Amazon.co.jp
マネジメントの大家ピーター・ドラッカーの翻訳書から、ポイントになる言葉を抜き出して解説を加えた書。多数の企業事例をあげたり、身近なビジネスシーンに照らし合わせたりして、難解なイメージをもたれがちなドラッカーのエッセンスをわかりやすく説き明かしている。
たとえば、「金で人を惹きつけることはできない。そういうものをやっているところほど人の出入りが激しい」「すでに一つのことが確実である。間もなく多様な企業モデルが生まれる」というドラッカーの言葉を引きながら、多くの人間をやる気にさせること、努力すれば報われるしくみや共存共栄のしくみをつくること、それが会社の永続的な繁栄につながることなどが論じられている。ドラッカーの「企業の社会的責任」「付加価値」「ナレッジ」といったキーワードからも、ビジネスパーソンの存在意義や基盤となる考え方が導かれている。
なかでも「お客を作る」というドラッカーの視点からは、「お客本位」の時代における経営やマーケティングの概念、真のニーズ、販売のノウハウ、「お客軽視」の組織の病理など、多彩な議論が展開されている。ビジネスの原点となるものの考え方がここで得られるはずだ。
日本は劇的な転換が得意で、一定のコンセンサスが得られればただちに転換に向かう、というドラッカーの言葉や、従来の規制や既得権が通用しなくなった現在は、腕一本、知恵一つでのしあがることができる最も活力のある明るい時代だという著者の言葉には元気づけられる。経営の要諦とともに、こうした洞察や時代感覚をもたらしてくれる1冊でもある。(棚上 勉)
