中国現代化の落とし穴―噴火口上の中国

  • [著]何 清漣
  • [翻訳]坂井 臣之助
  • [翻訳]中川 友

カテゴリ:
単行本 (437頁)
ISBN:
4794211759
発売元:
草思社 (2002/11/30)
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1978年に始まった中国の経済改革が、20年間にもたらしたものは何であったか。この改革によってどの部分の人間が利益を得たのか。彼らはどのような手段で利益を獲得したのか。他の階層の利益が損なわれた基礎のうえに、彼らの利益が築かれたのかどうか。中国の思想界では1998年以降「こうした良心の問いかけ」がしだいに高まり、「改革」に対する反省が「おもな潮流」となった、と本書はいう。

著者の何清漣も若き女性歴史・経済学者としてこの潮流に加わり、1997年に改革の誤りを大胆に指摘する『中国的陥穽』を著した。この中で彼女は、中国の経済改革は毛沢東の当初のスローガン「化私為公」(個人のものを公のものにする)の革命的逆転すなわち「化公為私」(公のものを個人のものにする)にすぎないと書いた。すなわち「1949年いらい、中国共産党は暴力を用いて有産階級を消滅させ、1978年以降の改革のなかでは、中国共産党の権力掌握者が権力を利用して自分たちや家族を成金階級に変えた」というのである。

この本は学術書にもかかわらず、中国国内でベストセラーとなった。一部の学者は何清漣を「真の愛国主義者」「中国の良心を代表する知識人」と呼び(訳者あとがき)、その後「中国の改革を喜び勇んで賞賛する人はいなくなった」。しかし、腐敗と富の分配の不公平に抗議する天安門広場の学生たちを、人民解放軍の戦車の下敷きにした中国共産党が、このような「潮流」を許すはずがない。2000年以降、この種の「反省」に対する政府の弾圧が厳しくなり、『中国的陥穽』は発禁となる。著者自身も2001年6月、公安当局の監視を逃れるため米国に渡った。

本書は、米国で『中国的陥穽』の英訳版を出版するにあたり、新材料を加えた改訂版(中国語版)からの翻訳である。おりから中国はWTO加盟一周年を迎え、中国各紙は加盟がもたらした好調な経済指標や自動車製造業などへの効果を紹介している。日本でも中国経済の活力に注目する経済専門家が少なくない。しかし、何清漣は本書の中で、汚職と腐敗の横行、貧富の格差の拡大、生態環境の破壊、国有企業の相次ぐ倒産、不良債権と失業者の増大など、中国経済の惨状を余すところなく展示してみせる。すべては、全体主義が市場に介入した結果である。「権力の市場化」を起点とする改革の代価を支払ったのは、総人口の8割以上を占める「社会の底辺層の人民」であり、「改革の成果」を享受したのは少数の権力階層だけだった。精密な統計と科学的な分析に基づくこの総括は、かなり怖い。(伊藤延司)

2004
05/16
Sun

ちょっと疲れる

66.7% (6 / 9)
[No.8] posted by えめふろ

題名にある「落とし穴」というのは、第一に政治の腐敗、第二に農業経済の破綻、第三にマフィアの台頭、第四に貧富の格差の拡大です。特に、民族の倫理観念自体が低劣化していることが問題視されており、これでもかというほどに品性に欠けた人々(主に役人)の実例が紹介されます。実は主張の中身は最初から最後まで基本的に同じなので、後半に行くと正直、飽きてきますが、力作であることに違いはないです。

2003
05/03
Sat

ショーウインドウから外れた場所には何が待ち受けているか

88.9% (8 / 9)
[No.7] posted by taochan

中国が、最大公約である「人民への職業単位による生活保証」という公的責任を全てかなぐり捨て、地位ある者が権力と人脈によって国家資産を横領・転売したことで、労働者は生活の糧を失い、極端な貧富の格差が生まれた。官僚から盲流まで誰もが他人の財を権力か暴力によって収奪しようという社会となった。それは大衆の受忍限度の限界であると何女史は述べる。道徳律と公徳心が共産主義によって歪曲され、私と公の境界が曖昧にされ、奴隷のような労働条件と失業不安の中に今のまま中国大衆を放置し続けた時、農民によって都市の繁栄が壊滅させられてきた中華の歴史を繰り返す―――上海の摩天楼は深い闇を幻惑させるためのショーウインドウだとわかった。中国は未だ農村を安定させられないという歴史の呪硊??を解消出来ず、国家資産の争奪戦の予感がした。骨のある文章で、何女史の苦闘が伝わってきた。皆さんが読まれることを希望します。

2003
03/29
Sat

経済学の卵の観点から

55.6% (15 / 27)
[No.6] posted by bukey

「チャイナインパクト」のような中国肯定派と対極をなす一冊。
砂のような吸収力と素直さをもって中国経済の賛美を語る人々に贈る
料理の隠し味のスパイスとして本書は適切であろう。

ただ惜しむらくは、本書がただの事実列挙で終わってしまったことである。
私は最初、中国の経済分析の本だと思って早合点してしまったが、

実は政治経済の本である。あまりに腐敗について強調しているためか、
ずっと同じような内容を読んでいる気分になり、最後まで読み続けるのが
困難だった。
中国政治が好きな人にはお薦めだが、中国の経済分析を求めている人には
向かない本だ。ただここまで中国の負の部分について詳細な情報の列挙

(一分誇大的なところはあるものの)を成し遂げたのは賞賛に値する。是非、この本と対極をなす中国肯定派とあわせて読むべきである。
(中国は隣の国であるにもかかわらず、どうしてこんなにも極端な論調の
本しか日本では見かけられないのだろう。さぞ日本人は今まで隣人を
見ていなかったに違いない。)

2003
03/25
Tue

暴露本ではないか

21.4% (6 / 28)
[No.5] posted by 落第生

私は、学者というのは,事実述べるだけでなく,分析力が決めてだと思う。それがない。とても,学術書とは,呼べない。

2003
03/02
Sun

中国:見せかけの発展の裏の恐るべき危機

89.5% (17 / 19)
[No.4] posted by 小牧勇次郎

マスコミで流れる中国賛美とは隔絶した恐るべき中国の実態と危機が多くの実例を含めて余すところ無く述べられている。

筆者は中国の急速な発展の理由を「レントシーキング」という言葉で表現する。役人が私営企業を設立して国有財産を安価で手に入れて稼ぐのが中国発展の真相であり、その結果巨大な貧富の格差と庶民の爆発寸前の不満が鬱積しているという指摘は、日本のマスコミではほとんど報道されない内容である。日本の記者は中国に買収されているのではないかとすら勘ぐりたくなる。
その一方で、中国の工業生産が質的にも量的にも急速に向上していること、外国に留学する中国人の知識階層が非常に優秀であることも事実。中国という国の光の面と影の面の両方を我々は注意深く観察する必要がある。

2003
01/20
Mon

China

53.8% (7 / 13)
[No.3] posted by clicquot

今日本で放送される中国は、「発展していく」ような
すばらしく美化されたものばかりですが、
この本はその作られた中国像と本当の中国像を
サクサク切っていきます。

2003
01/06
Mon

中国の歴史を考えれば当然の結論

78.9% (15 / 19)
[No.2] posted by 中島 文寛

中国史で、漢・å"ãƒ»æ˜Žãªã©ã®æ»...びるさまã‚'みるとどれも一定のãƒ'ターンでå€'れているのがわかる。
ï¼'.官僚のé-"で汚職がはびã"り、行æ"¿ãƒ»å¸æ³•がæ"¯é...éšŽç'šã®æœ‰åˆ©ãªã‚ˆã†ã«æ»ã˜æ›²ã'られていく。
ï¼'.賄賂や収奪がによってもまだæ°'衆がç"Ÿæ'»ã§ãã‚‹ã ã'の一定の稼ぎがあるå '合は反乱は起ã"らない。

ï¼".ã-かã-、官僚による収奪が過é...·ã«ãªã‚Šã™ãŽãŸã‚Šã€å¤©å€™ä¸é †ãªã©ã«ã‚ˆã‚‹é£¢é¥‰ã«ã‚ˆã£ã¦ã€ç"Ÿæ'»ã§ããªã„レベルにまで収å...¥ãŒæ¸›å°'ã-たå '合、各地で反乱が発ç"Ÿã-、一æ°-に王朝の権威が失墜ã-てそのæ"¿æ¨©ã¯å'©å£Šã™ã‚‹ã€‚

ã"の本ã‚'読む限りにおいては、中国å...±ç"£å...šã¨ã„えどもã"のæ­'史のå¿...然からどうやらはずれていないようである。現にã"の本の記述ã‚'例えばæ¸...時代のカトリック宣教師の記述と置き換えてもå...¨ãé•å'Œæ„ŸãŒãªã„。

胡æ-!°ä!!¸»å¸­ãŒã€Œä¸­å›½ã¯ä»Šå¾Œï¼'5å¹'é-"ï¼-ï¼...成長ã‚'続ã'る」というのは、ã'だã-名言だと思う。実際にはï¼-ï¼...成長ã‚'続ã'ない限り、ï¼'.の要件ã‚'満たせず、中国å...±ç"£å...šã¯å'©å£Šã™ã‚‹ãŸã‚ä¸­å›½ã¯æˆé•·ã-続ã'なã'ればならない。

2003
01/05
Sun

投資やビジネスで中国シフトを考える人は必読。

86.4% (19 / 22)
[No.1] posted by ブックオフィス斎藤

è'-è€... 何 æ¸...漣がç"Ÿå'½ã‚'è³­ã-て書いた現代中国ã‚'えぐる名è'-。中国株投資の何かの足ã-になるかと思い読ã‚"だが、ノンフィクションドキュメントとã-てきわめて優れた作å"ã§ã‚り、中国にé-¢å¿ƒã®ã‚る人はå¿...読の書である。

ã"の本には中国æ"¿åºœãŒç™ºè¡Œã™ã‚‹æ-°èžã‚„、ショーアッãƒ-された地域のみã-か知らないå¤-国人のè¦-点にはã'ã-て出てã"ない、中国の社会構造の歪みã‚'、実例豊富に描き、中国社会へ警å'Šã-ている。統計æƒ...報からは読みå-るã"とができない、実際に中国で起ã"りつつあるã"とã‚'実感でき、中国æ"¿åºœãŒç™ºç¦å‡¦åˆ†ã¨ãªã£ãŸã®ã‚‚うなずã'ないã"ともない。

投資・ãƒ"ジネスで中国へé-¢å¿ƒã‚'持つ人は、ぜひ読むべき。玉虫色の「中国株指å-書」とは違い、シãƒ"アな現実が描かれており、ã"れã‚'読めば、正ã-い想定のå...ƒã€çµŒæ¸ˆæ'»å‹•ã‚'行えるã‚!ˆã!!†ã«ãªã‚‹ã ã‚ã†ã€‚


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