- [著]ゲイリー ハメル
- カテゴリ:
- ハードカバー (284頁)
- ISBN:
- 4532313805
- 発売元:
- 日本経済新聞出版社 (2008/02/16)
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- ¥ 2,310 (税込)
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自分の職場を楽しい場所に変えられるかもしれない
世の中に新しい製品やサービスが次々と登場しているのに、企業の経営手法は、20世紀初頭からほとんど進化していない。
企業の業績を伸ばし、成長しようと思ったら、経営管理の世界でイノベーションを起こすべきだ。
本書はそれを手助けする。
――読者に期待を持たせる、力強い宣言で本書は始まりました。
言われてみれば、現在の企業の運営形態は100年近く変わっていないことが分かります。新製品を開発することも、技術的イノベーションも大切ですが、これからは経営管理をつくり直すことが最も効果のあるイノベーションのようです。
成功例として、まずトヨタ自動車が取り上げられます。
アメリカの自動車メーカの常識では理解できない方法で、トヨタは生産効率を上げつづけてきました。
欧米のメーカと違っていたのは、現場の社員が生産効率を上げたり問題を解決して変革推進者になれる制度(カイゼン活動)を確立したことです。
ヘンリー・フォードが「手を貸せと言ったら、どうしていつも頭もついてくるんだ」と不満をもらしたと言われている通り、アメリカ企業の常識では、品質や効率の向上は本社の専門家にしかできないものでした。
著者は、この経営管理手法を「知の封建主義」と呼んでいます。
このような古くからある“常識”を打ちやぶって著しい成功を収めている例が挙げられ、それぞれの型破りな職場環境がレポートされます。紹介される例の中には、副社長でも戦略室長でもない、ただの中間管理職が会社を変えた実例も登場しました。
「行使できる権限も自由に使える資源も限られているなかで、どの程度、経営管理イノベーションを推進できよう」という読者のつぶやきに対し、著者は「あなたが思っている以上にできる」と励まします。
自分の職場も、ひょっとすると楽しい場所に変えられるかもしれない。
そう思わせてくれる一書でした。
社長に読ませようと思います
従来のトップダウンの経営管理によって社員を会社の歯車のように扱い管理するのではなく、
社員全員によるボトムアップ式の経営管理方法を、グーグル、W・L・ゴア、ホールフーズ、IBMなどの企業の事例を取り上げて示唆してくれています。
本当にすごく衝撃を受けました。
自社でも新規事業を行うためイノベーションが課題になっていたのでとても参考になりました。
実践したいと思ったのは3つ。
・イノベーションをすべての社員の仕事にする
・会社の意思決定にすべての社員が参加できるようにする
・社内にアイデアの市場を築く
中でも「社内にアイデアの市場を築く」というライトソリューションズの方法はとても面白いと思いました。
多くの会社では社員が一つのアイデアを会社に提案(会社から開発資金を得ようとする)する場合、
会社からは「確実な利益予測」を求められられます。
斬新なアイデアであればあるほどそんな利益予測ができるわけもないのに・・・です。
確かに短期的な利益を求めれば当然かもしれませんが、社員から斬新なアイデアを吸い上げれなくなるのも当然な気がします。
それに対して、ライトソリューションズは社内に「アイデアの市場」を築くことで
社員が「自由に」アイデアを出し、
社員がそのアイデアを評価(投資)し、
多くの評価を得たアイデア(ライトソリューションズではTOP20のアイデア)に対して会社が開発資金を出す。
そして、そのアイデアが実現して利益を上げたときは、開発に携わった社員に対して利益を還元する。
という社内プロセスを築きました。
どちらのやり方が社員が積極的にアイデアを出すようになるかは誰の目にも明らかですよね。
働きたくなる会社もライトソリューションズです。
このような聞いたこともない経営管理の方法・理念をたくさん提示してくれています。
経営者の方には絶対読んでもらいたい一冊です。
2008年上半期最高のビジネス書 だと思う。
10年くらい前に「コアコンピタンス経営」で衝撃を与えた著者が新たに問いかける21世紀の経営課題とはなにか?
産業革命以来経営者の課題は生産性を挙げることでした。テーラーの「科学的管理法」より延々と受け継がれたこの課題に対する解決手法は新たなビジネスモデルの出現でも基本的には変わっていません。本書はこの事実をいくつかの例を挙げて説明するとともに、新たなビジネス環境に適応したマネージメントが何故できていないのか?新たな経営課題は生産性向上ではなく価値創造だということをわかりやすく教えてくれます。前作もそうですが、重要なことを非常にわかりやすく書かれていますので、経営に携わる方はもちろんあらゆるマネージメントに関わる人にお勧めします。
目がさめる思い。これが2008年上半期の一番の収穫。
昨今、イノベーション流行(はやり)で、技術イノベーション、
製品イノベーション、ビジネス・イノベーション、
マーケティング・イノベーションなどなど、
あちこちで語られることの多い「イノベーション」。
しかし、企業や組織の経営管理については、組織の階層構造や課業管理などの
点で、実は100年前のテイラー時代のアイデアが根本にあって、
経営管理そのものは、「不変」「普遍」と思いこんでいます。
しかし、著者は、経営管理の進化は、果たして頂点に上って進化する余地
はないのか?と冒頭で課題を提起します。
本書では、この経営管理イノベーションに焦点をあて、「経営管理は
その転換点を迎え、未来に向けてイノベーションを行うべき」と結論づけます。
最も注目すべきは、現在までの経営管理手法が、「従業員」という、
工業化社会の歯車を生み出し、彼、彼女の個性や創造性、自由意志や考える
力を無視し、管理する側と管理される側という枠組みで、資源配分、効率の
追求にまい進してきた歴史的経緯があるが、知識社会や脱工業化社会では、
その枠組みが適合しなくなっている、という指摘が、斬新で、新鮮です。
近代経営管理の総括部分を読んでいると、「なぜ管理職がいるのか」、
「なぜ、命令は上から下なのか」、「なぜ現場の意思決定が大事なのか」など、
卑近で素朴な疑問に対する、ヒントを読み取ることもできます。
過去の経営管理を整理し、これからの新しい経営管理イノベーションを考える
ヒントを多数検証していく中で、例として、グーグルの「経営管理のない経営
管理」やゴアテックスで有名なゴア社のフラットでコミュニティベースの
組織運営、さらに、オープンソース・ムーブメントに、今後の「経営管理2.0」
のヒントを垣間見るなど、正統派や伝統的な固定観念からは遠い、周縁から
の革新の発生、イノベーションの種を紹介し、マネジメントの未来を高らか
に提言しています。
また、旧式経営の象徴とも見れる、IBMが、大鉈をふるって
大改革をした際の顛末をも詳細に紹介し、経済環境のスピードが早まり、
従来とはまったく質までも異なる競争世界において、いかにして
経営管理のベスト・プラクティスを模索し、実行していくか、の後押しを
本書で試みています。
スター経営者にスポットライトがあたりがちな、米国型会社経営では
なく、組織のDNAを解剖し、永続して進化していく、組織の経営管理の
越し方行く末を、最新のWeb2.0状況をも取り込みつつ、新しい組織と
人間の創造活動の営みの未来を指し示す、独創的で稀有な、すばらしい
ビジネス書にめぐりあえました。
蛇足ですが、一見、「堅い文章」「抽象的な話」な予感がしますが、
実際には、内容のわりには、文章が平易だし、具体例や他文献の引用も
織り込まれて、この手の堅い本にしては、読みやすいです。
新概念と具体的方向を示した良書
元祖シュンペーターの指摘にあるようにイノベーションは技術だけでなく、組織・システムにおいて必要だが、インターネット普及と新たな技術革新の時代に以下にしてそれを成し遂げるか、これまでの組織の概念そのものを変える時が来たと読み取れるところまで踏み込んだ気鋭の書である。
経営学の書は事例を基にしたものが多く、本書もその域はでないものの新たな概念とともに具体的な方向を示そうとしている意欲は買える。
技術、経済の専門家、そして哲学者も交えて語る時に肴にしたい本である。
経営マネジメント改革にフォーカスした稀少な一冊!
経営改革ではなく、
経営マネジメントそのものについて
ここまでフォーカスされている本を初めて読みました。
秀逸で、かつ事例がとても興味深いです。
特に参考になったのは、以下の3つ。
1.EBO(新規事業機会)の育成を目的とした経営管理プロセス:
・既存システムを並存させ、新システムで補完
・本社戦略室とホスト事業部とのハイブリット構造
・評価基準を明確にする(EBO件数、早期デザインウィンの件数、製品開発ペース、売上成長率)
・リーダーと予算の配分方法
2.ベストバイの群集の英知を結集化させた売上予測システム:
・ゲーム的要素を取り込む、非公式に実験
・背骨のインセンティブ制度は触らず、政治的リスクを小さくしてはじめる
3.民主主義を取り入れたW.L.ゴア:
・階層組織ではなく、格子型組織
・リーダーは、リードされる人々に対して最大の説明責任を負う
・割り当てられた仕事ではなくコミットメント
いずれも経営マネジメントの王道と言われているやり方とは、
ともすると逆行ようなユニークな方法です。
が、いずれも
何で、経営マネジメントをイノベーションできないのか?
原因を精緻に分析をした結果に基づく、
非常に足元の固い取組みの積み重ねによって獲得できたものです。
単に事例紹介に終わらせない、再現性への示唆が富んでおり、★5つです。
イノベーションを起こす組織づくりのすすめ
テイラーの科学的管理法に始まる近代の「経営管理」の歴史。これら定説となっている経営管理手法に対して、近年は「経営管理」分野でイノベーションが起こっていないという指摘から本書は始まります。そして、「経営管理イノベーション」に必要な要素は何か、そしてそれらがなぜ必要なのか、という点について、ホールフーズ(小売業)やL.W.ゴア(ゴアテックスの)、グーグルなどの実例を交えながら問題提起していきます。そして、イノベーションを促進する具体的な手法を提示します。
「経営管理イノベーション」という言葉がかなり漠然としていること、時折、直訳かと思うような抽象的な表現が退屈に感じられる点は気になりましたが、自分の仕事や組織を点検し見直すヒントはたくさん詰まっていて、なかなか読みごたえがありました。
第3章「経営管理イノベーションの挑戦課題」では、イノベーションを社員の日常業務にすることを提言していますが、雑務に追われがちな自分の仕事を省みて大変ためになりました。
また、個人的には、組織に適応力をつけることについてメタファを使って提言する第8章が大変興味深かったです。「生命−多様性」「市場−柔軟性」「民主主義−積極的な参加」「宗教的信仰−意味」「都市−幸運な出会い」…。
本書から何を読み取るかは読者次第かと思いますが、それだけイノベーション論としては間口の広い内容であるとも言える訳で、他のレビュアーも勧めているとおり、関心のある方はイノベーション系の類書を読むことをオススメします。
経営管理の将来像は、日本的経営の延長線上にあり
本書のテーマは、経営管理の将来像である。本書の意図は、テイラーやウェーバーによって開発され20世紀を通して精緻化されてきた近代経営理論に取って代わる新しい経営理論を提示することにある。
筆者は、近代経営理論は「効率」を優先してきたのに対し、新経営理論は従業員一人ひとりの知恵の結集を優先するものであると主張する。イノベーションが成長の鍵となっている現在のビジネス環境においては当然の主張であり、これまでも多くの人が指摘してきた。ただ、その新たな経営理論が、今までの理論の延長線上にはないことをはっきり述べている点が特徴であろう。
一人の天才が考えたことを多くの愚者が実行するという経営スタイルが続いている米国の読者には、組織を「機械」と捉えるのではなく「民主主義国家」と捉えるという本書の主張は、強烈なインパクトがあるだろう。しかし、もともと従業員の工夫を重んじてきた日本の経営者にとっては、パラダイムチェンジというほどの衝撃はないだろう。ただ、盲目的に米国的経営を模倣しようとする浅はかな行為を抑える効果はあるだろう。
本書の対象読者は、トップマネジメントである。これまでの日本的経営を改善(この新理論は日本的経営の延長線上にあると思うので、あえて「改善」という言葉を使った)するためのヒントが得られるであろう。
本書を深く理解するためには、テイラー以降の経営理論の歴史的推移を理解しておくと良いだろう。
成熟の時代の後にあるべき経営の姿がある
成長の時代、成熟の時代の経営はもはや時代遅れになった。
バブル崩壊後、企業経営はどうあるべきか?
自主的に動く組織とは・・
この本を読んで、大久保一彦氏の「繁盛力」を思い出した。
ぜひ、化石的な経営をしている方、
人が集まらないかたは、この本を読むべきだ。
ドラッガーやクリステンセンの著作で補いながら読むと、より理解が深まるのでは
「経営管理イノベーターの誰一人として、ビジネススクールで学んではいない」「ビジネススクールで学んだら、たくさんの英知を取得できるが、たくさんの型にはまった考えも身につける」。
イノベーションという発想を、特に経営管理手法そのもののイノベーションという形で焦点をあてて論じているところに本書の新しさがある。また、優れたリーダによるトップダウン手法の長所が強調されがちな経営科学の分野で、むしろ著者はボトムアップのアプローチの優位性を説いているところも目を引いた。生命進化の様子になぞらえたり、市場や民主主義の原理まで引き合いに出して、多様性を認めて組織の適応力を引き出すことが創造性につながるとしている。
ただ、そもそもなぜ経営管理のイノベーションが必要なのかという理由とその時代背景の変化については、本書は必ずしも十分なページを割いて説明しているわけではない。この点の理解がまだ十分ではない方は、もう古い著作になるが、例えばP.F.ドラッカーの「ポスト資本主義社会」などを読んで、過去の大量生産型の資本主義から知識社会への移行が進んでいるというような背景や認識を補っておいた方が良いように思われる。また、イノベーション全般に関しては、クリステンセンの著作の方がより包括的にイノベーションを語っているので、まだの方は一読して比較してみると良いのではないだろうか。特に、本書の後半のIBMの例は、むしろクリステンセンの考え方の視点で見た方がしっくりくるように思う。
個人的には、まだ公開されている事例研究例が十分とはいえないGoogleの経営手法についての解説が興味深く読めた。あと、「アメリカの自動車メーカーがトヨタの優位を理解するには、20年近い歳月がかかった...(中略)...現場労働者の知性を侮る姿勢はそれほどひどかったのだ」というところは苦笑してしまった。
