃」の説明が抜けていたりはするものの,経済の本としては意欲的な内容だと思う.学問以前におさえておくべきことを読者に意識させる内容である.2章,3章,3章補論は経済学の様々な概念の行儀の良い説明.「簡潔で明解な説明とはこういうものさ」という感じ.4章と4章補論はマクロ経済の考えを説明しながら,それを用いて日本経済を分析する内容.この部分の話題はニュースで耳にすることがやたら多く,かつ,本書の1章で批判されている議論(戯れ言?)が目立つことは本書を手にとるような人にとっては周知の事実.同じ話題を非専門家向けに誤魔化しなく説明するとこのようになるというお手本といってもよいと思う.
経済学に入っては「経済学のルール」に従え
経済学に馴染めない理由としてよく聞かれるのが「非現実的」「所詮は机上の空論だYO!」という声。そもそも経済学とは、複雑怪奇な現実世界の事象を「単純化して突き詰める」学問であるため、単純化したモデルを「現実と違う」と罵倒するのは、子供に向かって「オマエはなんて幼稚なんだ」と諭すくらい無意味なもの。そんな、経済学の世界と現実世界とのギャップを埋めるのに最適なのが本書。経済学における幾つかの前提条件や基本ルールの解説に特化した書籍はおそらく本書が初めて。いきなり経済学の基本書から入るよりも、本書をクッションにするとその後の理解が早まること必至。時間が無い向きは、せめて第1・2章および第3章補講だけでも目を通しておきたい。本書を読んだ後で、日経新聞の記事やテレビの似非エコノミストどもの戯言を笑い飛ばせるようになれば、まずは合格。速やかに経済学の入門書に移られたし。
読みやすい経済学書No,1
まず構成がすっきりしている。経済学も論理的ルールに即しているのは
いまさらいうまでもない。最近は、論理的にスジが通っていないことを現実感覚や政治的・社会的ファクターでごまかすやからが多い。なかには前人未到の事態を説明しているのだから、などといって、従来の経済学やあまつさえ論理的首尾一貫性やただ文章の意味が通っているかいないかさえも誤魔化す手合いが多い。
本当に大変なことは論理的首尾一貫性を現実とどう適応させるかであって、現実にあわせて論理破綻を容認することではない。この当たり前ともいえる人類の英知wをちゃんとした経済学の初歩そしてリフレ政策まで結びつけたことは大変評価できる。経済学入門者から経済学にトラウマを抱く人までおおいに進めたい。読みなさい!
本来的な意味での経済学入門書
ロジカル・シンキングに関する著作はこれまでに幾冊
も読んできたが、いずれも挙げられている事例が極度に
単純化されたものばかりで、現実的な問題を考える際の
手がかりにするには物足りなさを感じるばかりだった。
その点において、本書は1990年代以降の日本経済という
生の事例を、複雑かつ巨視的な形を保ったまま示すこと
で、現実からの乖離を感じさせないよう配慮しつつ、ロ
ジカル・シンキングとは何かを修得できる構成となって
いる。
筆者のいう「経済学思考」を簡潔にまとめれば、ロジ
カル・シンキングにデータ実証と経済理論をマッチさせ
たもの、となるだろうか。経済学を専門として学んだこ
とがないため、いわゆる経済書を読んでいるとどこに根
拠の確実性を求め、どこまでをもっともらしい説として
受けとめるべきか判断に困り、ストレスを感じることが
多い。しかし本書に関していえば、前半における解説に
基づくことを確認しながら後半で日本経済の分析を行う、
というフレームが堅牢に構築されているため、胡散臭さ
を感じることなく読了することができた。理論的根拠を
明らかにしているところが「予想屋」の描いてみせる煽
り(安易な楽観論、あるいは悲観論)との質的な違いで
あろう。この点を高く評価したい。
終章の金融政策を重視する姿勢には少々疑問が残るが、
なぜ自分がそのような疑問を持つのかについても、改め
て認識を深める契機をもらったように思っている。著者
の説に対する賛否を問わず、経済学に関する読者の思考
を鍛えてくれる本来的な意味での入門書と呼んでいい一
冊である。
本来的な意味での入門書
ロジカル・シンキングに関する著作はこれまでに幾冊も読んだが、
従来、挙げられてあった「事例」と称するものは、いずれも極度に
単純化されたものばかりで、より複雑かつ大きな問題を考える演習
としては現実離れしているとの感が否めず、物足りなさを感じてい
た。その点で、本書は90年代以降の日本経済という、途方もなく大
きく複雑な問題を具体例に採用しつつ、ロジカル・シンキングを修
得できるよう、巧みに企画されている。
筆者の意図はロジカル・シンキングにデータ実証と経済理論を加
えたものを経済学思考と捉えることにあると思われる。私は経済学
を学的な専門としたことがないため、いわゆる経済書を読むたびに、
どこに確かな根拠があり、どこが胡散臭い話なのか判断に困ること
も多く、しばしばストレスを溜め込んだものであった。しかし、本
書においては前半で解説した内容に基づき後半の日本経済分析へと
展開する明快なフレームが設定されているため、従来付きものであ
ったストレスを感じずに読了することができた。
一点、終章において金融政策を重視する姿勢には疑問を覚えたが、
なぜ自分がそのような疑問を持つに至るのかについても、改めて理
解できたような気がする。著者の説に対する賛否以前に、現状の経
済を考える上で安易な「福音書」による救済の夢を語らず、読者自
身の思考力を鍛えてくれる本来的な入門書としての役割を果たす一
冊として挙げておきたい。
ロジカルシンキング+経済学=こういう本を待っていた
某メガ・ベストセラーが図らずも示したように、議論がなかなか通じないという経験をしたことがある人は多い。その最大の理由は、そもそも議論とは何か、何を目的としているのかが共有されていないことにあるのだろう。
この本の画期的なところは第1章にある。まずそもそも議論とは何か、論理的思考とは何か、をかみくだいて論じているところだ。その説明は1章分、わずか数十頁にすぎない。しかし、その効果は絶大だ。経済学をかじる、あるいは復習する前に、まずは基本中の基本をおさらいしようという試みは心憎いかぎりだ。その経済学の説明も、理論だけでなく、データの読み方や表現方法も同じくらい重視しているところはとてもいい。理屈としてどうか、ではなく、証拠と照らしてどうかが大事なのだから。その説明のしかたも、概念図を多用してわかりやすい。
経済学の部分については、本当に簡単な道具だけで多くのことを説明しているのはじつにうまい。最後の第4章は結構、高度なことをやっていると思うけれど、すんなりと説明されている。
注文をつけるとしたら、本書のルール(手際よく10にまとめられている)を使ってトンデモない議論を解剖した部分がもっとあればよかった。そういう例題や演習問題がついていれば、この本の価値はさらに増しただろう。もっともそれは続編のためにとってあるのかもしれない。
ロジカル・シンキングといった本だけではでは現実の経済にどう応用するか心もとないと考える人、経済学を学ぶ前に議論の基本を確認しようという人にぜひ薦めたい。
若手研究者による意欲的な一冊
本書は、経済学を学ぶにあたって演繹法や帰納法の解説から入り、著者の言う「論理的な思考法」を身につけるトレーニングから始める。このことは、経済学の教科書としては異例のことである。しかしこの方法は、一見迂遠なように見えてそうではない。現在大学で教えられている「経済学」とされるものには様々なものがあり、立場、または見方によっては、結論が大きく異なってしまうということも少なくない。そこで経済学という知識の泉で、またさらに亡羊とした現実の経済で、正確な理解を得るために「論理的な思考法」は不可欠な道具であり、同時に様々な「経済学」の可否を判断する基準を提供するのである。従って著者が強調するように、これは「どんな問題にも応用できる」重要な基礎なのであるが、それが既存の標準的なテキストでは見落とされていたことに気づかされる。そしてさらに本書に驚かされるのは、「論理的な思考法」と、もう一つのテーマである「データによる確認」が、わかりやすく必要最小限の労力で習得できるようにまとめられている点である。その点で初学者が独学で経済学を学ぶ最初の一冊としても適しているだろうし、経済に興味はあるが通勤電車の中でしか本を読む時間をとれないというような多忙なビジネスマンにもぜひ薦めたい。ただ、若干憂慮する点は、本書のタイトル『経済学思考の技術』は、その内容に反して、過度に抽象的なイメージを与えてしまわないかということである。補論「日本経済への処方箋」を読めばわかるが、本書は上記の道具立てをそろえた上で、日本経済の現状を手際よく整理し問題点を明らかにする、すぐれた実践の書でもある。この点はもっと強調されていても良かったように思われる。
