- [著]レイ ブラッドベリ
- [原著]Ray Bradbury
- [翻訳]北山 克彦
- カテゴリ:
- 単行本 (405頁)
- ISBN:
- 4794912412
- 発売元:
- 晶文社 (1997/08)
- 価格:
- ¥ 1,890 (税込)
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懐かしさ
懐かしさを文字にするとこんな感じ。
この本はなぜか読まないまま過ごして来た。レイの本は相当に読んでいるんだけどなぁ。タイミングを外したような。「さよなら僕の夏」というまさに続編が登場したので、この機会に続けて読むことにした。
たんぽぽのお酒なるものが実在するのか、そしてそれは美味しいものなのか、はさておき。夏の思い出を瓶に詰めるようなその作業と残された瓶が懐かしさの元になる。確かに少年時代の夏の日なんてどれもめちゃくちゃで妄想に満ちていて、魔女も悪意も善意も喜びもごちゃごちゃとハローウィンよりどっと押し寄せてきていた気がする。そんな夏の思い出とひっそりと残されるお酒の瓶が夏を記録していく日々。
猥雑だけれど、少し悲しく、とても懐かしい物語。
世界で一番・・・
世界で一番好きな作家の、世界で一番好きな本です。
子供から少し大人へと歩き始めた頃の、憧れやせつなさがよみがえります。
この本を読み終えた時、いくつもの季節を一緒に通り過ぎて来たような気持ちに
なりました。
いつまでもピュアな心を失わない大人に読んで欲しい本です。
人間が続く限りなくならないでほしい本
1928年の夏は、ダグラス・スポールディングの指揮により始まり、彼が眠りにつき終わった。新しいテニスシューズは彼を軽やかに運び、やがて重く地面に貼りついていく。テーブルは野外に運ばれ、また持ち込まれる。朝を向かえ夜が忍び寄る。ダグラスは自分が生きていることに気づき、やがて死ぬことを知る。その年は特別な夏だった。
ブラッドベリを読むのは根性が要ります。暇つぶしに読んだり、斜め読みしたりを許さないからです。本に集中して、一つの単語、一つの文章、一つの章、全体を理解するために全力を出さなければなりません。
けど、そうするだけの価値はあります。心の奥底に横たわってる根源的な何かを揺さぶり、高揚させ、不安に陥れ、哀しくさせ、気だるく心安らかにしてくれます。自分の真ん中で何かを感じることが出来るのです。
この本もそんな作品です。
読者の年齢に関係なく読まれるべき
少年の日の愛と孤独と死…そんな風に説明してしまえば実も蓋も無い。
ブラッドベリは詩人、なのである。
私が胸を締め付けられそうになったのは、ベントレー夫人のくだりと、それから…あぁ、それは書きたいのだが、ここで書いてはいけないような気がする。自ら読んで、それを感じていただきたい、のです。
夏は生きている命そのものなのだ。きらきら輝き、輝くだけでなく多くのものを、私たちにおしえてくれる。
凡夫である身の哀しさゆえ、それを私たちは表現できないのであるが、この小説の、感傷では決してなく、実存という哲学的難解さをさけ、物語に入り込みながら、自分もまたそのなかで共に…共に夏を、すごす、ことが、できる。
お終いも、美しい。心がしずかに、コトリと音をたてる。
夏の化石
1928年の夏休みに、アメリカの田舎町で起こったできごとを語る、詩のような物語。
物語は、ふたりの兄弟を中心に展開する。が、視点はしばしば縦横に変化し、町の住人たちに焦点を合わせるかと思えば、いずことも知れぬ空間から見下ろすように描かれたりもする。それでいて、語り手は常に「外」ではなく「内」に、それも耳の裏側あたりにいて、ささやくように語りかけてくる気がするのだ。まさに「SFの詩人」ブラッドベリの面目躍如。
輝かしい夏の物語は、しかし終始一貫して死と滅びの予感をはらんでいる。素晴らしい夏は、その栄光ゆえに、終わりの時を思わせずにはいられない。そして予感は的中する。いくつもの死と破滅と別れとが訪れ、そのたびに夏は深まっていく。やがて少年は、夏の終わ!りを経験し、永遠を知る。
挫折を知る人といまだ知らぬ人、また、死を思う人と気にも留めぬ人、いずれにも等しく薦めたい傑作である。
ところで、カバー装画と挿し絵は、悪い冗談としか思えない。旧版の装丁も決して上出来ではなかったが、現行のバージョンは悪夢のようだ。訳文も、かなりこなれが悪いことだし、どこか別の版元で新訳版を出してくれないものだろうか?
ライ麦畑に並ぶほど
この物語を紹介してくれたのは、女優の竹下景子さんでした。もう20年以上前になります。大学生になってから読んだこの本は、私にとってかけがえのないものになりました。ダグラス・スポールディングは私に代わって色々な冒険を繰り広げてくれました。彼は私が出来なかったことを代弁者として実行してくれました。「ライ麦畑でつかまえて」と並んで、自分の中では大切な物語です。この本も是非村上春樹さんに翻訳して欲しいと思います。読めば必ず好きになります。
二度と来ない夏、タンポポワインの夏
1928年、イリノイ州グリーン・タウンの夏。ダグラス少年が出会った、数十もの、生死にかかわる大事件。こんな夏は二度と来ないだろう。だけど、タンポポワインを口に含めば、この夏のすべてがいきいきとよみがえってくるだろう。
ブラッドベリの文章は小説でありながら詩に近い。ぜひ英語で、言葉に含まれるほのかなイメージも一緒に味わっていただきたい。短編の連作形式。
