- [著]ルイス キャロル
- [著]柳瀬 尚紀
- [著]Lewis Carroll
- カテゴリ:
- 文庫 (191頁)
- ISBN:
- 4480021868
- 発売元:
- 筑摩書房 (1987/12)
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恋するキャロル
この物語の成立過程を簡単に紹介しておこう。
作者キャロルは数学者・論理学者で、オタクなロリコンオヤジ。当然ながら、生涯独身。幼いアリス・リデルに「何かお話を聞かせて」とねだられ、とっさにアリスを主人公にした冒険ファンタジーを語って聞かせたのが事の起こり。(以下、混乱を避けるため、物語の主人公を「アリス」、現実のアリス・リデルを「リデル」と表記する。)最終的に完成した『不思議の国のアリス』には、テニエルという画家の挿絵がついた。この挿絵が、なかなかグロくて素晴らしい。その後、続編『鏡の国のアリス』も発表された。
大人になって改めて『アリス』シリーズを読み返してみて、キャロルが実に丹念にアリスを描いていることに気づいた。
アリスは七歳半。だが、とても大人びている。相手を立てるためにお世辞のひとつも言う。危険行為をする相手への気遣いもできる。相手がつまらないギャグをかませば無理して笑ってあげるし、逆に、相手が大真面目に間抜けなことを言えば、吹き出したくても我慢する。相手の話に論理的におかしな点があれば瞬時に見破ってしまうが、自分が不利な立場であれば黙っている。だが、ひとたび自分が有利な立場に立てば、容赦なく指摘する。夢の中の世界では、どのキャラもアリスにつっけんどんな態度で接するが、アリスはあまり気にせず結構賢明に立ち回っている。下手な大人も顔負けの社交家であり、策士でもある。そう言や、テニエルの描くアリスは、まるで大人みたいな顔をしている。キャロルの、リデルへの思い入れが表れたと見た。
一般には、シリーズ中 唯一アリスに好意的なキャラ「白の騎士」(『鏡の国』に登場)が、作者キャロルの分身だと言われる。だが私は、アリスのお姉さんこそが、キャロルの代言者ではないかと思う。
『不思議の国』の最後で、お姉さんは、不思議の国があるのではないかと夢想するが、すぐに現実に引き戻されてしまう。そして、やがて成長していくアリスのことを思い、今日この日のことを忘れないでと願うのだ。これって、キャロルの思いそのままではないだろうか。
リデルは確かにキャロルを慕っている。キャロルは、リデルと愛し合っているかのような夢想に浸ることもできただろう。だが、キャロルの思いとは裏腹に、リデルの方はキャロルを恋愛対象だとは微塵も思っていない現実がある。すぐに大きくなって、全く別の男を愛するだろうリデル。だったらせめて、リデルを喜ばせたい一心で、とびっきりの冒険物語を語って聞かせたおじさんのことを忘れないで、とキャロルは思ったのではないか。
原書では、英語のダジャレが随所にちりばめられているため、翻訳はきわめて難しい。無理して訳せば、ギクシャクして不自然な日本語になってしまう。柳瀬訳の本書は、ちょっとコテコテして凝りすぎの感はあるが、なかなかいい感じだ。凝りすぎたために、本来の読者である子供にはわかりづらくなってしまったのが残念だが、大人向けの『アリス』だと割り切ればい。
『アリス』の挿絵も難しい。なにしろテニエルの挿絵が素晴らしすぎて、後続の挿絵画家が何かとテニエルと比較され、非常にやりにくくなっているのだ。だが、本書の挿絵は、「テニエルこそが最高」と断じるテニエル原理主義者(私もそうだが)をも唸らせるものだ。
というわけで、減点なしの星五つとした。
こんな世界に行ってみたい・・・かな?
一匹のうさぎを追っていつのまにか不思議の国に迷いこんでしまったアリス。その世界ではなにもかもが不思議!そしてどのキャラクターも非常に愉快で次から次へと出てくる不思議なキャラクターに思わず魅了されてしまいました!絶対にありえないこんな世界、本の中じゃなきゃ体験できません!!一度はこん不思議な国に迷いこんでみてはいかがですか?
