- [著]ダイアナ・ウィン ジョーンズ
- [原著]Diana Wynne Jones
- [翻訳]和泉 裕子
- カテゴリ:
- 単行本 (343頁)
- ISBN:
- 4569636241
- 発売元:
- PHP研究所 (2004/11)
- 定価:
¥ 1,995 (税込)- 在庫状況:
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諦めではなく覚悟
ジェイミーは、イギリスで両親、弟妹と暮らすごく普通の少年だった。
ところが古城で「あいつら」がしている、怪しげなゲームを目撃してしまったために、捕えられ、ゲームの中に放り込まれてしまう。
次元の違う世界へ次々と強制的に移動させられる中、故郷を失った謎の生命体ヘレンと、悪魔ハンターと名乗る少年ヨリスに出会う。同盟を組み、元の世界へ戻るために、「あいつら」に反撃することを決意した彼らは・・・・。
ダイアナらしい「多重世界」を、ゲームとして捉えた作品だ。
ハウルやクレストマンシーシリーズより、少し難解という感触があるが、独特の世界観は、他の作品とひけをとらないくらい面白い。小さい子にはオススメできないが。
もし、自分たちの人生を、見知らぬ誰かがゲームの駒のように操っていたら、それを知ってしまったのに、『ルール』に縛られ、操られることに抗えないことになってしまったら。
そんな恐怖の中で、『ルール』の持つ落とし穴を逆手にとって、操っている敵(あいつら)に反撃するチャンスをつかみ、必死で戦う彼らの姿は、読んでいるものをハラハラさせながら、「頑張って!!」と手に汗にぎって、応援したくなる。
「ハッピーエンド」というより、「一件落着」というラストシーンは、胸がぐっとしめつけられるような哀愁を感じる。
人生には自分ではどうしようもないこともある、といっても諦めとは違う、それは覚悟のようなもの。
愛すべき仲間たちの行く末を願った少年の決意が、しんみりと切なく胸に残る読後感。
おなじみの多世界の物語
ジョーンズお得意の多世界の物語を、「ゲーム」という名を借りて描いている感じがします。
つまり、今までは「魔法」という名を借りて描いていたのを、少し現代風?にアレンジした感じでしょうか。
やはり感心するのは、それぞれの「世界」のルールや生物たち、文化です。
想像力豊かに、匂いや風土を感じられ、よくこれだけの世界を創造出来るなと感嘆します。
ラストは少しさびしい感じがしますが、これもまたひとつの世界なのかもしれません。
ちょっと・・・?
僕は、ダイアナ・ウィン・ジョーンズの本はいつも買って面白く読んでいるのですが、この本は、ちょっとテンポに乗れなかったですね。小さい子には少し難しい言葉も入ってますし、ちょっとお勧めはできません。
でも題名ほど怖かったりはしません「仲間と団結して敵を倒す」という定番のパターンでしょうか?
せつない…
まるで自分もジェイミーといっしょにわけもわからず異世界に放り出されてしまったような気分になってくる。灰色のマントをまとった得体の知れない<あいつら>の不気味さと怖さにぞくぞくしたり、わがままで子どもっぽくてみえっぱりだけどなぜか憎めないアダムやヘレンたちの言動に思わず笑ってしまったり…。パズルのピースがひとつずつおさまっていくような展開で、最後までじっくり読まないと全貌が見えてこない。単なる子どもの冒険談ではなくて、実は自己犠牲とか自分や世界という存在の虚実とか、いろいろ深く考えさせられる話。ジェイミーの絶望とせつなさが胸に迫る。
難解でした
通常のファンタジー系とは逆に、序盤はテンポ良く進み、部分部分スローになるという異質な展開。いろいろな面で、これまで読んだ物語とは違いました。面白いことは面白いし、書かれた年代を知るとさらに不思議な気持ちになります。ただぼくの実力不足とは思うけど、最後の部分は良く理解できませんでした。「ライ麦畑」みたいなことなんでしょうか?すみません、「モヤット」という感じです。でも納得できなかったので☆5つは出せません、ごめんなさい…。
一気に読んでしまいました。
どんどん話の展開が進んでいくので、一気に読んでしまいました。(以下ネタバレ要素があるのでご注意下さい。)でも、私的にはかなり面白く感じたのですが、ダイアナ・ウィン・ジョーンズの作品=完全なハッピーエンドというイメージを抱いている方にはちょっとおすすめできません。
ストーリーは主人公が、昔の自分を振り返り、話を進めていくという感じです。ただ終わりが終わりなだけに、話のところどころで後悔にもにた主人公の感情がにじみ出ていました。でも”この世で最も邪悪なゲーム”というタイトルからすれば、この話の内容は当然かもしれません。もちろん文章も話の展開も申し分なく素晴らしいので、興味を持った方は是非読んでみてください!
灰色の終わりなき悪夢のような現実が・・・
DWJさんの作品の中でも特に異質な作品ではないだろうか?彼女の本の魅力は独創的な内容、個性溢れる登場人物、複雑な筋が織り成すストーリイがラストで一気に解決する爽快感etc…加えて主人公達がお茶を飲んでいる様なシーン描写も異世界であれ英国であれ楽しい、読者も一息つけるうえ感情移入もしやすい。
この本は例えていえば灰色の悪夢のよう、前段で述べた爽快感が味わえないのだ。なぜか老成したような少年ジェイミー、化け物じみた出で立ちの少女へレン、悪魔狩りのパートナーを崇拝しきった少年ヨリスは奴隷だ。出身も知識も経験も違う3人のバウンダ-ズ達は圧倒的な力を持つ謎のゲームマスターを出し抜かなければ故郷に戻れないのだ。
不安や焦り、未知の恐怖が付きまとって離れない、それは読者にとっても同じこと…。
うちへ帰ろう。
’80年代、TVゲームはロールプレイングという分野を発展させた。
この本は正に、ジョーンズ特有のパラレルワールドとR・P・Gが一体化したような作品である。
読者も訳が分からないうちに巻き込まれてしまい、一歩前進したかと思うと二歩退がるような苛立たしさに、
自分が誰かに操られているような気分になる。
三人兄弟の一番上の少年が主人公なのも、徐々に自分の役割を理解して使命を果たそうとするのも、
やっぱりジョーンズらしいんである。
私たちが住むこの世界との関わりを匂わせて、実際には「犠牲になる」と言った方がぴったりなのだが。
自分の家、自分の居場所がとてつもなくいとおしくなる本だ。
